森有正氏帰国の記事を見つける
1972年、駿台予備校の国立コースに進んだ僕は、同時にメンバーになったバンド活動が忙しくなり、予備校は1ヶ月で辞めてしまった。
バンドは、リーダーがボブディランのファンという事もあって、当時活躍していた後のハッピーエンドのような演奏スタイルだった。
セミプロとして様々なイベントに参加して僅かながらお金を稼いでいた。
高校卒業して2年が過ぎようとしていた頃、母親に、「お前、これからどうするんだ。音楽で食べて行けるの?」と聞かれ、即答は出来なかった。
そんなある日、新聞に小さく、「森有正氏、フランスから帰国。国際基督教大学の教授に」という記事をたまたま見つけた。
当時、森氏の著作を数冊読んでいた僕は、氏に哲学を教えて貰いたいと思い、国際基督教大学に進学したいという思いが強くなった。
その年の夏、僕の受験勉強は始まった。