個人的オカダ・カズチカベストバウト集
オカダ・カズチカ選手の新日本退団が発表されたどころか所属ラストマッチも終了し、最後の棚橋社長とのシングルも終了したわけですが、何を隠そう私はオカダ選手のファンです。偶然見始めた深夜のワールドプロレスリングがちょうどオカダ選手の凱旋直後で、「このほそっこい人が強キャラなんだァ」ぐらいのイメージで見始めた思い出があります。その後なんだかんだと見続けて、気づけばこの人を主軸に新日本プロレスを見るようになり、他の団体なんかも見たりしつつ「この選手と試合したらおもろいかもなぁ」なんて考えたりしつつ、見識を深め、気づけばプロレスに関するブログ始めたりもしました。思えばその動機も「好きな選手を数値的に肯定できるんではないか?」という下賤なものだったりもします。
つまり、わたしのプロレスファン人生はオカダ選手によってはじまり、育ったわけです。そんな選手が主戦場を離れるというのは衝撃でもあり、いろんな噂をみるに胸を躍らせてもいます。だからこそ今くらいは思い出に浸ってもいいでしょう。ということで個人的な思い出ベストバウトをまとめておきます。
(といいつつこのタイミングでWORLDのアーカイブがかなり壊滅的になってるの大分許せんな)
2012年2月11日 vs棚橋弘至
所謂「レインメーカーショック」になった一戦。この試合は現WORLDにも改めてアップロードされているので改めて見てみると、試合序盤は観客も様子見というか試合に集中してなかったのが試合が進むにつれ見入っていく、そしてレインメーカーが決まった瞬間の湧きようが印象深い。言ってみれば一試合の中でオカダ・カズチカという選手に対して懐疑的だった人の目を見事に変えて見せたというのが意義深い試合なのかなぁと。試合が終わった瞬間に他にないぐらいやり切った顔で外道と抱き合うシーンがあるあたり、二人としても「してやったり!」なところはあったのかな。
試合結果
2013年6月22日 vs真壁刀義
何故か地味に好きなんですよね、ちなみに2013年6月の大阪大会のポスターはアホほどかっこいいです。2013年はすっかりオカダもトップレスラーとして認知され、2回目のIWGP王者時代になってるわけですけど2回目とあっていろんなタイプとの試合が増え、「なるほどこういう組み合わせもあるのか」と楽しむ中で、エリートと雑草、パワーとスピードと対照的でありつつかみ合った一戦になったイメージあります。さらに言うと会場が大阪で真壁押せ押せの雰囲気、その中で迎え撃つ王者オカダ、割とこういうシチュエーションの試合が好きなんでしょうね。映像みてると真壁のラリアットを耐えて向き直るシーンが凄い好き、この時期はこういうムーブ珍しかったからなおさら覚えてたんでしょうね。というかタッパがデカいわりに細めではあるのでパワー系の相手になぎ倒されるのが似合うという部分はありそう。
試合結果
2013年8月11日 vs小島聡
実はこの試合現地で見てるんですよ(自慢)。4人入りの升席で見てたんですが内藤vsアンダーソンのタイミングでトイレ行ったら決着シーン見逃して同じ席の人に「何がどうなったんですか?」と聞いたら「内藤が何かわからない寝技で勝ちました」と教えてもらった思い出。当時で言うと、オカダさんはベテラン勢と徐々に初試合しているタイミングで、その中でも小島とは手が合うんじゃないか?なんていう期待してましたね、小島さん好きだったし。しかしもうこの試合は「レインメーカーをラリアットでカウンターする」「カウンターラリアットで一発KO」というオカダvs小島で見たかったシーンをすべて見せてくれたので100点満点なんすわ。
試合結果
2014年3月16日 vs飯伏幸太
飯伏とはそれこそ最近まで対戦が続いてるんだけどぶっちゃけこの時代の試合が一番好きかもしれない、DDTでの初戦も好き。この時代で言うと両者ともに「団体を引っ張る次代のエース」という印象もあったから、その二人がする試合でシチュエーションも好き。それでいてこの時がオカダのジャーマンスープレックス解禁の試合でもあるんですよね。元々若手時代に得意にしていたモノの凱旋後は封印していて、「オカダは腰が悪いので封印した」なんて言われてましたね。結局その後も使う場面はあるんですが、きっちりホールドまでできるジャーマンをしていた時期って結構短くて、この試合のつま先で立ったジャーマンはマジで美しいんですきなんですよね。あとDDTでの初戦ではミスった雪崩式フランケンシュタイナーもきっちり決まっているのでうれしい。
試合結果
2014年5月2日 vsAJスタイルズ
多分AJは初めて外国人選手で推しと言えるまで好きになった選手だと思う。動きがいちいちスタイリッシュで風貌が何よりかっこいい、何かのインタビューで「プロレスはサイコロジーが重要」とか言ってたみたいに試合中の表情が見てて面白い。というか当時のAJてTNAでひとしきり活躍した後で「結構年行ってるし今新日本に来てもな…」みたいな評価もあったのに、それがこの試合でひっくり返った覚えもあるんですよね。その結果数年にわたってトップ外国人になり、バレットクラブも大きく成長し、なんてことがあったんですけど。そういう意味で初戦のオカダ戦で一気に評価覆ったのはオカダさんのおかげもあるんじゃねぇの?とずっと主張してるけど同じ意見見たためしがなくて悲しい、WORLDにこの試合が残ってないのも悲しい、許せん。(まぁこの試合は裕二郎の裏切りシーンが一番の見どころではあるけど)
試合結果
2015年8月15日 vs中邑真輔
オカダvs中邑の関係性は今になってより一層重要度が増してるわけですが、この二人の対戦も何度かあったりはします。その中でどれが一番か?というとフィニッシュの劇的さ的に最終戦かなぁという印象。当時は中邑が退団するだなんて思ってないわけですが、それを抜きにしてもレインメーカーを飛びつき腕十字で切り返し、最後はうつぶせの状態のオカダをタップアウトせしめる決着。しかも一度は立ち上がりかけたところを倒れさせての決着というのがカッコいいのだ。この凱旋後初のタップアウトという称号が未だに価値があるものになってるのは、曲がりなりにも中邑も好きだった身としてはうれしかったりする。結局現状他にタップさせられたのはブライアン・ダニエルソンのみっていうのが箔になるよね。(とはいえザックに勝たせてあげてや、というファンの気持ちもわかる、ザックも好きだし)
試合結果
2015年11月15日 vs天龍源一郎
この試合は現地、ってわけではないんですがなぜか名古屋の映画館でPPV見てた覚えがあります。ワールドでも中継してたとは思うんですが実況の人が違っていて、このPPVの実況のほうがよかった覚えがあります(その後出たDVDなんかもPPV版実況のはず)。この試合に関しては実際オカダさんを応援すべく見に行った覚えがあります、なんでかというと「まともな試合になるのか?!」というのが戦前の心配事だったわけです。何せ天龍さんは長年のダメージでまともに動けないような状態、であるのにまさかのシングルマッチということで不安倍増。それにもかかわらずレジェンドクラスの引退とあって注目度は高い、そりゃ相手のオカダさんの肩に乗るものは重いわけですよ。いやぁ心配だった。結果としては。大物レスラーの引退試合はここ最近でも何件かありましたけど、私にとってのベスト・オブ・ザ・引退試合は未だにこれです。片方が動けなくたって試合にはなる、というか戦う姿を見せ、観客を熱狂させることはできる、っていうのはある種感動でした。ちなみにこの一戦後「自分のルーツでもある天龍さんと戦ったから今後は龍のモチーフを入れるはず!」と主張してたんですが、まさか2024年になってガウンに龍のモチーフが入るとは…。
2016年1月4日 vs棚橋弘至
この試合に関しては「vs棚橋弘至」というよりは、オカダ・カズチカ史で超重要な試合なので。そもそもはこの前年2015.1.4で棚橋に負けたうえでボロ泣きして帰って言ったシーンから始まるんですが、実際あのシーンで中継見てた自分も泣いてましたからねそれぐらい悔しかったし、東京ドームでの棚橋弘至に勝つのが難しい、そして勝ってほしいとおもったんですよね。それゆえにこの試合ほど緊張して見ていた試合はない、これほど勝ちに見る方がこだわった試合もないという。この試合の名場面というとなんといっても終盤、レインメーカーを防がれても手を放さず耐えて打ち込んだシーン。あそこまでに効果的に勝利への執念を表すことができるのか、と後になって思うのもありますけど、普通に絵面として美しいんですよね、見返してて普通に泣きそうになった。思えばこの時期を前後して棚橋は結構コンディションが怪しくなって行ったりするので両者が十分動けるシチュエーションでの最後の試合という意味で最高傑作なイメージもあるんですよね。
2016年4月10日 vs内藤哲也
内藤さんとは凱旋直後、復帰後、LIJ以降と何度も戦ってるわけでそれぞれ見どころとかはあるんですけどぶっちゃけ一番おもろいのは内藤さんの初戴冠になったこの試合だと思います。実際この時期の内藤さんのこと本当に嫌いだったんですけど、逆に本物のヒートを生んでたとは思うんです。(逆に言うとその後はご意見番化して物足りなくなるわけですが)実際、中邑AJの離脱に表に出せない負の感情があるファンの感情を代弁して、煽って、ムーブメントを作ってトップに到達した一連の流れはやっぱすごいんすわ。あと初披露時から察せられていた、レインメーカーへの完璧なカウンターとしてのデスティーノの披露があまりにも見事すぎる。
試合結果
2017年1月4日 vsケニー・オメガ
どうして!この一戦が!今(2024.1.29)WORLDにないのか!!!!というかまぁこの年の1.4自体が存在しないのでその辺は早急にどうにかすべきだと思う。それはさておき、実はこの年が私にとっての初ドームだったりします。あんな遠いところから見るより中継見たほうがいいじゃん、というのが自論だったんですが、この時はフラッと足が向いたというか、これまたvs天龍戦のときと同じく「応援しなきゃ」という使命感があった覚えがあります。というのもこのドームの事前評価って「セミの内藤vs棚橋が実質メイン」というのが下馬評だったわけです。前年IWGPも獲得し傍若無人ぶりを見せつけ飛ぶ鳥を落とす勢いの内藤と、その内藤にとって避けて通ることはできない棚橋弘至。まぎれもない黄金カードであるのは確かだったわけで、実際棚橋自身が「内藤人気を利用してファン投票によるメイン返り咲き」を狙うほどで、結局内藤さんの一声でファン投票はせず、セミに収まったわけですがぶっちゃけやってたらセミとメインはひっくり返ってたと思います。それぐらいに期待感のあったセミに対し、内藤さんからベルト奪ったこともあり支持率はガクと下がったオカダvsG1を制覇こそすれいまだに観客が乗り切れていないケニー、ぶっちゃけこの試合に入れ込んでいたのは両者のファンぐらいなもんでしょう。そういう雰囲気を感じていたからこそ逆張りでドームに殴り込んだわけですが、その日のステージの構造が内藤さんのシンボルである目を模したものなのを見て、会社までそっちを推すのか、と腹が立ったのを覚えています。
そんなこんなでオタクの逆張り精神全開で乗り込み、セミまで腕を組んで見守った末にやってきたメイン。えぐいまでに攻めるケニーに対し、それを受けきるオカダ、まさかオカダさんにあそこまでハードな試合の適性があったとは、っていうのが印象です。あの試合でケニー自身が大きく名を挙げたのは事実でしょうし、その後ああいうハードなタフマンマッチが新日本ではやったのは事実という感じですが、それと同時にあれによって「オカダ、やっぱすげぇな」という感じでオカダさんへの評価も上がったのは事実です。あれを見終わった帰りはとにかく「すごいものを見た」という心地でふわふわしながら帰った記憶があります。いやぁシンプルにもう一回見てぇよこの試合・・・。
試合結果
(2/22追記) とか言いつつ記事を肥やしにしていたら「オカダ・カズチカベストバウト企画」なものでこの試合公開されてましたね。1週間といわずずっと残しておいてくれ…と思いつつ今のうちに見ましょう。この試合がベストバウトの1位に選ばれたのは納得ではあります、いやだって現地で見てたけど本当にすごかったし、この一戦で新日本どころか世界のプロレスの勢力図が変わるような影響あったわけですし(AEW成立したり)、やっぱすげぇんすわ。とはいえvsケニーとして2018年大阪城の一戦も入ってはいますが個人的に「オカダ・カズチカのベストバウト」という観点だと微妙なイメージあるんすよね、「ケニーオメガの」とか「オカダvsケニーの」であればタイトルマッチでついにケニーがオカダに勝つというケニーにとっての意義があった試合ではありますが。そういう意味では個人的には2016.1.4のvs棚橋のほうがふさわしいとは思います(まぁWORLDで限定公開っていうなら現在アーカイブにないvsケニーのほうが嬉しくはあるんでしょうが)
2017年4月9日 vs柴田勝頼
なんでこの試合もないんだ…許さんぞ…。それはさておき、この試合に関して言うと試合以前に柴田ファンの入れ込みようがすごかったというイメージあります。2012年の新日本再参戦から徐々に受け入れられ、格を上げてきた柴田がついにIWGPに再挑戦、というのもありましたけどその相手がおそらく当時新日本内で一番正反対だってであろうオカダというシチュエーション。私はよく好きな試合のタイプとして「対立軸がある試合」とかって言いますけどこの時ほど軸がしっかりした試合はなかった。というかケニー戦後ということもあってオカダさんの試合がハード目になる中で、この試合ほどハードな試合はなかったという、終盤の頭部へのストンピングとかやばかったですからね。無論、その激しさゆえに柴田選手は大けがを負ってしまい、その後新日本内でハードすぎる試合への忌避感が生まれるわけですが(実際そういう方向性になるのは間違いじゃないとは思いますが)、だからこそある種ピークの激しさを持つ試合だったよなと記憶もされるわけです。
(2/22追記)こちらはオカダ・カズチカベストバウト2位で1週間限定公開なってますね。まぁ総合的に見たら1位はvsケニーに譲るわな、と思いつつ個人的にはこの試合がダントツで好きではあります。もちろん柴田が選手生命の危機になるぐらいの大けがした試合でもあるんですが、一応現在元気にAEWで活動してるのを踏まえてようやく「ハードな試合」ぐらいの心持で見れる気はします。
2018年6月23日 vs鈴木みのる
なんか気づいたらオカダvsみのるってブランドっぽい扱いになってましたよね…少なくとも2017年以降だったとは思いますけど、この試合のころには鈴木軍がポップな人気を博し、みのるの記念試合の相手としてオカダがピックアップされるような関係になるとは思ってもみなかったという。実際、この二人のいい試合というとほかの試合があるんだと思いますけど、ぶっちゃけシチュエーションがいいのですよ。横浜赤レンガ倉庫の屋外、しかもあいにくの雨の中での試合強行というシチュエーション。集まったファンの前で試合強行、かつ「傘は差さずにみんな雨に濡れてみよう」という宣言、そこで出てきた雨を滴らせたオカダ・カズチカのかっこいいことよ。雨+あのポーズはショーシャンクの空にっぽくて絵になるんだまた。まぁ試合内容はてんで覚えてないですけど、ぶっちゃけこの試合も現地に行ってみてたんで「いやぁいい体験したなぁ!」という思い出でBESTにしている部分がある。帰りにコンビニでシャツ買ったけどすっけすけで恥ずかしかったなぁ…。
備考 vsオスプレイと’19年以後の話
正直言うとこれ以降になると「オカダのベストバウトといえば?」と言われて浮かんでくる試合がないんですよね。それは第一に自分の私生活が忙しかったというのがありますが、加えて新日本の主要人物が明確に内藤や飯伏に移った時期で、それに伴うあれやこれやで興味が薄れたというのもあります、現金なもんですけど好きな選手の注目度の高さってモチベにつながるもんです。それに加えて、ご存じの方も多いとは思いますが2020年から始まったコロナ禍が大きくモチベが下げました。興行があるかどうか以前に、歓声のないプロレスの試合のなんと味気ないことか。実際最近になって歓声OKになったあたりから中継も見るようになったり、会場まで見に行ったりが増えたので、少なくとも自分にとってはそれって結構重要だったんですよ。
で、これと大いに関係あるのは「vsオスプレイでベストバウトが浮かんでこない」問題、単に自分のアンテナが鈍ってた時期がオカダvsオスプレイが文脈上一番盛り上がってた時期ってだけでもあるんですがビックリするぐらい浮かんでこないという。極論言えばオスプレイの新日本でのキャリアハイになるヘビー転向・ユニット立ち上げの時期がもろにコロナ禍にぶち当たったのってプロレス界の近年まれにみる損失だったとは思うんですよ。もちろん実際大活躍はしてるんですけど、何事もなければもっともっととんでもなかっただろうなと思っちゃうんですよ。大体自分のせいではありますが、もったいない。
まとめ
というわけで「後半で明らかに解像度が失われていくのはファンとしてどうなの?」という思いもあってしばらく下書き状態で塩漬けしてましたが、公式でベストバウト企画があったり、所属ラストマッチも棚橋戦もおわり、いったん最後になる札幌も目前に迫ってきてるんでいい加減公開してしまいたいと思います。まぁぶっちゃけ今後全く見えない場所に行くなんてことはなさそうではありますが、果たしてどこへ行くのか。というか新日本退団する選手でここまで「お前はWWEへ行け!」って満場一致で言われてるのオカダさんぐらいなんでは、大体の選手て「WWEだと良さが消えるからせめてAEW・・・」みたいなノリ多いし。その辺は良くも悪くも「俺たちのオカダ・カズチカ」的な人気は博してこなかった結果でもあるかなぁと思ったりします(多分オスプレイにWWE行きの噂がたったらすげぇ拒否反応出ると思うし)。でもまぁ「オカダのスタイルならWWEに合うかも」て期待があるのは確かでもあるので、個人的にはソッチイッテホシイです。