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簡単に事務所を辞めるなの話
フリーランスで仕事し出してから、たまに後輩芸人から「僕も事務所辞めようかと思ってます」って相談されるのだが、僕の答えはだいたい「辞めない方がいいよ」だった。
芸人のきみも事務所辞めようと思ったことあるでしょ?
辞めない方がいいよ。
今回はお笑い芸人・エンタメ屋としての内容です。
以前に所属していたソニーミュージックアーティスツのことを軸に話します。
お笑いの事務所は「エージェントシステム」なので実際は所属ではないのだが、ここでは分かりやすく「所属」という表現を使うね。
そもそもロッキーいしみねのスタンスと事務所での立場
ソニーミュージックアーティスツという事務所に数年間所属していたが、僕は所謂「世間のイメージするお笑い芸人」の枠組みで活動していなかったし、事務所内での芸人ヒエラルキーからも逸脱していた。
僕は
・ネタで売れることを前提に活動していない
・タレントとしてのブランディング志向
・メディア仕事を個人で獲得する
・外注の仕事を事務所にパスする
・自分以外の芸人への仕事の斡旋(事務所を通して)
・イベント制作など、クライアントとして事務所とのビジネス付き合い
という働きをしていた。
つまり僕のソニーでの活動は「ネタじゃなくタレントとして売れることを優先して、尚且つ自分でメディアの仕事を獲得し、さらに他の芸人への仕事の斡旋もエージェントとして事務所にパスしていた」のだ。
イメージするお笑い芸人とはズレがあるよね。
ちなみにソニーミュージックアーティスツという事務所のお笑い部門は「ネタ至上主義」である。
そして他の事務所でこんな活動すると絶対にクビになるので、ソニーミュージックアーティスツさんには本当に感謝しています。
辞めることで発生するメリット
辞めることで得れるメリットをいくつか紹介しましょう。
ギャラの取り分が増える
当然だが、事務所から抜かれるエージェント費がなくなるので、ギャラが丸々もらえる。これはありがたい。
仕事を自由に選べる
わがままにしていたとはいえ、さすがに事務所の看板を汚せないので仕事選びは自由じゃない。
事務所サイドからの「ダメ」の一言でオーディションの結果も水の泡。
オーディションも自由に選んでいける。
しきたりからの解放
ネタ見せ、事務所ライブ、手伝いなどの事務所ならではの作業から時間もお金も解放。
など。
辞めることで発生するデメリット
もちろんメリットがあればデメリットもある。
仕事を自分で取らなければならない
仕事やオーディションなどは、事務所とクライアントの信用やこれまでの関係性などから生まれるものが大半で、これまで事務所を通して得れた仕事は無くなる。
それを自分で取ることがめちゃくちゃハードだということ。
看板がなくなる
これまでの「”ソニーの”ロッキーです」という看板がなくなるので、業界だけではなく世間からの風当たりが強くなる。
信用の変わり方は想像の何倍にもなる。
付き合いが薄くなる
仲の良かった先輩・後輩芸人との付き合いは確実に減る。
やはり事務所所属は「仲間意識」を生むし、これは芸人にとって大事なことだ。
舞台やテレビでの絡みなどもスムーズになるし、よっぽどフットワークが軽くても付き合いが減ることは受け入れた方がいい。仕方ない。
など。
事務所所属のメリット
事務所所属にる1番のメリットは看板による信用だと思う。
フリーは想像の何倍も舐められるし、これは絶対に勘違いじゃない。
確実に舐められる。
仕事が大きくなればなるほどフリーは舐められるし仕事が取りにくくなる。
キー局がフリー芸人をレギュラーにするわけないもんな。
ここを見落としがちだし、事務所から看板と信用の恩恵をどれだけ受けているか本当に実感するべき。
マジで感謝しまくってくれ。
僕が辞めた理由
上記に表したことは真実だし、それを総合するとお笑い芸人は事務所は辞めない方がいい。
じゃあなぜ僕は辞めたのか?
1つ目は、今後のブランディング展開として事務所に所属することで迷惑をかけることになりそう。
2つ目は、ネタ至上主義の事務所の方針に従わなすぎて申し訳ない。
細かいこと言えばキリはないが、大まかにこの2つが主な理由になるかな。
それと前述したように自分で仕事作ってたし。
この辺はまたどっかで話しますが、実は「芸人はエッセンシャル思考が弱くてサラリーマン化してきている」ことの話をしなければならないので、ここじゃなくもう少し時間を割きたい。
はっきりとしたプランニングがなければ辞めるな
1年後、3年後、5年後、10年後にどういう活動しているのかプランニング出来ないと辞めない方がいいと思う。
事務所の力は絶大だ。それに勝てるプランニングか必要なんだよ。
「賞レースに勝って、オーディション受かって、テレビ出て、、、」みたいなプランなら事務所は絶対に辞めるな。所属のままいろ。
ちゃんと世間の流れ・メディアの位置・エンタメ事業・顧客の変動・お笑いというコンテンツの未来など、とにかくありとあらゆる事象を計算してくれ。
生き方や感性が違うのでラットレースにいつまでも身を投じることが悪いとは思わない。
各々の人生だから。
「変に動くよりじっとしている方がよっぽどいい」って人もいるってことをわかって欲しいし、それが君の可能性は低くない。
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