memento森 10th anniversary one-man LIVE に寄せて 2
その後、歌うアホウドリは割と頻繁に関西にライブに出かける様になる。
そんな非日常の中に訪れた一日がこちら。
9月9日(水) 神戸ARTHOUSE
「ロック的構造改革の夜明け」
/モータープールサイド/ハルカカナタ(千葉)
/歌うアホウドリ(東京)/Alice Kitela/monodrama
open18:00/start18:30
ADV ¥1,500 DOOR ¥2,000
神戸でのライブが決まったのです。
『一応声かけるべきだよね?』私は震える声でメンバーに相談する。皆一様に無言でうなずく。神戸まで向かう車中一番頻出したキーワード
『一応ね。一応。うん。』
会うの怖ぇぇぇぇ。ってか絶対こねぇぇぇ。
心の声は気づけば私を蝕ばみはじめていた。
ゲストで名前も書いたドリンク代も先に払った。大丈夫きっと大丈夫。
最強に肩透かし
久しぶりに会った宮地さんは天使だった。『お疲れ様。この前はホンマありがとう、今日もわざわざ声かけてくれてありがとう。ドリンク代まで払ってもらったみたいで、おれこの後スタジオやからこれはロドリゲスが飲んで。』
手渡されるドリンクチケットを見つめながら、頭の中で今一度状況を整理する。
同一人物なのか。目も据わってない。ずっと笑顔や。マスクしてるのに笑顔てわかるくらいの笑顔や。
ライブ中は終始最後尾で腕組みをしながら何か確かめるように、ステージをみつめていらっしゃいました。『いや、怖いよその見方は先輩』と思いながらも無事ライブを終える。
ライブ後に出会った宮地さんはstill天使だった。『本当に素晴らしかった。』と屈託のない笑顔で言ってくれた。
お世辞にしても嬉しいものだ。そして、その天使は帰り際急に悪魔の目つきになり私にこう告げた。
『年内まだ動ける?』『また連絡するわ。』
なにさせられんの。怖いよ。
いま冷静に考えればライブのお誘いだ。しかし当時の私と宮地さんの距離感ではそれさえ受け止められなかった。memento森の曲もYou tube程度だがこっそり聞き続けていたし、会わない合間にもリスペクト数値は上がっていた。更に言えばまさか自分のバンドがmemento森に呼ばれる側になる等想像もしていなかったからだ。
そして割とすぐにお誘い頂いたのが、知る人ぞ知るこれ。
2015年10月16日浅草KURAWOOD
memento森×NIGHT ON THE PLANET ! 『創 room』
memento森/KAGERO/歌うアホウドリ/優妃(こゆび)
尖ってる。実に尖っている。かっこいい。素晴らしいメンツ。
この日、memento森と初めて対バンしたわけです。
memento森 メンバーとの私の年齢の相関図
一個上(大好き先輩)宮地さん、えのさん(元ギター)、ワダさん
同い年(どうでもいい)ガタ
一個下(可愛い)木原
ということで大概のメンバーは実はここではじめまして。ワダさんのほうが個人的な付き合いは長いのです。この時期えのさんとは良くしゃべる様になるが、ガタと木原とは挨拶程度の関係性。そしてこのライブをもって私はギターボーカルを辞める。つまりギターを捨ててハンドマイク。ピンのボーカルになった。
おこがましくも宮地さんと闘うためには必要なことだと悟った。それだけ素晴らしいライブだった。この頃のmemento森のライブはとにかく暴れる宮地のかっこよさ(スーパー宮地タイム)が際立っていた。
浅草KURAWOODはバーカウンターとステージは防音扉で遮られていた。その扉を演奏中に解放して『これでNO BORDER!!!』と叫んだ男。
かっこよかった、意味のわからないかっこよさに当時のmemento森は満ち満ちていた。そしてその『意味がわからなくても突き動かされるもの』=ロックだと思った。おれはこの人達からこの日ロックを教わった。もう少しバンドを頑張ろうと思えたのもこのバンドがいたからだ。
この日から宮地さんは常に物理的にも、何に関しても音楽の線上においておれの一年先を永遠に走り続ける存在になった。
その人が昔のメンバーと出した音源が気になったのも至極当然の流れと言える。
現物はすぐに手に入らなかったがamazonでmp3購入できることを知り。人知れず夜中に聞いた『ex-parable』『Short Reprise』
『ex-parable』に収録されている『day,』という曲に心を打たれた。
有体に言えば泣いた。歌詞の内容、スタイル、音作り。
当時私は『道化師と少年と豚の貯金箱』という曲を作ったばかりで、こういう曲というか、物語と詩のリーディングとバンドサウンドの融合ってないものかね。そんなバンドと対バンしていきたいなーと思っていた。井の中の蛙。
何年も前に居たんだ。そして形は変わり。いま自分の目の前を走っていた。
memento森
その歴史の深さに涙した。一年先を走っているとかおこがましすぎて恥じた。『お前が会いに来るべきはおれや』そう言われてる気がした。
またちょっと宮地さんが好きになった。
続く
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