iPadアプリ“Concepts“を使うきっかけ
iPad用アプリ、Conceptsを使うきっかけになったのは、機械製図の授業で描く手描き図面を早く、美しく描けないかと思っていたことだ。業務上困るレベルではないのだが、それでもより早く、美しく描ける方が良い。何より、見る側(学ぶ側)にとって美しい図の方が良いはずだ。汚い図は見る気が失せるのではないだろうか。
Conceptsのチュートリアル動画はその点大変参考になる。芸術的な絵を描くための練習の要素と、工業デザイン的な絵を描くための要素が含まれているように思われる。つらつらと、Youtubeをサーフィンしている時に偶然このチュートリアル動画に出会い、そこに使われているConceptsに興味を持った。
図面を描く際にすべきことに、「図の大枠を描くこと」がある。第三角法による正面図、平面図、側面図を描くには、紙面にバランスよくこの三つの位置を取ることから始めるように指導する。それぞれの図の、対応する部位が、上下左右を見て正しく対応する位置に来るように描くことが、図面を描くときの基本である。初心者にはこれが難しい。補助線を薄くひき、それぞれの図の対応する位置に外形線を入れていく。言葉にすればただそれだけの単純作業なのだが、難しい。本当は、難しいのではなく、慣れないだけなのだろうが、慣れるまでは難しく感じてしまう。Conceptsに限らず作図アプリを使う場合、補助線レイヤーを作り、そこに大枠の線を入れておく。仕上がりの図が入る、外形線レイヤーに移り、補助線を頼りに外形線を入れていく。紙に図面を描く場合は、字消し板を駆使して補助線を消していく。面倒ならば、消さずに残したままにする。Conceptsならば、補助線レイヤーをワンクリックすれば非表示にできる。すぐに仕上がり図面を得ることができる。これは大変助かる。Conceptsは私にとってすぐに実用になるツールである。
そもそも、図面を描くのにコンピュータを使うなら、CADを使ってしまえばよいという指摘を受けることがある。しかし、CADできっちり図面を仕上げるにはそれなりの工程が必要で、面倒くさいのだ。私にとってConceptsは、残す必要はないけれど、ちょっと図が欲しい、というレベルの図が描きやすのだ。
それから、Conceptsのチュートリアルを見ていると、図面以外の絵も描いてみたいという気にさせられた。ここに紹介されている技法は、別にConceptsでなくても、リアルな紙とペンでも有効なものだった。だから、隙間時間にちょっと練習してみようかな、という気になったのだ。絵が上手になるには、一朝一夕というわけにはいかないだろう。しかしだからこそ、練習を積み上げた先に得られる技能は、確かに今後役に立つものになると信じられる。新しい年に、作図技能の練習を自分に課してみた。これもまた、私がConceptsを使う、使い続けるきっかけである。
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