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2019J1第27節 仙台vs横浜M@ユアスタ


仙台vs横浜①


スタメンはこちら。

リーグ3連勝で迎える今節の相手は仙台。アウェイに乗り込んでの一戦となる。

システムはいつも通りの4-2-1-3。

この試合を形成するファクターとして欠かせないのは、喜田とティーラトンが出場停止であるということ。今や替えの効かない存在となりつつある両名の不在は間違いなく痛手である。

しかし、左サイドバックには高野遼がおよそ8ヶ月ぶりに復帰。頼もしい男が帰ってきた。チームにとって、間違いなく朗報だ。

その他については、喜田に代わって渡辺皓太、ミッドウィークの天皇杯鹿島戦にフル出場した遠藤渓太に代わってマテウスがスタメンに名を連ねる。


一方の仙台は4-4-2のシステムで臨んできた。ここ最近は蜂須賀が右SBを勤めることが多かったが、この試合では大岩一貴を右SBに据え、対面のマテウスに対して対人守備の面で優位に立とうという狙いが見て取れる。



【ボール非保持時の仙台とマリノスの攻防(序盤)】


仙台vs横浜②


前提として、両者の噛み合わせを考えるとトップ下のマルコスがフリーで浮くことになる。(上図)
よって、仙台に突きつけられる最初の課題は、浮いたマルコスをどのようにケアするか、という部分になる。


仙台vs横浜④


この課題に対して仙台が採用したのは、自陣に引き込んでの4-4-2ブロックだった。

具体的には、DF-MFのライン間のスペースを狭くすることを最優先事項とし、人に付くのではなく、スペースを埋めることを重視していたように見て取れた。これによって、マルコスは本来ボールを受けたい位置で受けることができなかった。


しかし、マルコスが封じられてもマリノスの攻撃はそう簡単に低調にはならない。


ライン間のスペースに、警戒されているマルコス以外の選手が侵入することで局面の打開を図った。特に、左SBの高野が積極的にハーフスペースに飛び出し、マテウスとのコンビネーションからチャンスを作っていた。現に、先制点はまさにこの形から生まれている。少々イレギュラーな形ではあったが左サイドで2vs1の数的優位の状況を作り出し、大外でボールを受けたマテウスからハーフスペースを突撃する高野にスルーパスが出て、折り返しに右SBの松原が飛び込んでゴールが生まれた。

マルコスが封じられても、別の選手がスペースに入り込むことによって、チャンスをいくつか作れていた。




【アンカー落ちは正解か…】


マリノスが先制した後の仙台は、よりマンツーマンの色を強め、やや積極的にボールを奪いにきた。


仙台vs横浜③


上図の通り、トップ下のマルコスを浮かさないような形でマリノスのビルドアップに制限を加えてきた。ボールを危険な位置で奪われるシーンは多くなかったが、ビルドアップの出口を封じられたマリノスは、中央を思うように使うことができず、外に追いやられる形となった。

マルコスを封じつつ、プレッシングをかけるやり方を許容してしまった要因として考えられるのは、扇原のアンカー落ちである。先に挙げた図の通り、仙台のダブルボランチは、片方がマルコスに付き、もう片方が渡辺に付いている。
たしかに扇原が低い位置でプレーすることの利点は多い。仙台の2トップに対して3人を最後尾に配置することで、ボール保持が安定し、安定してポゼッションをすることができるからだ。扇原の最大の持ち味である対角線フィード、サイドチェンジを活かすには、いかに扇原にフリーでボールを持たせるかが重要であるため、これはかなり理に適ったポジショニングのようにも思える。

しかし、最終的に使いたいスペース、マルコスにいかに時間とスペースを与えるか、というマルコス・システムの狙いに照らして考えると、この扇原のポジショニングには疑問の余地がある。

もしもこの状況で、扇原が渡辺と同じくらいの高さ、あるいはより前にポジショニングすることができていれば、中盤で数的優位を生み出すことができ、もっと中央を使えていただろう。しかし、この試合の扇原はCB間に落ちてボールを裁くシーンが多く、CBに対してそこまで圧力をかけてこない仙台にとっては守りやすい状況だったと言える。


こうしたポジショニングの是非は、他のポジションにも論点が散りばめられている。今回は扇原について取り上げてみたが、必ずしも前目のポジションを取り続けることが正解かというとそうではない。

相手によってポジショニングの最適解は変わるのだ。



【考察】


仙台の狙いは明白で、マルコスを絶対に浮かさないことが第一にあった。ダブルボランチのうちのどちらかが必ずマルコスのマークにつき、フリーでボールを持たせなかった。その結果、本来使いたい中央を封殺されてしまい、サイドに追いやられた。サイドの攻防では、大岩と永戸の見事な対人守備によって、エリキ、マテウスが封殺されてしまい、チャンスを多く作ることができなかった。

マリノスとしては、何度かマルコスを囮にしてのスペース攻略の形は作ったが、その回数はいつもよりも少なく、結果として追加点を奪うには至らなかった。

その要因として、出場停止等の理由によってメンバーが変わってしまい、いつものような流麗なポジションチェンジだったり、パスワークの部分で合わない部分があったのは紛れも無い事実だろう。


一方で、明るい要素がいくつか見られた試合でもあった。

久しぶりの公式戦となった高野遼は、J1のプレー強度の中で遜色なくやれていた。復帰戦でアシストという結果まで出してしまうのだから恐ろしい。

また、エリキとマテウスのポジショニングはこの短期間で急速に理解が進んでいるようだ。崩しの場面に至るまでしっかりと大外に張り出し、幅を取る役割を完遂していた。両名とも結果を残すには至らなかったが、着実にいるべきポジションを理解し始めている。また、両名とも守備面での貢献も光った。セレッソ戦での惨劇、前線4人が前残りしていた悪夢はもはや遠い昔の話だ。

現時点での課題を挙げるとすれば、周囲とのコンビネーションの部分になるだろう。自分で仕掛けるところと、味方に預けるところの判断が合っていないシーンが散見されるのが現状だ。ただ、これは時間が解決してくれるだろう。

次戦においても、また少し成長したエリキ、マテウスが見られるに違いない。




9/28(土)19:00 J1第27節 仙台1-1横浜

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