弾丸佐渡と日々の記録 2024.8.19
さてさて、「毎日があっという間」って何回呟いているんだろう、この夏。そして、何回来るんだ、台風。また新しいのがやってきているみたいですね。どうか無事に乗り切れますように。(こればっかりは祈るしかない)
この働き方になってから、思いもよらない仕事が降ってきたりして、思いもよらない場所へ行くことになって、思いもよらない出会いがあったりします。毎度「わ!そうきたかー!」となって驚きながらも、なんとかなんとか向き合ってきたわけだけれど、それが今回は佐渡でした。
最近は、佐渡からの新潟にいました。
初めての佐渡。世界遺産に『佐渡金山』が登録されることが決定したばかりの場所です。佐渡が初めてならば、「佐渡汽船」も初めて。その初乗船がまさか深夜2時台に出発するものになるとは思わなかったが…
それでも何故かハイテンションで深夜の高速をひた走り新潟へ。新潟港から乗船。(意外とこの時間でも家族連れやご夫婦、バイクなど乗る人はいました)今回は荷物も多いのでカーフェリーをお願いしていて吉。誘導もスムーズでとにかく快適でした。それにたって、やはり早朝はつらい。快適な環境ではあったけれど、体内時計は狂いに狂って熟睡はできず、そのまま到着からの、両津港で日の出を迎えました。
さて、仮眠を取ったらいよいよ『佐渡金山』へ。両津港から相川方面へ向かいます。道中の景色は港から次第に田んぼ、そして山へ。ここまでは、港以外は自分が住んでいる会津と似ている。途中、夜の撮影場所の下見しつつ一休みを挟み、さらに山道を抜けて『佐渡金山』の入り口に到着。観光客はどのくらいだろう?と思いながら訪れたけれど、平日だったということもあってか、駐車場は割とスイスイ。(13:00時点)第一駐車場に難なく停めることができました。
初めての場所は何が起きるかわからない。予定の1時間前に到着。時間が空いたので、先に撮影スポットをおさえておこう!と受付にご挨拶したら、担当者がたまたま対応可能とのことで、お話もお伺いでき、早めの仕事スタート。(臨機応変なご対応に心より感謝いたします)
いや、おもしろいな『佐渡金山』。約400年もの歴史。手堀りの高い技術からの機械などの導入への対応力。実直な作業員の方々の生活を垣間見ることができました。何より、採掘によって山が割れたような姿になった「道遊の割戸」は大迫力。世界遺産登録、本当におめでとうございます!
そこから、次の現場へ車で40分ほど。
佐渡のフレンチガストロノミーが味わえるレストランへ。ドタバタ決まった今回の案件。正直、下調べが全然間に合っていなかった。(これについては心の底から反省しています)レストランの情報を深く把握せずに訪ねてしまい、申し訳なかったと思う。そんな私に、いくつかの資料を見せていただき、親切に対応してくださいました。そして、レストラン内外をご案内いただきました。
シェフは、なんと「焼杉」を作るためのダクトのようなものを作っていました。なんでも一から手作りするのがフレンチでは当たり前の考え方。飼っている鶏のとれたて卵、自家製ベーコン、自家製パン、自家製ジャム。(焼杉はもはや建築資材なのでビックリですが、レストランからオーダーがあったらしい)あらゆるものをシェフとスタッフの手から生み出していきます。訪れた時も、スタッフはソーセージの仕込み真っ最中。「この店の考え方を理解しているスタッフが集まってくれている」と話すオーナー。時折聞こえてくる話し声や笑い声が店の雰囲気を伝えてくれていました。(初めて来たのになんて心地いい空間なのだろう!)シェフの写真もアヒルさんと一緒に撮らせていただきました。(店の裏にはアヒルや鶏が放し飼い)
佐渡はトキと共生する島。地域の農家さんも減農薬での栽培に取り組んだり、ガスや電気に頼らない薪窯で使う薪を提供してくれたり、環境への意識の高さが暮らしの豊かさに繋がっているのだろう。こちらのレストランでは、「コミュニティレストラン」として地域の人と人を繋げる場としても開放していて、豊かな資源を循環させながら生きていくことを体現していました。
資本主義の世の中。お金を出せば便利なものが手に入る。でも、それって本当に”豊か”なのだろうか。
オーナーと話していくうちに、こういう暮らしがあってもいいな。かっこいいな、と感じると同時に、自分にはどんなことができるのだろうとも思いました。全てを自らの手で生み出すことは、私にはとてもハードルが高い。でも、小さくてもやれることはあるはず。考えながら実践を。
とてもいい刺激になりました。
どんどん話していくうちに、オーナーとは共通の知り合いがいることも分かり、さらにはシェフは世界中で暮らしながら、レストランのシェフはもちろん、小説家、批評家など様々な職種を経験していて、その中でも最も興味深かったのは、写真家であるということでした。師匠が「600℃」という写真集を出すほどの火のある場所を追い求めた写真家であるということ。その写真集をチラッと見せていただいたのですが、これがまた素晴らしい作品で。間違いなく惹き込まれていくものでした。写真家とレストランのシェフ、二つは一見似つかない。けれども、「シェフはこれらの写真を撮るために世界中を師匠と旅をしていたので、その火を使った表現ということでこの店も一つの作品なんです」とオーナーから伺って、そういうことか!と腑に落ちた。
とても面白い。私のおもしろセンサーが激しく反応いていた。
私もなんだかんだ、地方誌の編集、学校事務、調理師、カメラマン、ライター、農業など様々な仕事を転々としていて、転職する度に周りから「また全然違う方向に行くの!?」と驚かれることがたまにあるが、自分の中では全て繋がっている一本道。自分の人生、思う存分その一本道を突き進みたい。
私は不器用なので、何かを知りたいと思ったら、それを完全に(完全なんてあるのか?)知るためには時間がかかる。店ならば、通う。人ならば、会いに行く。土地ならば、行って滞在してみる。
「今度は仕事じゃなくて、ゆっくり来ますね」
そう伝えて別れた。素敵な出会いだった。今までも、かなり多種多様なおもしろい人たちに出会ってきたけれど、まだまだこういう出会いは嬉しい。必ずやまた、お会いしましょう!
さてこの日最後は、産業遺跡『北沢浮遊選鉱場跡』のライトアップだ。日没は18時過ぎ。夕日を眺めながら車を走らせ、現場到着。だんだんと暗闇が広がり、19時に点灯。しっとり静かで、とても美しかった。
(この後は色々あって睡眠不足ではあったけれど、とても思い出に残る佐渡の滞在だった。翌日の朝、またカーフェリーで新潟に帰りました)
今回は仕事での弾丸佐渡でしたが、とても良いところで感動。早くもまた行きたくなっている。最低、次は2泊3日くらいは滞在しながらのんびりと過ごしてみたい。
お世話になった皆さん、ありがとうございました!
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