Michael Schenker Group #2
Michael Schenker Group - Tales of Rock N Roll (2006)
ドイツが産んだ世界に誇る最高のギタリスト、「神」と呼ばれる男、マイケル・シェンカー。ちょっと前にシェンカーソロデビュー25周年記念で歴代ボーカリストと再共演を目玉に新作をリリースした。古き良き作品であればアルバムは冒頭から最後まで曲順も含めてアーティストの作品と解釈していた。ところが、デジタル時代にリリースされる作品は、作り手もデジタル配信のアルバム購買形態を認識しているから、CDフォーマットに曲を詰め込むパターンとは異なっている。マイケル・シェンカーの25周年記念の新作「Tales of Rock N Roll」は全曲がフェイドイン・アウトで繋げられ、チャプターは分かれているが、コンセプトアルバム的に聴かせたがっている。その分、カッコ良いイントロやリフもなく、すぐに歌が入って曲間を繋いでいる節が多い。しかもリズムもあまり豊富ではなく、19曲も続くのはコンセプトアルバムと言えどもかなり厳しい。
しかし、17曲目に収録されたグラハム・ボネット参加の作品「Rock'n Roll」はずば抜けてる。グラハムの歌声がカッコ良いので、突出した出来映えに聞こえる。その前のゲイリー・バーデンのコラボも懐かしさを思い起こさせるパートナーシップで、MSGならこの人と。それ以降のマッコリーはあまり馴染みがないので大して気を惹かないけど、新ボーカリストのフィンランド出身のヤリは良い。つい先日ドイツのロック番組「Rockpalast」でこの新MSGのライブが放送された。そこで見られるMSGはルックスは全くカッコ良くなく、あの美しき煌めくHR/HM時代のステージでもなく、真っ黒なライブハウスでファッションセンスの良くない連中と一緒にステージに立っているマイケル・シェンカーを見たが、ギターは昔と同じでディーンのフライングVを弾く姿を見せてくれた。11月に日本に来るが見たいような見たくないような。
しかしこの新作、25周年記念も実は昨年の話で、リリースが遅れて26周年目の今年に発表され、アルバムジャケットはセンスなく中味の楽曲はイマイチ。しかしギターのトーンやフレーズやフレーズを差し込むセンスは「神」だからさすがに素晴らしく、それで涙してしまう。今からでも遅くない、90年以降のマイケル・シェンカーを聴き直そう。
好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪