
コンサルタントのつぶやき#8~ベテランコンサルタントとして②(250119)
海外案件と並行して大きな出来事が二つありました。
一つ目は大学院の博士課程への進学、二つ目は足の再手術です。
今回は大学院博士課程への進学について書いてみたいと思います。
修士課程に進学したことは前述しました。
修士課程を1年半で終え、様々な大学の先生とお話しし、せっかくなら博士課程まで進んでみてはどうかというアドバイスを受けました。
海外で仕事をすると博士というのはインパクトがあることは聞いていました。そこで仕事をしながら博士課程に挑戦することとしました。
しかし、進学してみて修士課程と博士課程では全くハードルが異なることをすぐに痛感しました。修士課程は企業で取り組んでいることを論文に書くことと単位を取れば比較的楽にパスしましたが(新卒の際の大学でも修士課程を出ていますが、これも学部の延長で特に問題有りませんでした)、博士課程は全く違うところでした。
単位はほとんど取れていたので、博士論文と学会の査読論文のパスと国際学会での発表が主なハードルでしたが、アカデミックな経験をあまりしてこなかったため、査読論文を通すということに難儀し、結果的に卒業まで7年かかりました(休学2年を含む)。
指導教員の先生から言われたことは、“コンサルタントはどんな手段を使っても成果を出せば良いのですよね。しかし、アカデミックな世界では、世界中の先行研究を徹底的に読み込み、ほんの1mmでも良いから新規性を見つけ、それを証明することが求められるのです。それを突き詰めるのが研究です。”でした。
今まで論文作成、学会発表にあたりにあたり、底まで深く考えてきませんでした。
自身の研究の関連論文をそのような視点で読み込むと、自分の考えていることは、世界中の人が誰でも考えていることもわかってきました。いかに自分の考えていることが浅いかもよく分かってきました。
当初はそのようなことを考えずに査読論文を学会に応募していたため、全くパスしませんでした。アカデミックなお作法も出来ていなかったのだと思います。アクセプトされずに帰ってきた論文へのコメントにも結構、人間性を含め、ひどいことも書かれました。そこまで言うんだと。今は反面教師で、自分がコメントを書く際には気をつけるようにしています。
指導教員のレビューを受ける内に、新規性がありそうな部分を見つけていただき、アドバイスをいただいたことが博士論文につながり、また実務を評価してくださる学会の査読論文が通り、無事、7年かかって卒業となりました。
この7年間で学んだことはとても大きかったです。今は学会の理事や大学でも教鞭を執らせていただいていますが、この時期がなかったら、このようなことはできていませんでした。
卒業前の最後の追い込みの4ヶ月には、足の再手術で緊急入院、緊急手術になったことは次回にお話しします。
(続く)
写真は7年間毎月通ったタイの雑踏です。昨年の11月にも行きましたが、大好きな国の一つです。