2020J1第25節 横浜F・マリノスvsサガン鳥栖@三ツ沢
負けなくてよかった・・・。
5連勝を期して臨んだホームでの鳥栖戦は、なんとも微妙な試合に終わりました。
案の定、試合後のボスは激おこぷんぷん丸(死語)。
ボスを怒らせるに至った経緯、とりわけ今季ベストゲームとの呼び声高かった10日前のアウェイ鳥栖戦と何が違っていたのか。これについて考えることがこの試合を紐解くことになるので、ここをクリアにするレビューにしたいと思います。
ボスは「自分たちに原因がある」という旨のコメントを残していましたが、やはり相手あってのサッカーなので、鳥栖がやってきたこととマリノスの課題の2つに切り分けてまとめていきます。
構成としては以下の通りです。
⑴鳥栖の変化
⑵マリノスの変化
⑶まとめ・考察
では、始めます。
【Starting Lineup】
■横浜F・マリノス
◇基本システムは3-4-2-1
◇前節からスタメン7人変更(水沼、和田、扇原、高野、松田、サントス、前田)
◇前節から中2日
◇開始早々に高野が負傷→大津に交代
■サガン鳥栖
◇基本システムは4-4-2
◇前節から6人変更
◇前節から中2日
【鳥栖が見せた変化】
鳥栖が見せた変化についてですが、とりわけボール非保持の部分に見られました。結論から言うと、前回対戦時よりもスペース管理を徹底していました。
これはマリノスが前節に戦った柏レイソルが採用してきた戦術を参考にしていたのかもしれません。具体的に言うと、縦横のスペース圧縮です。特に柏と似ていたのは、DFから前線までの縦のラインをコンパクトに設定していたことでして。
前節のレビューにも書きましたが、縦方向にコンパクトさを保つ戦術の強みはスペースを消すことでマリノスの選手がライン間で縦パスを受けて起点を作る動きに制限をかけるためです。
しかも鳥栖が厄介だったのは、横方向にも圧縮してきたことです。ボールサイドに人をかけてボールを奪いにかかり、清々しいほどにマリノスの逆サイドのウイングバックを放置してきました。ただし、ここは前回対戦と変わらない部分なので軽く触れておく程度にしておきます。
以上を受けて鳥栖のプレッシングを図に表すとこのようになります。マリノスが苦手とするやり方をきっちり落とし込んで臨んできたこと、また、試合の最後まで運動量が落ちなかった部分について、鳥栖は素晴らしかったと思います。普通に強かったです。
appendixとして、前回対戦時の鳥栖のプレッシングに対するマリノスのビルドアップの攻防の図を置いておきます。
【マリノスの変化】
では、マリノスは何が違っていたのか。それは、相手の浅いラインの裏のスペースで勝負できた前回対戦と勝負できなかった今回の試合という相違点にあります。
10日前にスタメン出場していたエリキ・サントス・マルコスの3トップは、DFライン裏の広大なスペースで暴れ回り、前半のうちに電光石火のごとく3ゴールを奪ってしまいました。
その時と同じような展開にできなかったポイントとして、代わって出た松田と前田のところは挙げられますが、だからといって彼らの出来が悪かったわけではありません。
6試合8ゴールを決めてしまうど変態ストライカーと同じ働きを求めること自体がナンセンスというものです。
エリキが出ないときには代わりに出る選手が活きるようにやり方を少し変える必要があるわけですが、こういった部分を整備しきれないのも過密日程の弊害だと思います。
必然的にプレータイムも限られるなかでそれぞれの役割をベンチメンバーにまで落とし込むのは思ったよりも非常に困難なのでしょうね。
【まとめ・考察】
論点をまとめると、以下の通りになります。
■前提:10日前の対戦とは異なる展開だった
■結論:たった10日だが双方に変化があった
■原因:マリノスのボール保持が機能しなかった
◇ビルドアップの面
▼修正された鳥栖のプレスに大苦戦
=鳥栖の変化
◇崩しの面
▼前線の質で押しきれなかった
=マリノスの変化
■課題:代わりに出た選手のクオリティ不足
■エクスキューズ:
⇒過密日程により練習が満足にできない
⇒ベンチメンバーへの落とし込みができない
以上です。
史上稀に見るクレイジーな過密日程に加えて怪我人が増え始めています。この先の躍進は、代わりに出た選手がいかに効果的な働きをし、ファーストチョイスの選手の不在を感じさせないか、という点が非常に重要になります。
本当の意味で総合力が求められるのはここからですね。
この日思うような活躍ができなかった選手が次の試合で奮起してくれることを願って止みませんし、私は必ず何かを見せてくれると確信しています。