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「資産家の家系に生まれていたら不労所得で楽に暮らせていたのにな~」

呑みの席などでこういうボヤキが出てくると「出たなっ、ショッカー!」と仮面ライダー本郷猛が身構える時のように「タラればボヤキ怪人」の出現を残念に思う。

このシチュエーションの時は、決まってこの一言で返す。
そんな考えの人なら、資産を継いだところで廃れる一方だな。

こういう返しは厳しいようで「ちょっとした酒の肴としての話題提供じゃないか」と怪訝な顔をされる。
そもそも、そういう人は日頃から自分の主体性を発揮した企てや価値づくりの関わりは薄く、コバンザメ的な稼ぎが身に染みているから、いくら諫言したところで暖簾に腕押しのような感じとなる。

いずれにしても、賃貸に廻す余剰資産があると「時間の経過に伴い自動的に収入が見込めるから楽に稼げる」というイメージがあるようだ。

「タラればボヤキ怪人」は読む気も失せる内容だろうが、資産や資金を元手となる「時間収入ビジネス」について軽く考察してみた。


時間経過が収入となる事業

何もせず、時が過ぎ去るだけでお金に変わるビジネスは、概ね以下の三つの業態が思い浮かぶ。

  • 賃貸業

  • 貸金業

  • 通信業

他にもあるかもしれないが、代表的なのはこの三つだろう。 

賃貸業は、所有不動産を人に貸していると家賃が入る。
貸しビルや賃貸住宅のほかに、コインパーキングなどもこの部類に入る。
利用者が多く、停めてくれたあとに時間が経過すればお金が入る。

貸金業は、お金を貸せば金利という債権が膨らむ。
時間の経過に伴い、金利が収入となる。 

通信業は、通信料を使ってもらった分だけしか入らないだろうと思いきや…電話代や回線使用料などは、基本料金を毎月徴収することができるため、これもまた時間の経過だけでお金になる仕組みだ。

ここまでの話なら「めちゃ楽に稼げるやん~…やっぱりそういう家に生まれたかったわ~」となるが、それはあまりにも浅はかな考えだ。
自分が誰にどのような価値を提供したいのかという主体性がなくとも、資産さえあればお金が自動的に入ってくるものなのだろうか?

 

結局は主体性が求められる

不動産であろうと、貸金業であろうと、通信業であろうと…それぞれ元手となるものが要る。
賃貸業なら「資産」、貸金業なら「資金」、通信業なら「設備」だ。

そして、それぞれの元手に対しては、結局は他にはない「価値」を自ら創らないと、同業者のところへお客様は流れてしまう。

賃貸業の「資産」なら、立地条件だけではなく、日々のメンテナンス姿勢・その資産に集まる人のクオリティ向上のための工夫など…。

貸金業の「資金」なら、資金調達のための信用力・貸す相手の事業の可能性を見抜く審査能力・他社にはない融資先が有益となる情報提供力など…。

通信業の「設備」なら、安心と安全が担保される技術力の向上・設備メンテナンスのコミュニケーション能力・24時間体制のフォロー体制など…。

ボードゲーム「モノポリー」でも、お客さんが自分のエリアに留まってくれないと全く収入がないし、現実社会ではお客さんはサイコロに従うのではなく、自分の感性と事業者への期待値が生れないと留まってくれない。

要は…元手となる「ハード」を磨くための「ソフト」や「コンテンツ力」をいかにブラッシュアップし続けるかがポイントとなるわけだ。
同業他社にはない価値を感じられる独自性や信頼を、お客さんに対してどのような『主体性』を発揮して築くかがなければ、どんな元手があっても結局は廃れていくこととなる。

つまり… 

「不労所得があったらラクやのにな~」なんて発想の『主体性』がない人が…そういうブラッシュアップに惜しまぬ努力ができますか?って話だよ。

結局、不労所得は、比較的カラダを酷使する必要は薄いかも知れないけれど「考え抜くチカラ」は不労所得ではない業態よりも必要ってことだよね。  

ボヤく暇があるなら…「自分にできること」「自分だからできること」「自分にしかできないこと」を磨けばいい。
そしてそれは、いくつになっても磨けばいい。
有形資産はそうした「他者とは違う感性を磨くことによる無形資産」によって価値が高まる…そんなあたりまえのことから目を背けてはいけない。

もちろん、ボクなんかまだまだその磨きは物足りない。
物足りないからこそ、日々本気で楽しく仕事をして、昨日の自分よりも今日の自分、今日の自分よりも明日の自分って意識してるよ。
そうした勇気をもらえる大きな背景として、ボクの周りには、六十や七十代になっても、果敢に磨き続けている大先輩もたくさんいるということだ。 

完全なるラクに過ごせる商売なんかない。
だからこそ、常に挑み続けるんだ。
どうも仕事が減ってきた・上手く行かない時こそ、どんどんもがき続ける。
不完全である自分を本気で楽しんでこそ、見出せたり辿り着ける境地みたいなものがあるんだ。

不労所得があればな…
若さがあればな…
恵まれた体格があればな…
優れた運動能力があればな…

そうボヤく前に、あなたも動いたらどうですか…というボヤキのコラムだ。

ハッキリしているのは、ないものねだりの習性の人は、望むものがあったとしても、一過性の満足は得られても、決して永くは続かない。
そんな姿を我が子に見せられますか?

Backstage,Inc.
事業文化デザイナー
河合 義徳

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