猛暑と大雨の黒幕、元台風4号
(文責:はむすた)
「暑さが続くので注意してください」と自分で書いておきながら、「暑い」とつぶやく体力すら残っていないくらい、すでに暑さにやられてしまっている気がする。
こんなに気温が上がるのには理由がある。
一番の理由は、「夏」になったからだ。
梅雨明けして太平洋高気圧が本領を発揮する時期に入ったので、暑い。
ただ、それだけでは今日8月6日の最高気温が富山で37.5度まで上がることはなかった。
猛暑の陰で暗躍しているのが、台風4号から変わった低気圧だ。
昨日の朝、台風4号から変わった低気圧は今日、日本海を北東方向へと進んだ(下図:8月6日正午の天気図。気象庁HPより)。
詳しいことは別の記事で解説したいと思うが、低気圧の周りには反時計回りの風が吹き、高気圧の周りには時計回りの風が吹いて、さらに風は気圧の高いほうから低いほうへと流れようとする。
そのため、北(日本海)に低気圧があり南(太平洋)に高気圧がある今日の気圧配置だと、南の高気圧の縁をぐるっと時計回りに回りながら北の低気圧中心に向かって風が流れ込むことになる(ちなみに上図では高気圧が大きすぎて図からはみ出しているが、日本の南の海上にどーんと横たわっているのが、高気圧)。
南の海からやってくる暖かく湿った風は、本州をつらぬく脊梁山脈を越えて日本海側の地域へ吹き降りるとき、さらに高温になる。フェーン現象だ。
南からやってきた暖気のせいで太平洋側の地域も35度以上の猛暑日になったところがあったが、日本海側の地域では一段レベルの違う暑さになった。
上図は午後2時の気温の様子(気象庁HP)だが、全国的に赤の表示(30度以上)になっている中で、北陸地方から山陰地方にかけては紫の表示(35度以上)が目立つ。
全国地図ではややわかりづらいので北陸周辺を拡大すると(同じく気象庁HPより)、
確かに35度を軽く超えた数字がいくつも並んでいる。
ちなみに、元台風4号が引き起こしたのはフェーン現象だけではない。これもやや専門的なので詳細は別の記事で解説したいと思うが、台風だった間、台風の東側に位置していた太平洋高気圧の勢力を強めるという働きをしていたために、そもそも今、太平洋高気圧は数日前より日本を暑くするパワーが増している状態なのだ。
ここまで台風(今は台風から変わった低気圧)が猛暑の原因となった仕組みを見てきたが、今警戒すべきは暑さだけではない。
これから北日本には大雨がもたらされる。
この低気圧が7日にかけて北海道を通過するに伴い、北海道と東北には最大200ミリの雨が予想されているのだ(6日17時気象庁発表、なお防災行動にはっ必ず最新情報を用いること。天気図は同じく気象庁HPより)。
令和2年7月豪雨で1日400ミリとか500ミリという雨の降り方を報道で見慣れてしまったために200ミリという数字が小さく感じるかもしれないが、これは平年の降水量が少ない北日本にとっては災害につながりかねない「大雨」になる。
特に東北では、梅雨前線による記録的な大雨で大河川が氾濫してからまだ10日ほどしか経っておらず、復旧作業の真っ最中だ。
新たな雨が新たな災害を引き起こさないことを願うばかりである。