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月曜日の嘉陽田さん 第五話 高校1年3月 その2
信じられない。2、3度目をこすったけど本当だ。あの囲サマがタバコ吸ってる。加熱式のやつ。
そして囲サマは、ポケットから消臭スプレーを取り出して上着にかける。
なんかいい匂いがするな、と思ってたけど、タバコをごまかす匂いだったんだ。
私は気配を消して囲サマに近づく。なのに。
「やあ嘉陽田さん」
「えっ?気付かれた!なんで?」
「僕は武術の心得もあってね。君みたいな半端な気配の消し方ならすぐ分かる」
「コレ、なに?タバコ!」
タバコを取り上げようとする私の手を囲サマがかわす。
「そんなに驚かなくてもいいじゃないか。嘉陽田さん、君は僕と同じ匂いがする。そして、僕たちでこの学校を仕切る。それだけの話さ」
「...幻滅した!仕切る?私らをいいように利用して、学校を支配する気?」
囲サマは即答した。
「うん、そうだよ。何かいけないかな?」
「先生たちがタバコのこと知ったら、どうなると思う?」
「バレないさ。君が、言わなければ」
「...言うよ?生徒指導の中村に」
「君みたいなヤンキーの言葉と、完全無欠の僕の言葉、信じてもらえるのは、どっちだと思う?」
「卑怯者!」
「卑怯?賢いと言ってほしいな。僕は将来のエリート層だ。逆らわない方が、君の身のためだよ?」
「私は、」
反論しかけた私の唇を囲サマが、奪った。
ダメだ。かなわない。つい5分前まで望んでいたことが、思わぬ形で叶った。これまで経験したことのない上手なキスに、頭がとろけていく。
「...ぷはぁ」
私はうっとりしてしまう。
「一緒に生徒会活動がんばろうね」
「...はい」
私は囲サマの推薦で生徒会に入ることになった。
第六話に続く
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