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月曜日の嘉陽田さん 第三話 高校1年2月

嘉陽田朝子は転校生の囲くんに一目惚れ(第一話)。友人の馬場菜々子や水野流行ながれとやり取りしても、自分に都合のいい解釈のもと想いが膨らむのだった(第二話)

「バナナちゃん。やっぱ私とあの人、住む世界が違うわ」

「朝子......なんで2ヶ月もわからなかったの?」

「うん、先月もナガレの奴に『奴はマジメ一辺倒』って言われたけどさ、普通あんな簡単に学年1位取らないだろ」

そこへナガレが割り込んだ。

かこいってさ、マジで紳士だよな。俺たちにも丁寧語で接するし、イケボだし仕草もカッケーし。非の打ち所がない」

「朝子には手が届かない存在だね。私はもう諦めた」

「何だよぅ!『諦めなければ夢は叶う』ってプロデューサーの春山隆はるやま たかしも曲に書いてんじゃん!」

「朝子、売れる曲を狙って書く商売人の言葉を真に受けてる!ウケる」

「あぁ?バナナちゃんと言えども聞き捨てならないな!」

私とバナナちゃんが取っ組み合いのケンカを始めようとしたら、噂すればなんとやらで囲サマが通りがかった。

「おい君たち、どうしたケンカなんかして?それがし放って置けないな」

「か、囲サマ...くん。いえ何でもないです、何でもない。何でもないようなことが幸せですよねー」

私の取り乱し方を見てバナナちゃんがその場を収めようとする。
「あの、嘉陽田かようださんはすごくアグレッシブなんで、自分の納得いかないことはすぐキレるので、今もちょっとだけ恋愛絡みでプッツンきたって言うかあの」

「おや恋の悩みかい?良かったら僕が聞いてみようか」

アタシの顔が耳まで真っ赤になるのが分かった。
「すみませんすみません、全然大したことないです、って言うか好きです囲サマ、ホントアナタには1kmも関係ないので、大好きです付き合ってくださいなんてとても言えないですハイ......」

「...朝子、オレこんなに下手な告白、初めて聞いた」

「私もびっくりだ...」

ナガレとバナナちゃんが、よく分からないことを口走った。
「は?今私なんて言った?」

囲サマがゆっくり自信に満ちた口調でアタシに告げた。
「そうか、君も僕のことが好きなのか。大丈夫。嘉陽田さんには少し残念だけれど、お気持ちだけ頂いておくよ。だけど嘉陽田さんのことも、嫌いではないよ」

囲サマが私のことを「嫌いじゃない」って......幸せだ!!!
「囲サマが、私のこと、好きって......」
私はその場で卒倒した。

「あれ?朝子!しっかりして!傷は浅いよ!」

「朝子スゲエ。どう読み取ったら好きって言われた扱いになるんだ......」

そのまま、囲サマが私を保健室まで背負って連れて行ってくれたらしいら。わらし、囲サマとみっひゃくしたのら。なんへしわわせ。

第四話につづく

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六畳十益(ろくじょう とます)
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