【演奏時のメンタルのことで】
【メンタルのことで】早起きして仕事していますが、最近、外が明るくなるのがずいぶん早くなってきました。ところで、土曜日はライブハウスの昼のイベントに参加しました。6人(グループ)の参加で、他はみなさん歌ものです。どなたもたぶんコーラスなどをされている感じでした。私は、いつもはクラシックギター曲を弾いています。ここ2週間で仕込みまして、私も歌ものにしました。武満徹さんの「混声合唱のためのうた」より「翼」「島へ」「三月の歌」の3曲を弾きました。アレンジはすべて福田進一さんです。
ライブ演奏は楽しかった。とても悔しいけど、上手く演奏出来なかった。話としては、「良く出来ることもあれば、出来ないこともある。まあ、そんなものだ」という、その程度のことです。
『春の陽気で気温が高い。日差しもあって、ステージが思いのほか暑い。演奏中に汗だくになってしまいました。汗ばんだ指先では、うまくコントロール出来ません。右手も左手も、予期しないところで、弦が滑ります。どうしたものか?いろいろ試しますが、ミスタッチや弾き損ないになる。微妙なミスを誤魔化すことに腐心していると、その脇でもっと大きめのポカミスがどんどん起きる。きゃー助けて!こんな状況で弾いたことない。どうして良いのかわからない。慌てた。慌てるとさらに汗だくになる。』
「そういえばこれと同じ状況を以前見たことがある。」演奏中に、数年前のことを思い出しました。
『科学技術館での弦楽器フェアの際、地下ホールで楽器の弾き比べイベントがあります。ある年のことですが、女性の有名なギタリストさんがその弾き比べをされていました。空調は効いてないし、強い照明をあびて、ステージがとても暑そうでした。顔から汗が噴き出ているのがわかります。襟筋の汗に強い照明があたって、キラキラ光って見えます。きっと弾きにくいでしょう。それでも一切表情には出さずに、何もなかったように素面で演奏する。アルハンブラのトレモロ演奏も、綺麗でした。プロは凄い。違うなあと思いました。』
それを思いだして、きっと気持ちを落ち着けると弾けるはず!と思う。
『私は普段は余計なことは話さないで、黙って演奏します。気持ちを落ち着けるために、一旦演奏を止めて、試しに慣れない小咄などを挟んでみる。これはかえって逆効果でした。困ったなあ。慌てる気持ちを全く制御できないよ。当初は4曲の予定でしたが、うまく弾けないので、最後の4曲目を弾くのをやめました。そのまま終わってしまった。』
やはり、そんなこともあるよねーという話です。きっと聴いていた人は誰ひとりとして、小生の弾きにくさに関しては、気付かなかったでしょう。とくに酷い出来とも思わなかったはずです。でも演奏したものとしましては、思い通りに弾けないと「辛い!」
コロナ禍以前は、月に2回ほど近所のライブハウスのフリーコンサートに参加していました。お客さんを前にして、頻繁に弾いていた。「慣れていた」。たぶん某かのノウハウが身についていたのでしょう。些細な不具合には、とくに慌てることなく、難なく対応していました。メンタル面で慌てないので、どこで弾いても普段通りに弾ける。
長く弾かないでいると技術面が劣ります。それは確認するまでもなく、弾けばすぐに解る。それと同時に、こちらは普段は気付かないのですが、不具合やトラブルに対する臨機応変の対応力や、メンタル面もゼロになるらしい。
上手く演奏出来るかどうかというテクニックの話も、演奏時に心の冷静さを維持するノウハウも、元を辿ればどちらも「脳」です。以前は頻繁に演奏することで、知らず知らずのうちに脳をトレーニングしていたのでしょう。修得するまではとっても大変ですが、消えるのはあっという間らしい。脳はサボり癖がある。しかも完全に消え去る。大人になってから修得したものは、それをしなくなるとすぐになくなる。休んではいけないし、辞めてはいけない。正直申して、びっくりしました。やっぱり人前で頻繁に弾かないといけませんね。