【無冠の原因】横浜F・マリノス2020シーズンレビュー
戴冠から1年、
トリコロールは異国の地でもがいていた。
あの日見た力強さも、速さも、ワクワク感も、
まるで別のチームかのように見る影もなく、
もがき、苦しみ、ついには敗北を喫した。
思えば、この1年はさまざまなことがあった。というか、ありすぎた。
気づけば、クラブも、それを取り巻く環境も、生活も、社会も、
何もかもが変わり果ててしまった。
まさに激動の1年だった。。
さて導入はこれくらいにして、マリサポの皆さん、今シーズンもお疲れさまでした。激動のシーズンが幕を下ろしました。
なので、今シーズンを振り返ります。
今季は昨シーズンと打って変わって厳しいシーズンで、結果的には無冠に終わりました。たった1勝すればタイトルが取れるゼロックススーパー杯に負け、3勝すればタイトルが取れるルヴァン杯にも負け、リーグ戦は9位に終わり、ACLもRound16で敗退という、何とも無様なシーズンになってしまいました。
まずはこの現実を受け入れることから始めるべきなのかなと思います。
あろうことか、ライバルの川崎に王座奪還されちゃったんです。
それもシーズンダブルを喫して。
悲しいけど、悔しいけど、これが現実です。
これを前提として、じゃあなんで今シーズンは無冠に終わっちゃったのよ、という部分に対する答えを皆さんが考えるたたき台として、このレビューをご活用いただければと思います。
お読みいただく皆さんも「なぜ今季はこうなってしまったのか」という視点を持ちながら読んでいただけますと幸いです。
論点としては、成果と課題の切り分けが中心になります。
何ができて、何ができなかったのか、それをしっかりと整理した上で今季を振り返っていければという感じです。
後半には2019シーズンレビュー同様、「ロッド的アウォーズ」と題しまして、今シーズンのMVP、ベストゴール、ベストゲーム、もっとも印象に残ったプレーを紹介していきますので、そちらもお楽しみください。
主たる構成は以下の通りです。
⑴システムのおはなし
⑵できたこと(成果)
⑶できなかったこと(課題)
⑷ロッド的アウォーズ
⑸まとめ・考察
では、始めます。
なぜ無冠に終わったのか、そんな2020シーズンを振り返っていきましょう。
【⑴システムのおはなし】
今季は多くの配置、陣形を併用する形で戦ってきたマリノスですが、大きく分けると2つのパターンに分けられます。
それは、4バックと3バックです。
先に断っておきますが、マリノスというチームの特性上、システムの表記は多くのことを意味しません。4バックだろうが、3バックだろうが、選手がたくさんポジションチェンジをするので結局あまり変わりません。そのことを重々承知した上で便宜上システムについて論じる、その程度に思っていてください。
もちろんシステムが変われば選手の役割や起用法が多かれ少なかれ変化する部分はあります。
論点は2つです。
①なぜ3バックにしたのか
②なぜ3バックをやめたのか
これについて考えてみたいと思います。
9月に導入された3バックはそこそこの結果をチームにもたらしていましたが、10月に入ると元の4バックに戻してしまいました。
そこにはどのような事情・真意があったのか、推測に過ぎませんが、考えてみます。
〜①なぜ3バックにしたのか〜
なぜ3バックにしたのか。考えられる理由は2つあります。
❶ボスのお眼鏡にかなうウイングがいなかったから
❷エリキを生かしたかったから
これらについて論じてみます。
〜〜❶ボスのお眼鏡にかなうウイングがいなかったから〜〜
ボスがウイングに求める質の水準は非常に高いです。昨季終盤の仲川輝人とマテウスの、あれくらいの破壊力を求めています。
しかし、マテウスはチームを去り、仲川は怪我が多くコンディションが整わない状態。
これを受けて今季は、水沼宏太や松田詠太郎、エリキらがウイングのポジションで起用されてきました。彼らが活躍した試合はたしかにありましたし、彼らの長所がマリノスにとって新しい武器となる側面もありました。
しかし、昨季終盤のマテウス・仲川に肩を並べるくらいの破壊力はもたらせませんでした。本来はプレースタイルの全く違う選手なのでマテウス・仲川と単純に比較すること自体がナンセンスなのですが、チームの戦い方や相手チームの守り方を鑑みると、ウイングのところに対面の相手を強制的に剥がすような質を求めるのに対して、水沼や松田では突破できずに手詰まりとなる試合が多くありました。
本当はもっと出た選手の長所を存分に生かし、不得意なプレーを求めないやり方を構築したいところですが、そこまでを落とし込むのは難しかったのかもしれません。
〜〜❷エリキを生かしたかったから〜〜
上述したウイングの質の部分、今季初めから一貫してボスはエリキにその質の部分を求めていたように見えました。
明らかに不慣れでポジショニングにも迷いが見られ、プレーも精彩を書いていましたが、それでもエリキをウイングで使い続けました。
ボスはエリキがもたらす破壊力をこのチームの軸に据えようとしていたのだと思います。
しかし、ウイングポジションへのコンバートは難航を極めました。なかなか形になりませんでした。本来は、プレーエリアが制限されるウイングよりも自由に動き回ってプレーすることを好む選手ですしね。
そこで、3バックにしてエリキを大外ではなく自由に動き回れるポジションに置いてみた、といった感じです。
結果的にこれがハマりました。エリキは3-4-3で戦った6試合で8ゴール。
並外れた得点力をまざまざと見せつけてくれました。
〜②なぜ3バックをやめたのか〜
3-4-3で戦った(フォアリベロ採用の4-3-2-1含む)10試合で5勝3分け2敗。
負けた2試合もホームの神戸戦とルヴァン杯準決勝の柏戦。完全なハーフコートゲームで相手を押し込んで殴り続けた末に惜しくも敗れたもの。
しかし、私はこの2つのゲームに3バックをやめるに至った理由があると考えています。
相手を押し込んだは良いものの、そこから先の崩しの部分に課題が見られたからです。
崩しの局面では主に大外からのクロスが中心になっていました。ボックス内に多くの人数をかけてクロスをあげる。長身のジュニオール・サントスもいる。正直言って、これだけでも立派な崩しとして成立していますが、マリノスがこの3年間取り組んできたこと、ボスがやりたいことはそうではない、というのが3バックをやめた理由だと考えます。
そうではなく、サイドで三角形を作ってポジションチェンジを繰り返し、ハーフスペース(ニアゾーン)を取って崩す。今まで時間をかけて取り組んできたこの形をやるのであれば陣形、人選も含めて4バックの方がやりやすいです。
だからこそ3バックをやめたのだと私は推測します。
※崩しの局面における3-4-3と従来の4-2-1-3との違い
上の2つの図のうち、4-2-1-3のようにポジションチェンジを繰り返しながらハーフスペース(ニアゾーン)を崩しにかかるやり方こそ、マリノスが今までこだわってやってきたことだと思います。
3バックの方が成績が良く、勝てていることはボスも理解しているでしょうが、それでも"自分たちのやりたいサッカー"にこだわったのではないでしょうか。
どちらが良い悪いではなく、ボスはこういう理由で3バックをやめようと考えたのではないか、という推測です。
【⑵できたこと(成果)】
結果が出ず無冠に終わったシーズンでしたが、少なからず良かったこと・成果はありました。
ここでは2つの成果についてまとめます。
①ボールの動かし方の工夫
②厚みの増した選手層
以下、それぞれについて詳しく述べていきます。
〜①ボールの動かし方の工夫〜
これは特に相手を押し込んでからの崩しの局面について言えることですが、ボールの動かし方、攻め方に工夫が見られるようになってきました。
その最たる例が、逆サイドへの斜めのサイドチェンジです。
今季開幕当初は、細かいパスを用いてボールサイドを攻めることに固執するあまり、逆サイドをうまく使えていない印象が強かったです。しかし、今シーズンを戦っていくなかで少しずつ変化が見られるようになってきました。
マリノスには、扇原、ティーラトンなど、長いパスを得意とする"発射台"がいます。
特にボールサイドにスライドして守って来る相手に対しては、こうした目線を変えるパスは非常に有効です。
チームとして崩し方・攻め方が多彩になってきたことは間違いなく良いことだと言えます。
〜②厚みを増した選手層〜
昨季と今季との違いは、「誰が出てもそれなりに戦えるようになったこと」です。もちろん、相手のやり方・戦術によっていなくては困る選手はいます。しかし、それも致命傷と言えるほどではなくなっているポジションがほとんどです。
最もわかりやすい例がセンターバックではないでしょうか。
とんでもない守備範囲を誇るチアゴ・マルチンスがいなければマリノスの守備は成り立たない状態だったところから、チアゴがいなくてもしっかりと守れるようになりました。
これはなんと言っても伊藤槙人の成長によるところが大きいです。
象徴的だったのがアウェイのFC東京戦(10/24 ○4-0)。
"走る凶器"ことディエゴ・オリヴェイラ、永井謙祐というリーグ屈指のスピードを誇る2トップを完封しました。
特に後半、押し込まれる時間帯も粘り強く対応して勝利につなげたこの試合は、伊藤槙人の成長がはっきりと出た試合でした。
もともと足の速さには定評がありましたが(チアゴほどではないがかなり速い)、彼の長所は前方向への強さだと思います。相手FWに背負われてもガツンと当たってボールを奪ってしまう部分は、日本代表の畠中など錚々たる面々を揃えるマリノスのCB陣では伊藤槙人が随一のものを持っています。
このように今シーズンを通して伸びた選手は各ポジションにいるので、それぞれポジション別にまとめてみます。
〜〜❶GK〜〜
◉4人の選手を起用(異例の多さ)
◉昨季主力の朴は安定のパフォーマンス
◇秋に鳥栖へ移籍
◉新戦力の梶川も徐々に成長
◇カバーリングの部分も向上
◉秋に鳥栖から高丘を獲得
◇J屈指の実力者
◉同じく秋にオビをレンタルバック
◇ACLで獅子奮迅の働き
◇オスカルのPKを止めるGKは世界探してもそういない
〜〜❷DF〜〜
◉CB
◇伊藤槙人の台頭
◇誰が出ても遜色ないレベル
◉サイドバック
◇左右ともに国内屈指の陣容
◇過密日程下でも週1試合のペースで回せたのは大きかった
〜〜❸MF〜〜
◉ボランチ
◇後半戦の渡辺皓太・和田拓也の台頭
◇喜田・扇原コンビへの依存度の軽減
◉トップ下
◇マルコスの絶対的存在感は相変わらず
◇しかし…天野・オナイウが輝く試合もあった
◇来季の2人の奮起に期待
〜〜❹FW〜〜
◉ウイング
◇仲川のコンディション不良と遠藤の海外移籍
◇新たなピースが必要となったポジション
◇仲川・遠藤にはない水沼・前田の特徴を活かした攻め方
・例:"クロスの神様"水沼宏太の高速クロスから得点量産
◇エリキの順応
・秋以降、ウイングでフィット
◉CF
◇開幕当初はオナイウ・エジガルでスタート
◇夏に"KING"レ̶ブ̶ロ̶ン̶・̶ジ̶ェ̶ー̶ム̶ズ̶、ジュニオールサントス加入
◇ジュニオールサントスがいる時といない時で破壊力に開き
過密日程の影響でそうせざるを得なかった部分は多分にありますが、それでも多くの選手が出場機会を得て活躍したことでチームの総合力は開幕当初と比べて格段に上がっていることは明白です。
【⑶できなかったこと(課題)】
逆にできなかったこと・課題も散見されました。
ここでは主だったものを挙げておきます。
①中央封鎖されたときのビルドアップ
②手薄な攻撃
それぞれについて述べます。
〜①中央封鎖されたときのビルドアップ〜
今季苦戦した相手であるセレッソ、湘南、鹿島、ACLで対戦した水原、他にもいくつかありますが、これらのチームにはとある共通点がありました。
上図のように、マリノスのビルドアップを阻害するために、中央の3レーンを封鎖してサイドに誘導する手法を採ってきました。
結果的に外回りを強いられ、大外でボールを狩られてカウンターを食らい、そこから失点するシーンが後を絶ちませんでした。
シーズンを通してこのようなゾーンプレスを仕掛けてくる相手に苦戦を続け、そこに対する明確な答えを表現することができませんでした。
要するに、内→内のパス経路を遮断され、内→外に誘導されている状況であるわけですが、これに対する解決策、打開するためのパスの経路は主に2つあると考えます。
❶外→外
❷外→内
以上の2つです。
そのために必要な要素も含めて詳しく論じていきます。
〜〜❶外→外〜〜
サイドで起点を作り、そのままボールサイドから前進する方法です。
これを実現するためには3つの要件があります。
◇サイドで数的優位を確保
◇相手を翻弄するスピーディーなパスワーク
◇対面のSBを背負って剥がせるウイングの存在
しかし、今季はこれができない事情がありました。
◇サイドで数的優位を確保
⇒これはできる部分
◇相手を翻弄するスピーディーなパスワーク
⇒メンバーを固定できないため、コンビネーションにズレが生じる
⇒頭の疲労による判断力の低下、ミス多発
◇対面のSBを背負って剥がせるウイングの存在
⇒理不尽な質を持ったウイングがいなかった
〜〜❷外→内〜〜
こちらもサイドで起点を作りますが、そこから内側へ斜めのパスを入れることで打開を図る経路です。
これを実現するためには2つの要件があります。
◇左右の揺さぶり(サイドチェンジなど)
◇大外と内側双方の緻密なポジショニングと顔を出すタイミング
これにもできなかった要因があります。
◇左右の揺さぶり(サイドチェンジなど)
⇒今まで取り組めていないことであり、取り組む時間的余裕もなかった
◇大外と内側双方の緻密なポジショニングと顔を出すタイミング
⇒同上、取り組む時間的余裕なし
❷の方法は、どちらかというと今までマリノスがやっていない、やれていない部分です。
特に、絶えず休みなく縦へ縦へ進もうとするのはこのチームの攻撃性が出ていて良い部分もあるのですが、パスに緩急をつけたり、相手を揺さぶる横方向のパスをもう少し織り交ぜても良いのかなとは思います。
❶と❷のどちらの方法を採るにしても、横方向の揺さぶりは必要不可欠な要素です。ボスが標榜するアタッキングフットボールの範疇で、もう少し緩急と揺さぶりを使い分ける"オトナのチーム"になるともう少し安定して勝ち星が拾えるのかなと個人的には考えます。
〜②手薄な攻撃〜
これまたシステムの話をしましょう。
現在主軸として採用されている4-2-1-3と、4-1-2-3の違いはなんでしょうか?
答えは、初期配置において前線にかけられる人数の違いです。
4-2-1-3では3トップ+トップ下という4人なのに対して、4-1-2-3では3トップ+2人のインサイドハーフという5人がかけられます。
どちらが攻撃的か、それは明白です。もちろん5人をかけられる方が攻撃的ですよね。
現在のマリノスは、1人削ってでも後ろに人を割いてビルドアップを安定させることを選択しています。この方がバランスを取れるので一概に悪いとは言えませんが。
ただし、問題はもう少し深刻であり、根深いです。
それは、トップ下に入るマルコスが下がってくるので、ライン間に選手がおらず、空洞化するケースです。
この点、怒涛の連勝で走っていた2019シーズン後半はというと、たとえライン間が空洞化していたとしていたとしても、仲川、エリキ、マテウスの3トップのスピードと質でもって攻めきれていたので、こうした課題はあまり顕在化してきませんでした。
いくらボールを持てていても、前線に人数をかけられなければ攻撃が単調になってしまいます。
ポジションで言えば、ボランチやSBがライン間に顔を出してこの部分を補うべきなのですが、なかなかメンバーも固定できない中でそこまで落とし込むことができなかったのでしょう。
攻撃が手薄にならないためにどうするのか、ここは来季に向けた積み残し課題になると思います。
【⑷ロッド的アウォーズ】
私ロッドが考えるMVP、ベストゲーム、ベストゴール、印象に残ったプレーをそれぞれ挙げていきます。
これについては、こちらの動画でも"興奮気味に"語っておりますので、併せてご視聴いただければと存じます。
ではさっそくご紹介していきましょう!!
〜①MVP〜
エリキ!!
受賞理由:
チーム最多得点タイというだけで十分MVPに値する働きだが、9月にマークした6試合8ゴールはもはや彼にしかできない偉業。
過密日程にもめげず出場すれば疲れなど微塵も感じさせない元気はつらつとしたプレーぶりは見てる側も元気をもらえる。
個人的に最も評価しているのは新境地・左ウイングへの挑戦・順応の過程。
今季初戦のゼロックスで露骨にポジショニングに迷う姿が見受けられるが、その後不慣れなポジションへの適応に懸命に取り組み、秋以降ついにフィット。本人も相当悩み、試行錯誤を繰り返していたに違いない。
エリキについて語ればキリがない。(良くも悪くも)今年はエリキの年だったと言っても過言ではない。
頼むから来シーズンも残ってくれ!!!
〜②ベストゴール〜
9/19 アウェイ鳥栖戦の3点目・マルコスのゴール
受賞理由:個人の強みを活かしつつ組織的な崩しで奪ったゴール。
ティーラトン(展開力)→エリキ(裏へのランニング)→和田(そこ見えてるの感)→水沼(高精度クロス)→マルコス(ゴールへの嗅覚と動き出しの妙)
〜③ベストゲーム〜
2/19 ACL第2節 シドニーFC戦(○4-0)
受賞理由:
ザ・パーフェクトゲーム。
シドニーを窒息させるかのようなハイプレスがものの見事にはまり、最初から最後までハーフコートゲーム。これ以上にエキサイティングで見ていて楽しい試合はこれ以降なかったと断言できる。
現地で見ていてつい「強い…。」とうっとりしてしまった試合。
来季もこういう試合がたくさん見たい。
〜④最も印象に残っているプレー〜
8/19 アウェイ清水戦の開始2分ジュニオール・サントスの独走ゴール
受賞理由:筆者が大爆笑してゴールを喜ぶのを忘れてしまったプレー。
理不尽、あまりにも理不尽😂
今までマリノスを応援してきてもこんなに衝撃的なゴールはなかったかもしれない。
【⑸まとめ・考察】
論点をまとめると、以下のようになります。
■3バックにまつわる論点
⑴なぜ3バックを導入したのか
・ウイングの不在
・エリキを生かすため
⑵なぜ3バックをやめたのか
・本来やりたいマリノスのサッカーがやりたかったから
■成果
◇ボールの動かし方の工夫(崩しの局面)
・サイドチェンジも織り交ぜるように
- 扇原、ティーラトンの強み生かす
◇厚みを増した選手層
・過密日程で多くの選手を起用
・各ポジションに同レベルの選手を2人ずつ取り揃える
・各選手の成長
■課題
◇中央封鎖されたときのビルドアップ
・サイド誘導→被カウンター多数
- 例:セレッソや水原など
・解決策❶、❷も今季は表現できず
⇒来季の積み残し課題
◇手薄な攻撃
・ライン間が空洞化する現象が多発
- マルコスが降りてことによるもの
・今季は解決策を表現できず
また、この特殊なシーズン、過密日程がマリノスにどう影響したかについて改めて考えてみます。
《過密日程が与えた影響》
■良い面
◇相手チームの準備不足を露呈させた試合
・試合間の準備期間が短いことによる
・システムごと変えて対策するようなことはできない
■悪い面
◇飲水タイム
・試合中に修正される時間ができてしまう
◇5枚交代制
・相手の運動量が落ちない
◇連戦続きの日々
・"対策の対策"を落とし込む時間がなかった
このような良い面と悪い面があり、結果的には悪い面が色濃く出てしまったのでしょう。特に試合単体で見ると、5人交代制はハイインテンシティで押し切るマリノスにとってはマイナスに働いた面が強いと考えます。
今季逆転負けが多かったのはマリノスの足が止まったタイミングで多くの交代枠を使ってフレッシュな選手を入れてきた相手に畳みかけられてしまった、という見方もできそうですね。
《考察》
色々述べてきたけれど、結局なぜ無冠に終わったのか。
私なりの理由を述べます。
それは、⑴ウイングの質不足とそれを補う組織戦術を落とし込むのに要する時間的余裕がなかったこと、⑵連戦によって身体だけでなく頭が疲労し、それが要所でのミス誘発していたことです。
大前提として、マリノスのサッカーは普通以上に頭を使うものです。週に1試合のサイクルであっても選手にかかる負荷は相当なものであるにもかかわらず、それが週に2試合あったわけです。
いくらターンオーバーをしているといっても難しいものがあります。
それに加えて新加入選手が多いシーズンでもあったので、戦術を浸透させるのも至難の業でした。
だからといって「しょうがない」で済ませるべきでもないのかなと。
今後アジアの頂点を狙うのであれば、連戦にも耐えうるチームにしていかなければならないからです。ACLがあれば週2で試合をするのが当たり前になります。
今すぐにとは言いませんが、再来年再びACLに出場して旋風を巻き起こすために、来季からチームとしてもう一段、二段成長する必要があります。
それでも、まずはこの大変難しいシーズンを乗りきった選手・スタッフに心からお疲れ様でしたと言いたいです。目に見えないウイルスと戦いながらの生活は相当ストレスも溜まったでしょうし、その中で勇猛果敢に戦う姿を我々に見せてくれて、我々は多大なる勇気をもらいました。戦術云々は置いておいて、これについては感謝しかありません。
来季は今季積み残した課題をまた一から修正していくところから始まるシーズンかと思いますが、マリノスならばそれに対する解決策を形作り、落とし込み、表現することができるはずです。
来シーズンこそ!王座奪還!必ず!!
Fin.