ブンデス第26節 フランクフルトvs ボルシア・メンヒェングラードバッハ【欧蹴のススメ】
どーも、ロッド(@_rod25)です。
ブンデスリーガが再開する運びとなりましたので、僕の推しであるグラードバッハの試合のレビューを書いてみようと思います。
結果は3-1でグラードバッハが勝利したゲーム。
強みが出せたゲームと言って良いでしょう。
今回はグラードバッハのボール保持、とりわけビルドアップに焦点を当てます。
どうぞ最後までお付き合いください。
【Starting Lineup】
フランクフルト
■基本システムは4-1-2-3
■鎌田はスタメン出場、長谷部はベンチスタート
ボルシア・メンヒェングラードバッハ(以下、BMGとする)
■基本システムは4-2-3-1
■前線のプレア、テュラム、エンボロはスピードとパワーに溢れた強力トリオ
【BMGの強み】
BMGの最大の強みは前線3枚の質にあります。No.10テュラム、No.14プレア、No.36エンボロです。
彼らは身体能力に優れ、圧倒的なスピードとパワーによってボールを収め、前を向いてチャンスを作ります。
特にNo.10マルクス・テュラムは、ユベントスなどで活躍した元フランス代表DFリリアン・テュラムの息子でして、身長189cmの長身とキープ力、そしてスピードがある選手です。主に左サイドを務める彼は対面のSBとの競り合いを悠々と制してボールをキープしてしまいます。
結論を言うと、BMGの狙いは「テュラムをはじめとする前線の3人のモンスターたちにいかに時間とスペースを与えた状態でボールを預けるか」になります。
これを念頭に置いたうえでこの試合を見てみると、かなりわかりやすくなると思います。
【フランクフルトのプレッシング】
フランクフルトのプレッシングにおける狙いは「中央に縦パスを通さず、外周りを強いる」ことでした。
そのための手段として、下図の形態でプレッシングを行なっていました。
ポイントはBMGのSB(右:ライナー, 左:ベンセバイニ)にボールを持たせた瞬間、フランクフルトのSB(左:ヌディカ, 右:トゥーレ)がマークを捨ててボールを奪いに行くこと。チームとしてプレッシングのスイッチを入れるタイミング、奪いどころの設定に関してはよく組織されているようでした。
【強みを活かしたビルドアップ】
前述したとおり、BMGのビルドアップの狙いは前線の”三銃士”に時間とスペースを与えた状態でボールを送り届けることにありました。
そのための手段としてBMGが行なっていたビルドアップ上の工夫は主に2つです。2つの工夫に共通するのは「相手のマークをズラすこと」。
詳しく見てみましょう。
⑴エンボロ、ホフマンが落ちて起点作り
前提として、BMGはビルドアップの際、SBが高い位置で幅をとります。
この狙いは以下のとおりです。
■相手の陣形を横に拡げること
■相手のSBを押し込むこと
すると、SBが元いたスペースが空きます。ここをいかに使うかが重要になるのです。
この点、トップ下のエンボロ、右SHのホフマンはこのスペースに降りてきてはボールを受け、前を向いて起点となっていました。
図示するとこんな感じです。特にトップ下のエンボロは斜めに降りるためにマークがずれてしまい、フランクフルトとしては非常に捕まえづらい状況でした。
しかし、フランクフルトは何度かエンボロを捕捉しボールを奪ってショートカウンターにつなげるシーンもありました。よって、エンボロが降りて受ける形のビルドアップにフランクフルトは対応できていたと言って差し支えないと思います。
⑵CBが持ち運んで前進
機動力を活かした前進です。ここで言う”機動力”とは、”ボールを持って運ぶ力”を指します。
上図は前半33分の場面を図示したものです。
CB間に落ちたDHノイハウスが後方での数的優位を利用してフリーでボールを持てる状況にあったので、すかさず自らボールを持ち運んで上がっていきます。結果的にプレアのマークについていたボランチのイルザンカー(No.3)を釣り出し、プレアがフリーとなって裏でボールを受けることができました。
この場面ですが、フランクフルトのSBとCBの間のスペース(チャンネル)が空いているのにも理由があるんです。BMGの左SBベンセバイニはフランクフルトの右SBを、テュラムがフランクフルトのCBをそれぞれピン留めしているので、意図的にプレアが走り抜けるスペースを作り出すことに成功しているんだと僕は思います。
やはり相手のマークをズラすには自分たちがまず動くことが不可欠のようです。
以上、BMGが自らの強みを活かすためのビルドアップについてでした。
【まとめ・考察】
考察として述べたい点は2つです。
まずは1点め。「コロナ中断による試合勘への影響」について。これはこの試合に限らずその前の時間で開催されたレヴィア・ダービー(ドルトムントvsシャルケ)を見ていても感じたことですが、球際のインテンシティに影響はあまり見られませんでした。変わらずかなり激しかったです。
一方で、選手のスタミナが落ちるペースが早いとは感じました。これはゲーム体力の低下によるものだと思います。試合終盤はかなりオープンになっていて、それはそれで見ている方としては面白いのですが、、笑
ただし、こちらは試合を重ねていくなかで戻るものでしょうから、一時的なものだと思っています。
2点めはBMGのサッカーについて。
BMGは昨季終盤のマリノスに似ていると思いました。理由は以下の3点です。
■前線に強さとスピードがあって質的優位を得られること
■ロジカルなビルドアップで前進すること(数的優位を作りながら前進)
■若干安めの失点の仕方
マリノスほど派手なポジションチェンジは行いませんが、似ているところはかなりあるチームなので、その視点で見てみると面白いかもしれません。
ちなみに次回のBMGの試合は5位レバークーゼンとの上位対決となります。
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