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Reflections / The Fantasy Effect Redux (2022)〜DjentからThallへと踏み込んだプログレメタルコアバンドの原点回帰〜

ミネソタ出身プログレッシブメタルコアバンド、2年振りの初期作品リダックス盤。

2010年結成の比較的若いバンドだけど、2016年に1度活動を休止、2019年に再始動して2020年にはフルアルバム『Willows』をリリース。

今回は自主制作していた『The Fantasy Effect』の10周年記念ということでしょう。しかし単純なリマスターではなく、あくまで全ての楽曲を再構築している。

音楽性としては、多弦ギターのドロップチューニングによる激重Djentサウンド。この手のバンドは2010年以降著しく増えていったんだけど、Reflectionsはその中でも断トツに“重い”バンドだと思う。

本作を除いて最新リリースとなる『Willows』では、大きな魅力であった叙情フレーズやメロディーをほぼ封印し、Humanity's Last BreathやVildhjartaを彷彿とさせる重低音の壁(DjentならぬThallと表現される)をぶつけまくる過去最高にブルータルな作品だった。

多くのプログレッシブメタルコアバンド、(特に2010年代以降のDjent系)のバンドが積極的にメロディーを取り入れてマイルドになっていく中、敢えてブルータルな側面にフォーカスしたことで、かなり異質な存在感を放っていたのは記憶に新しい。

そんな彼らが原点回帰ならぬ初期作品『The Fantasy Effect』を再構築するっていう今回の企画、ぶち上がらずにはいられないでしょ。

確かに彼らの作品の中では、自主制作かつデビュー作品ってこともあったから、音質的に今ひとつ抜け切らない部分があったりはしたんだけどね。

で、腰を据えてかなり聴き込んでみたんだけど、これはもう完全に別物に仕上がってる。

ベースとなる刻みやリフ、ギターソロといった部分はもちろん踏襲して制作されているんだけど、アレンジはかなり違う。音質はより厚みを増し、ボーカルJakeのパフォーマンスも格段に向上した。

そして何より2012年の作品を10年経った今アップデートしても余裕で通用する懐の広さよね。そういう意味ではデビューした時点でかなり完成されてたのが分かる。

今回も各曲の感想を記すが、残念ながらYouTubeではフルストリーミング形式でのアップロードのため、動画は単発で掲載。

#1「Ceilings」は冒頭の電子音によるアレンジが全く別物。過去に聴いた作品なのは間違いないんだけど、かなり新鮮な気持ち。で、ガガッガガガッと刻むDjent節はお決まりのパターンだけど、Jakeは歌い回しをかなり変えてる。

#2「Ms.Communication」は叙情フレーズをとことん盛り込んだプログレッシブメタルコア。SEが入って少しチープな雰囲気になってたこの曲だけど、音圧が増して尚且つクリアになったことで雰囲気変わったね。

#3「Good Push」は音質の向上による進化が目覚ましい。空間的なエフェクトを施したイントロからジェンティーな展開へ、そこから疾走パートへ雪崩れ込んでいく美しい曲だ。後半の泣きのソロもめちゃくちゃ良いよね。

#4「An Artifact」は本来#5だった曲。当時は何気なく聴いていたけど、確かに今の並びのが良いね。この曲は後半がとにかく美しい。情感のあるリードギターが存在感放ちすぎ。いや、名曲多すぎるな。

#5「Picture Perfect」はモダンなDjentナンバー。ギュルギュルとやかましく唸るギター、ブヨブヨのグルーヴにフラッシーなソロが差し込まれ、お次は機械的な刻みへ移行。

#6「Advance Upon Me Brethern」は彼らのデビューシングルで、思い入れのある曲なんじゃないかな。ノリの良いグルーヴ、不協和音的にピロったギターを差し込むのはWithin the Ruinsを彷彿とさせる。

#7「Lost」は次曲と繋げていく組曲的なインストナンバー。オリジナル盤よりも収録時間が少し長め。

#8「And Found」は初期の時点で名曲確定していたけど、Reflectionsの最大の魅力とも言って良い叙情メロとDjentの融合が凄まじく美しい曲で、音質の向上により一層空間的な広がりを感じることが出来る。

#9「The Fantasy Effect」は本作において新たに追加されたインスト。ポストロックのようなゆったりとした空気の3分間で、ラストの長尺トラックに向けての準備をさせてくれる。

#10「Rotations」は9分へと尺が伸びた。こういう長尺の曲は良い音質で聴くに限る。この曲もリードギターがとても情感豊か。Veil of Mayaのようなトリッキーなプレイも挟みつつ、中盤からはポストロックへと移行。煌びやかな単音フレーズとミニマルなリズム隊でゆったり進行した後、ラストに向けて壮大に展開していく。

良くも悪くも自主制作感の強かったあのデビュー作が、10年越しにハイクオリティーな作品として蘇った。あの時の感覚を呼び起こしてくれるとともに、Reflectionsの更なる進化を期待させる素晴らしい1枚。

ちなみに本作は100枚限定でフィジカルプレスがあるようなので欲しい人は是非ゲットせよ。

★★★★★



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