「style」全曲解説 M4. LARK
曲づくりの真似事みたいなレベルまで含めると、僕は高校2年生から曲をつくってきました。
LARKはその中でも初めてまともに仕上がった曲のうちのひとつで、初出は2012年です。
音楽を志した当初、実はもともと僕はボーカル志望でした。たまたま父親がギターを持っていてそれを触らせてもらえたのでギターに興味が出て、気付いたらギタリストになっていたというだけで、はじめて憧れたミュージシャン像はギタリストではなくボーカリストでした。
その影響もあるのか、曲をつくれるようになってから書いていた曲は歌モノばかりでした。
曲をつくりたいというよりは歌詞を書きたい興味のほうが強く、まわりに曲を書ける人間がいないから自分でなんとなくメロディを書いていたという感じで、要するに歌詞を出すための道具として曲を書いていました。
そのため当時の曲については自分でもあまり出来が良くないと思っていました。
LARKは、なぜ突然インストをやりたいと思ったのか覚えてないけど、いずれにしても歌モノばかりやっていた中でギターインストを書くというのは結構な挑戦だったと思います。当時の力量ではせいぜいMTRにダビングしていい感じになるまでアドリブ1000本ノックするくらいのやり方しかできませんでしたが、それでも新たなとびらを開くきっかけになったのは違いないかな、と。
LARKを出してから、周囲の僕を見る目が「ちゃんと曲をつくってる人」に変わりました。
それまでは「よくわからん田舎のギター兄ちゃん」って感じだったと思います。
そんなわけで、LARKはすごく自分らしいと言いますか、ジユンペイのエッセンスを最も濃く含んでいる曲だと思います。これまでにインディーズも含めると4回ほどバージョンチェンジをしてきましたが、今回は5年ぶり5回目くらいのリアレンジかな?
LARKの特徴はとにかくシンプルってことです。Em一発のワンコード。
シンプル=簡単とは必ずしも限らなくて、むしろ奥が深い部分もあると思っています。
コードがひとつしかないということは使える音がかなり制限されるということなので、メロディラインのセンスや和音の積み方にものすごく比重が集中します。
オリジナル盤はマイナーペンタで潔くまとめていてそれも悪くはなかったですが、20歳の時とやってることがまったく変わらないのでは10年間お前は何をやってたんだって話になるので、今回のテイクはところどころにテンションを入れたり、シンセのサイドチェインを掛けてEDM風の要素を含ませるなど、令和的な解釈のアレンジになっています。
LARKにはスモーキーな雰囲気を纏っていてほしくて、霞がかったような感じを演出することにレコーディングではこだわりました。ギターは全部で何本ダブリングしたのか覚えてないですが、白玉系はダブリング&長めのリバーブをかけて遠くこだまするように、16分のリフは逆にノンリバーブにして耳元で鳴っているかのような近さを描いて、遠近感あふれる立体的な仕上がりになっています。真ん中のギターソロはダブリングしてません。
リフはテレキャスとRyogaのダブリング、バッキングはグレッチ、ソロはレスポールで白玉はストラト。オールスター出陣な感じでリッチなレコーディングになりました。
「LARK」はアルバムの4曲目。下記リンクから試聴できるのでチェックしてください!