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Waking The Cadaver / Authority Through Intimidation (2021)〜ブルータルデスメタル+ハードコアのオリジネイター、堂々の帰還〜

ニュージャージー出身ブルータルデスメタルバンド、8年振り通算4枚目のフルアルバム。前作リリース後に開店休業状態が続いていたものの、Unique Leaderと契約を果たしシーンに舞い戻ってきた。

彼らが実践しているのはスラミングブルータルデスメタルにハードコア要素を大胆に盛り込んだスタイルで、シーンの中でもかなり新鮮なサウンドをやっていると思う。前作『Real-Life Death』では見事に2つのスタイルを融合させた非常にバランスの良い作品だったけど、今作も基本的なスタイルは踏襲。

ボーカルはゴボゴボと下劣なガテラルやブルデス由来のグロウル、怒号系のグロウルなど実に多彩。実際このボーカルの表現力の高さがあるからこそ、ブルデス+ハードコアを実現出来ていると言っても過言ではない。

シーンでも唯一無二のサウンドを獲得した彼らの久々の新作ということで、期待は当然高まる。

そんでこれむちゃくちゃカッコいい。

ハードコア成分とブルデスの残虐性が凄まじい勢いで入り乱れ、はちゃめちゃに暴れ回るボーカルと完璧に融合している。

プロダクションがさらに向上したことにより、ハードコアの熱量やブルデスリフの残虐性が必然的にパワーアップ。サウンド全体が持つ切れ味やタイトさ、ボーカルとの親和性は過去最高潮。
やってること自体はチャレンジングなので賛否はあると思うが、こういうサウンドを体現できるバンドそうそういない。なんなら現存するスラミングデスコアバンドは彼らの影響無くしては語れないのでは。

#1Civic Assault」は初っ端からゴボゴボ唸りを上げるボーカルがインパクト大。そこから攻撃性を高めてハードコアな疾走。今まではハードコアパート=怒号グロウルというイメージだったけど、本作はボーカルがかなり自由にやっている。これを違和感なく仕上げるのシンプルにすごい。

#2Corpse Decomposition」はハードコア系のグロウルと下劣ボイスを交互に繰り出しリズミックに展開。音がタイトになった分、ボーカルに少しコミカルな遊び心が見える。

#3Human Chop Shop」残虐なデスメタルリフからのスラムパートが強力。粘り気のあるグルーヴでハードコアをしながら下劣なガテラルや爆走を組み込んでやりたい放題。クラシックなブレイクダウンでフィニッシュ。

#4Frenzied Vehicular Rampage」は音的にはほとんどハードコアだけど、ガテラルや突発的な爆走を駆使して一定のブルデス感は演出。ラストの声色の変え方はどこで息継ぎしてるんだこれ。いやしてないのか。

#5Arbiter of Punishment」はこれぞWaking The Cadaverの真骨頂と言わんばかりのブルデスmeetsハードコアを体現してて、猛烈なアグレッションを楽曲に閉じ込めている。下劣な声質からハーコーなグロウルへの切り替えがめちゃくちゃスムーズで、Don Campan1人でDespised Iconをやっちゃってるような感じ。筋肉質なデスコアスタイルも彼らにかなり近い。

#6Threaten Physical Force」は瞬発力の高いドラミングやブルデスらしい刻みにスラミングスタイルを持ち込んだ楽曲。これもお手本みたいな楽曲で、スラムパートからの猛烈な爆走で緩急の対比を最大限まで引き伸ばしている。

#7Asphyxiating Ligature」もパンチの強いスラムデス。ドラマーにMarco Pitruzzellaが加入した功績はデカい。明らかに作品を通してアグレッションが向上してる。後半の手数足数で攻めまくるドラミングとギターノイズ、Donの猛攻にはもう手が付けられない。

#8Authoritative Aggressor」は2分程の短尺にDonの出し得る全ての声質を詰め込んで、サクッとスラムして駆け抜けていく。

2013年リリースの前作の時点でそのスタイルは完全に確立してたけど、プロダクションの大きく向上した本作で再評価される可能性が高いね。

この調子で、過去作のリダックスとか作ってくれても全然良いんだぞ。

★★★★★





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