本能の変
現代人は理性を過大評価して
本能を過小評価しとるッ!
本能を信仰しているワシは極めて遺憾。
そこで改めて本能の力を再確認しよう。
本能とは
本能の定義は「進化で獲得した先天的な行動プログラム」である。よってヒトという種に共通するものであり、全ての人間が持っている。
ここで注目して欲しいのが「進化で獲得した」という部分。本能は進化によって作られた行動の総称だ。では進化によって行動が作られるとはどういうことか?これは進化論という概念を理解すれば分かる。
ザックリ言うと、生存と生殖に有利な特徴が子孫に受け継がれる。それを何世代も繰り返すと特徴が強化されていく。キリンの首が長くなったのは、首が長い個体が生存・生殖に有利だったからだ。
つまり、とんでもない数の世代単位でPDCAを回しまくって残ったものが本能なのである。例えば食欲のない個体は生存できないので淘汰されたはずだし、性欲のない個体は子孫を残さずその特徴が受け継がれることは無かった。このように我々が先天的に持っている行動たちは長い長い年月をかけて人類が獲得してきた生存・生殖のためのプログラムなのである。
本能>理性
一方で理性は後天的に獲得した行動プログラムである。文化・社会から影響を受けたり、自分で考えたりして作られる。例えば「大学に合格するために勉強する」というのは理性だ。ヒトに共通するものではない。文化・社会の影響と本人の考え方によるものである。
ここで強調したいのは、本能>理性であるということ。なぜならパワーの源が違いすぎるからだ。先天的に作られている本能は何万年もかかって形成された強固なプログラムである。一方で理性は後天的。ヒトの一個体は長く生きてもたかだか100年程度。作られてきた時間が違う。
そして定義からして理性は「生存」「生殖」に直結しない。我々人間にとって最も関心のあるテーマから外れている。よって本能に比べると圧倒的に優先度が低いのである。
本能は偉大である。何百万年かけて作られたもので、生存・生殖へのインパクトが大きいからだ。対して後天的に身に付けた(生物としては)どうでもよい理性。本能が圧倒的にパワフルで強いのは当たり前である。オナ禁、ダイエット、睡魔との戦いの難しさを考えると本能>理性がよく分かる。例えるなら本能に理性で挑むのは腕相撲を小指だけで戦うようなもの。いくら小指を鍛えようと元の出力が違いすぎる。
本能に逆らうと高くつく
理性が人工物であるのに対し、本能は自然である。自然の摂理に逆らうには大きなエネルギーがいる。例えば重力に逆らう運動は大きな筋力を要求される。またこれほど科学が進歩した時代にも地震・異常気象には勝てない。自然の摂理は絶対であり、我々はこれに支配されている。逆らうのは大きなエネルギーが必要で、非常に難しいことなのだ。
よって自然の摂理に逆らおうとする行為は高くつく。例えば高齢出産。ヒトは10代後半から20代に出産するように身体が出来ている。高齢出産はこれに大きく逆らうことをしている。だからテクノロジーが進歩した時代でも、高齢出産は危険だし奇形児・障害児リスクは跳ね上がる。自然の摂理に逆らうと高くつくのだ。
老人がいつまでも生きるのも自然の摂理に反する。動物である以上、自分の力で食事を出来なくなったら死ぬのが自然の摂理だ。それをいつまでも生き永らえさせようとすると医療は大変だし幸福度も低い。死ぬべきときに死ぬのが自然の摂理なのである。
自然に従って生きよう
反対に自然の摂理に従って生きるのはラクだ。何せ自然法則が味方に付くから。ただ高いところから低いところへ移動するようなもの。重力に従うだけで良いのだ。
人間の生き方も、自然の摂理に従うことを考えるとクリアになる。自分のちっぽけな人生で獲得した「思考」より先天的なプログラムの「本能」に多くを任せよう。感情と欲求にフタをしない。なるべく本能に従って人生を歩む。より大きな力を使って大きな幸福を得よう。
さて、本能と理性の特徴は分かった。
ではどうやって両者を区別するのか?
答えは簡単で、思考と直感である。思考による判断、行動は理性。頭で考えているものだ。対して本能は直感。思考が介在する余地がない。例えば町でいきなり殴られたとき、相手が自分より弱そうなら怒りが沸く、強そうなら逃げ出す。これは本能。判断をするのに考えていない。「ここで相手にやり返したら裁判で~」という思考が理性。本能は思考より先に来る。考える前に判断したり行動したりする直感的なプログラムなのだ。
本能を働かせるには
ここまで本能の特徴、本能の強さ、本能に従うことの重要性を見てきた。最後にどうすれば本能を味方に付けられるかを話す。結論から言うと、狩猟時代のように生きれば良い。それが本能がワークする環境であり、我々が善く生きるコツである。
先述の通り本能は進化によって作られた。進化という何万単位の世代間でPDCAを回し続けることで磨き抜かれてきたのが本能だ。ここで考えて欲しいのは、人類の歴史は99.9%が狩猟時代であったということ。最もPDCAをたくさん回した時代は狩猟時代。農耕は長く見積もってもここ1万年のトレンド。資本主義も情報社会も短~いブーム。ずっと狩猟をして生きてきた我々にとっては誤差。本能は「狩猟時代に適応したプログラム」である。よって狩猟時代でワークするように出来ている。
例えばヒトが脂質・糖質・塩分を好む本能は狩猟時代にそれらが貴重な栄養だったから。だから美味しいとプログラムされている。ところが飽食の時代にはミスマッチして生活習慣病が出来ているという訳だ。本能は我々の味方だが、我々が狩猟時代に生きていてこそ役に立つ。
だからこの強力なパワーを持つ本能を味方に付けるためには、狩猟時代のように生きれば良いのだ。ではどうすれば狩猟時代のように生きられるか。狩猟時代の暮らしを知り、現代とのギャップを減らしていくこと。これが答えである。以下にアクションを書いておく。
【睡眠】
・日光を多く浴びる
・スマホ依存を避ける
・十分な睡眠をとる
・太陽のリズムに従う
【運動】
・毎日たくさん運動する
・運動能力と筋出力を鍛える
・熟睡できるほどの肉体疲労を得る
・投てき能力を鍛える
【食事】
・自炊を多めにする
・狩猟時代に近い食事をする
・多めに肉を食べる
【共同体】
・気の合う仲間と公私混同で働く
・オフラインを大事にする
・定期的に儀式を行う
まとめ
・本能=進化で獲得した先天的な行動プログラム
・本能>理性である
・本能は万単位、理性は個人単位
・本能にフリーライドすると生きやすい
・本能は幸福の源である
・本能は狩猟時代に最適化されている
・本能を使いこなすには狩猟人であれ
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