2020J1第17節 サガン鳥栖vs横浜F・マリノス@駅前スタ
2日前の清水戦で連敗をストップしたマリノスは、この試合でも3-1での勝利を納め、連勝を飾りました。
新システム・3-4-2-1を導入してから早1週間、ほとんど練習で落とし込みを行う時間がない中でも、着実にやれることが増えていますし、成長を感じます。
この試合でも成果を見ることができましたので、進捗具合をいつも通り局面ごとに切り分けて見ていきたいと思います。キーワードは”成長”です。
構成は以下の通りです。
⑴成果①:ビルドアップ
⑵成果②:崩し
⑶課題(?):ボール支配率について
⑶まとめ・考察
では、始めます。
【Starting Lineup】
■横浜F・マリノス
◇基本システムは3-4-2-1
◇前節からスタメン6人変更(伊藤、喜田、和田、ティーラトン、マルコス、サントス)
◇前節から中2日
■サガン鳥栖
◇基本システムは4-4-2
◇前節からスタメン11人変更
◇前節から中2日
【成果①:ビルドアップ】
それではビルドアップにおける成長・成果から見ていきましょう。
結論から言うと、”修正力”が素晴らしかったです。
修正とは「不十分なところを改め直すこと」を指し示します。
では、どのようなところが不十分で、それをどのように改め直したのか、これについて具体的に解説していきます。
〜❶不十分だった点〜
試合序盤におけるビルドアップで苦労していた点が一つありました。それは、両脇のCB(以下、HVとする)から同サイドのWBにパスを出すと、鳥栖の素早いプレスに晒されてビルドアップを遮断されてしまうというもの。
上図のような形です。何を隠そう、失点シーンも同様の形で低い位置でボールを奪われたところから生まれたものでした。この試合において鳥栖が準備してきたものが思いきりハマってしまった部分です。
このプレッシングのポイントは、前に出るSHが中央へのパスコースを切りながらアプローチをするところ。(カバーシャドウ)
これにより、ボールを持つHVは大外にパスを出すよう誘導され、鳥栖の狙い通りにボールを奪われてしまったわけです。
〜❷修正点〜
潮目が変わったのは飲水タイム直後でした。鳥栖の誘導通りにWBにパスを付けるのではなく、シャドー目がけたミドルパスを使ったりと工夫を凝らすようになっていました。
その中でも実に論理的に剥がす工夫が見られたので図示しておきます。
WBのティーラトンがやや高い位置をとって鳥栖のSB森下をピン留めし、空いたスペースにボランチの和田が流れてきてフリーで受けるというもの。本来であればボランチの原川がここに出てアプローチをかけるはずですが、背後にいるマルコスが立ち位置によってこれを牽制しているのがミソです。
このようにボランチがタイミングよく(ここ重要)サイドに流れてビルドアップの起点となるのは、4-2-1-3の時によく見られる光景でした。形が変わっても今まで取り組んできたことをうまく活かしながらボールを前進させていく。インタビューで常々ボスが「陣形など関係ない」と言っているその言葉の真意はこういうところにあるのかもしれません。
【成果②:崩し】
続いて崩しの局面での成果についてです。
この試合であげた3得点に共通するポイントがあります。
それは、
左サイド・ティーラトンからの斜めのフィードが起点となっていること
です。
なぜ対角線フィードがここまで露骨に刺さったのでしょうか。
これは、鳥栖の陣形とマリノスの陣形の両方がうまく噛み合ったからこそだと思います。
自陣でブロックを敷く際、鳥栖の4バックは横にコンパクトな形でボールサイドに寄る特徴がありました。よって、逆サイドには広大なスペースが生まれます。
それに加えてマリノスの3-4-2-1という陣形における優位性が逆サイドの水沼宏太のところに生まれます。右WBの水沼は噛み合わせ上、鳥栖のSBにもSHにも捕まらない位置でフリーになることができるからです。
このように4-4-2の相手に対して噛み合わせ上のズレを作ることができるという意味で、3-4-2-1の利点が如実に出たゴールシーンの数々でした。
思い返してみると、今まではこうした長いボールを使った攻撃はあまりせず、同サイドで短いショートパスを繋いで崩しきることに固執していた節があったのですが、システム変更に伴ってチームとしての引き出しが徐々に増えており、このあたりに成長を感じますよね。
【課題(?):ボール支配率について】
この試合のボール支配率は「鳥栖:横浜=55:45」でした。
マリノスとしては、珍しく相手にボールを支配された試合でした。そして、鳥栖に押し込まれる時間帯が長かったのも事実です。これを課題とするかは一旦置いておいて、なぜこのように押し込まれたのか、そのメカニズムを解説します。
上図のように、鳥栖のSHあるいはSBが高い位置に張り出して幅を取る位置取りにマリノスのWB水沼・ティーラトンがついて行かざるを得ず、5バックとなってしまいました。その結果、後ろに重たくなりプレスがかからなくて押し込まれた、というわけです。
以上がボールを支配され、押し込まれる時間帯が長くなったメカニズムなわけですが、これに関しては課題とする必要がないという考え方もあると思います。
「試合をコントロールする」ことに主眼を置くボスの考え方からすると、守備の時間が増えることは良くないのかもしれません。この考え方に沿えば、まさしく"課題"と言えるでしょう。
しかしその一方で、押し込まれて決定的なシーンを数多く作られたかというとそうではありません。失点に直結するようなピンチはマリノスのボールロストからのカウンターが主でした。押し込まれても点を取られなければ良くて、むしろ相手が前に出てくる分、奪った後に背後の広大なスペースにエリキやサントスを走らせた方がゴールを奪える可能性が高まる、という考え方もできます。
▼皆さんが思う「マリノスのサッカー」と照らして支配率が低くても勝てるならば支配率が低くても良いか?
▼「試合をコントロールする」とはボール支配率を高めることなのか?
この議題にまつわる考えというのは皆さんそれぞれにあると思うので、ぜひ
【まとめ・考察】
以上、この試合で見られた成果についてまとめてみました。試合を通じて感じたのは、相手を見れる大人のサッカーができるようになったことです。
相手の出方を観察し修正する。対策の対策が打てるチームになってきていているのだと感じます。
とにかくこれで2連勝!勝率も5割に復帰です!
相変わらず苦しい台所事情ではありますが、勝ち星を重ねていきたいですね!
9/19 Sat. 16:00K.O. J1第17節 鳥栖1-3横浜
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