関数型言語でkrcと言うのがあるんでしょうか?

KRC(Kent Recursive Calculator)は、関数型プログラミング言語の草創期に重要な役割を果たした言語の一つです。ケント大学のDavid Turnerによって1977年に開発され、主に教育目的で利用されました。KRCの設計は、関数型プログラミングの理論を学びやすくするためのものであり、遅延評価(必要な値のみを評価する)や再帰、リスト処理といった関数型言語特有の概念を中心に構築されていました。

KRCの特徴

  1. 遅延評価:

KRCは、式の評価を必要な時点まで遅らせる遅延評価をサポートしています。これにより、無限リストや条件付きの計算を効率的に扱うことができ、リソースを節約するプログラムを書くことができます。

  1. 関数定義と再帰:

関数型言語の核となるのは、関数の再帰的定義です。KRCでは関数を定義して、それを再帰的に呼び出すことが一般的です。たとえば、フィボナッチ数列を計算する再帰的な関数を簡潔に記述できます。

  1. 高階関数:

KRCでは、関数を他の関数の引数として渡すことができる「高階関数」のサポートがあります。これにより、より抽象的で柔軟なプログラムが書けます。

  1. リスト処理:

リストはKRCでよく使われるデータ構造であり、リストを操作するためのさまざまな組み込み関数が提供されています。リスト内包表記やマップ、フィルタといった処理がKRCで簡単に行えます。

KRCの歴史的な意義

KRCは、David Turnerが後に開発したMirandaという言語の直接の前身にあたり、Mirandaはその後さらに発展し、現代の関数型言語であるHaskellの基礎となりました。KRCは、教育目的で非常に有用であり、特に再帰や遅延評価の考え方を学生に教えるために使用されました。

KRCからMiranda、そしてHaskellへ

KRCの開発から数年後、David TurnerはKRCのアイデアをさらに発展させ、1985年にMirandaを発表しました。Mirandaは、純粋関数型言語の概念をより洗練された形で提供し、タイプシステムの導入や、より高度な抽象化のサポートが追加されました。このMirandaは、Haskellに直接的な影響を与え、Haskellは今日最も広く知られている関数型プログラミング言語の一つとなっています。

KRCは現在、学術的な関心や、関数型言語の歴史を研究する際に取り上げられることが多いです。もし関数型プログラミングのルーツに興味があるのであれば、KRCやMirandaの構造や設計理念に触れることは非常に価値があるでしょう。

KRCのソースコードや関連ドキュメントは、古い教育リソースや関数型言語の研究資料としてまだ手に入ることがありますので、試してみるのも面白いかもしれません。

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