言葉の不思議 その1 「つく」
「ほんとムカつく」
仕事の愚痴の第一声はだいたいがこれ。
私も少なからず発することはある。否定はしない。
今日の本題はそこではなく、「ムカつく」という言葉について。
私は普段から言葉について考えるのが好きで、大学でも言語学の講義を受けていた。日々の生活で日本語について考えたりもしている。
というわけで不定期に言葉に関して考えたことを発信していこうと思う。
(※あくまで自己満足のため、ネットで調べたり根拠を検証したりはしない。自分の脳内の整理のため)
「ムカつく」のように比較的新しく、〇〇つくとなる言葉を考えてみた。
イラつく
ざわつく
ビクつく
ガタつく
ざらつく
ベトつく(ベタつく)
ガサつく
ギラつく
ふと浮かんだのはこのぐらい。
これらに共通する点が3つある。
もしかしたら誰でもすぐに浮かぶかもしれないが。
1、ほとんどがカタカナ2文字にくっついている
さらにいえば、オノマトペいわゆる擬音語に「つく」がつく形でできている。元々は同じ言葉を重ねた、イライラ、ムカムカ、ザワザワのような擬音語。
2、否定的、マイナスな意味しかない
共通するのは不快感の想起。
というのもキラキラとギラギラという擬音語があるのに、キラつくはなく、ギラつくはある。同じように、さらつくはなく、ザラつくはある。
特にベタつくやガサつくは触れた上での不快感をあらわしている。
3、aの音の後ろにつくことが多い
イラ(ira)つく、ムカ(muka)つく。ベトつくをベタつくの変化形と考えると、例外はビクつくのみ。
しかし、ビクつくという言葉はかなり最近になって言われ出したような気がする。とすると、この法則はほぼ全体に普遍的に当てはまる可能性がある。
ここで一つ気づいたことがある。(この文章を打ちながら)
ざわつくと打った時に、最初に出てくるのがカタカナではなくひらがなである点。他のカタカナの擬音語よりも、平仮名の親和度が高いからだろうか。それとも昔から利用されて馴染み深いからか。
…
そもそもこの擬音語にくっついている「つく」ってなんだ。
やはり、「付く」が有力に思われる。
ベタつくの場合は特に、自身やものにベタベタという状態が付加されているととれる。
そうなると、ざわつくやムカつくのような物理的でないものはどうはるか。どちらにしても状態の付加と取れないだろうか。「場」にザワザワが、「自身」にムカムカが、というように。
モヤモヤはどうだろう。
モヤつく、は聞いたことがない。だが、モヤモヤ自体はなんともいえない不快感の一種ともとれる。
ではなぜ。
モヤモヤは形が定まっていない上に、柔らかい印象を受ける(輪郭がない故だが)。
他の言葉を聞いた時、特にイラつく、ムカつく、ギラつくなどは攻撃的とまではいかないが尖ったイメージがある。言葉自体に。
形状があると言える。それ故にモヤモヤとの相性が悪いのかもしれない。
考えだすとキリがないが、自分で言葉を生み出す時、すでにある言葉を分析してそれに馴染むようにすると浸透しやすいのかもしれない。