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Cognitive / Cognitive (2014)〜テクニカルデスメタルとハードコアの融合〜
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ex-Waking the Cadaverのメンバー要するテクニカルデスメタル〜デスコアバンドのデビューアルバム。
本作をきっかけにUnique Leader Recordsの目に止まり、契約を果たしている。
何気に本家のWaking the Cadaverが2021年の復活作をもってやっとUnique Leaderとの契約を勝ち取ってるので、実はこのバンドのが先を越してるんだよね。
とはいえこのバンドなかなか鳴かず飛ばず。アルバムのリリースペースも良いし作品も良いのに、なぜか全く注目されない。
いや、全くと言うのはさすがに言い過ぎか。一応最新作のMVとかは数万再生されてる。まあレーベルのパワーがあるのは間違いないだろうけど。
最近ではMetal Bladeへの移籍が決定したりと、勢いづいてきてるので是非応援したいところである。
で、元Waking the Cadaverはブルデス+ハードコアの融合を実践し、ようやくその努力が実を結びつつあるわけだけど、このCognitiveはテクニカルデスメタル+ハードコアの絶妙なミックスを狙っているように思う。
テクニカルデスメタルというとやはり複雑なリズムやリフの応酬で聴き手を圧倒していくことに強みがあると思うんだけど、Cognitiveはそこにハードコア由来の分かりやすさを少しだけブレンドした。そんなバンドである。
複雑さとシンプルさの融合というこれまた難儀なことにチャレンジしたなと思いつつ、実はこのバンドはそれをかなり上手いことやってのけている。
#1「Cut the F***k Up」はテクデス由来の爆走にハーコーなグロウルが絡む。端々のメロディー使いが陰湿な響きを持っているのもこのバンドの特徴かも。テンポダウンと高速リフ回しの応酬が激烈。性急なギターが所々The Dilinger Escape Planっぽくてマスコア的にも聴こえる。面白い曲だなあ。
#2「The Aftermath」は重心の低いグルーヴで筋肉質なデスコアの序盤、シンプルな刻みやグロウルから一変テクニカルなリードが差し込まれる。そこからは楽器隊全体が徐々にテクニカルになっていく。切ないメロディーを奏でる後半はCognitiveらしさが出てていいね。
#3「Blood Hungry」は粘り気のあるリフやバキッとしたベースラインの序盤から、急に高音ギターを性急にかき鳴らすマスコア色の強いナンバー。ただグロウルやそれ以外のメロディー使いは明らかにデスメタルだから不思議なサウンド。メンバーは色んな音楽から影響を受けてそうだなあ。
#4「Worlds Beneath」は突進力の強いドラミングと残忍なデスメタルリフで爆走とテンポダウンを繰り返す。彼らの中では比較的分かりやすい曲。後半はメロデス由来の単音リフによるメロディーが入ったりする。
#5「Regurgitated Existence」はダウナーな爆走からスタートし、ボーカルもハーコーなグロウルだけじゃなく少しディープに見せたりハイピッチも使ったりなかなか頑張ってる。中盤からは難解なリズムの刻みにテクニカルなリードを差し込む。派手さは無いけど展開は面白い。最後はスラミングパートまで搭載。
#6「Oceanic Erosion」はアコギがメインのインストナンバー。
#7「Willingnes of the Weak」は陰湿なメロディーが先行する曲。中盤から一気にアグレッションを高めてテクデスっぽく爆走していく。緩急の使い分けが上手く曲もコンパクトにまとめていて無駄なし。
#8「Imbuing of Wrath」は直接的な攻撃力で言えば本作で1番。ブルデスとハードコアを混ぜたような感じでWaking the Cadaverっぽさを少し感じる。ボーカルがハーコーなグロウルだから余計に。
#9「Fire From the Sky」はテクデス的な音塊やハードコア的なノリの良さを組み合わせた曲。多分やりたいのってこういうことだよね。中盤からはメロディーを重視した展開へと切り替わっていき、最後は再びテクデスとハードコアの融合でフィニッシュ。これがリード曲でもよかったんじゃないかな。
#10「Affliction Humanity」はブルデスあるあるの、ナレーションと刻みで残忍な雰囲気を演出する小曲。
デビューアルバムということもあって、やりたいアイデアは豊富にあるけど全て上手くまとめられてるかと言われると微妙かもしれない。
ただ、各曲コンパクトに仕上げてるから散漫な感じはせず、以降の作品はもっとクオリティーが上がってくるので、興味がある人は抑えておいても良いかもしれない。
★★★★☆