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「style」全曲解説 M5. empty

12.27(水)にリリースするアルバム「style」のセルフライナーノーツを連載していくマガジンです。

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「style」全曲解説|ジユンペイ / ギタリスト|note

リリース当日まで毎日更新。試聴コーナーも設けているので、チェックしていってください!


今作「style」は、もともとは2022年の年末に発表する予定でしたが、
制作の方針がまとまらなくて曲数が出なかったため期日に間に合わず。。。


2023年の頭、僕はヒマでした。


いや、ヒマではないんです、実際。曲をつくらなくちゃならないから。

ただ、同じ「曲をつくる」といっても、レコーディングやアレンジの予定が詰まっているのと、そういうのが全くなくただ単に曲をつくらなければならないということだけが決まっているのとでは、様子がかなり違います。


当時の僕は後者でした。


それもそのはずです。それまでの僕は他人に曲を提供することがほとんどだったから、曲をつくるにあたって理由が必ずありました。

「何のためにどのような曲をつくるのか」が最初から明確になっていたということです。

それをいきなり個人の制作へとベクトルを変えたわけですから、よりどころというか参照すべき対象がなく、胃の中が空っぽなのに嘔吐しようとしてるような苦しさを覚えました。

何か参考になればと、もっぱらネタを探していたのが2023年3月くらいまでのこと。

emptyは、そんな時期に巡り合ったとある絵画をベースにして作られました。




これは僕の持論ですが、創作の元ネタにするなら別ジャンルがいいと思っています。ジャンルは自分の土俵と離れていれば離れているほど好ましいです。

たとえば僕はロックをやるギタリストだけど、ロックギタリストがKPOPを参考にして曲をつくろうとしてもうまく行きません。ロックはKPOPにも含まれる要素であり得るからです。

それだったら、韓国ドラマをモチーフにするとかのほうが想像はふくらみます。

※これはnoteサークルや企画で異分野コラボに長いこと関わっていたことで得られた知見でもあります。noteでは詩を書いたり俳句を詠んだり色んなことに挑戦しましたが、なんだかんだ言って僕は結局のところ音楽家なのです。
 異分野と関わることに不安もありましたが、その経験によって着想の得方とかコラボの可能性みたいなものを学ぶことが出来、最終的に自分のフィールドである音楽にもいい影響を与えられたのはとてもよかったことだと思っています。
 note企画で関わってくれた皆様に感謝しています。

そうした持論があったので、当時まだ閉店前だった八重洲ブックセンターに取材に行きました。

取材というかネタ探し。


普段自分が関わらない分野の本が影響を与えてくれるはずだと思って訪ねたのはイラストレーター向けの専門書のコーナー。


今や音楽とイラストは切っても切り離せない関係にあります。なんだ、言うほど遠い分野じゃないじゃんと思われた方もいらっしゃるかもしれません。

まぁ確かにぬか漬けとか簪よりは(イラストが)音楽の近所にいるかもしれませんが、自分の常識が通用しない分野という意味で個人的にはストレッチした遠めの分野でした。


モノづくりに対する姿勢としてイラストレーター向けの方法論やテクニックをまとめた専門書が参考になるかと期待していたのですが、当然のことながら開いてもチンプンカンプンで、ギリシア語の辞書をさかさまに読むよりも難解な本ばかりでした。

しかし八重洲まで来たからには収穫が欲しい。こういうときは自腹を切って思い切った買い物をしたほうが後に引けなくなっていいんじゃないか?

画集なんてどうだ?

ということで購入したのがこちら


ILLUSTRATION 2023


たくさんの作品を鑑賞する中で、もっとも曲を書きやすかったのが衣湖さんのemptyという作品でした。


この作品を眺めていて、サビのメロディが浮かび、コード進行が浮かび、ドラムとベースが聴こえてきて、それにあわせてレスポールを鳴らして、大きなつながりからAメロBメロと繋がって。。。と、一筆書きのようなイメージで、シルキーに伸びやかに、生まれた曲でした。

歌詞は、そんな曲と衣湖さんの世界観にあわせてフィクションを紡ぐイメージで、書き方としては「徒花」のときと同じような方向性で仕上げました。



デモが出来るまでも時間はあまりかかっていなくて、3日くらいで概ね仕上がったと記憶しています。

他の曲の発表予定や制作と別に行っている作曲仕事の兼ね合いなどですぐに発表することが出来ず、デモの完成からレコーディングまで半年くらい空いてしまいました。

そのためレコーディングではギターのフレーズをほとんど忘れていたので苦労しました。。。


DTMは、ある種、無限に創作が出来てしまいます。

たぶん僕のアレンジは根本的な土台の部分にギター的な発想があって、ストリングスにしろピアノにしろギター以外の楽器もギター的発想の延長上にしかなく、ギターでも出来ることを別な楽器でやってるだけ。フレーズはその楽器に合わせて変えて。そんな感じなんだと思います。


そういう想いがあったから、オールラウンダーで居続けるのか、苦手なことは専門家に任せて自分はプレイヤーに戻るのか、どうしようか悩んでいたところもあり。

そこをハッキリさせるためにもアルバムの制作が必要だったと言える部分もあります。


ピアニストの知り合いにemptyのアレンジを相談した際、ピアノとストリングスのフレーズをすごく褒めてもらえました。そういった意味では、emptyでアレンジャーとしての僕も一皮むけた部分もあるのかな。

要するに出来がいい曲だとは思います。



”これがダメだったら俺はもうだめだ”

と思った瞬間が、音楽人生の中で何度かありますが

empty制作は、その歴史を更新したひとつの曲でもあります。




「empty」はアルバムの5曲目。下記リンクから試聴できるのでチェックしてください!


「style」
12.13(水)~ 予約開始
12.27(水)~ ストリーミング&一般販売開始

通常版   ¥2,444(税込)
ハイレゾ版 ¥3,500(税込)

※注意
●予約版はハイレゾ処理非対応です。ハイレゾ音源をご希望の場合は、
12.27(水)の一般販売開始後にお求めください。

ハイレゾ音源を取り扱っているサイトは下記のとおりです。
■music.jp
■mora
■レコチョク
■e-onkyo music
■OTOTOY

●ストリーミングの配信開始は12.27(水)の予定です。
●購入予約されたダウンロード版の配信も、同様に12.27(水)開始です。

収録曲
1. Starting Over
2. ZERO
3. 徒花(2023 Mix)
4. LARK(2023 Mix)
5. empty
6. Crow Field
7. 黒い世界
8. Rain
9. ドッペルゲンガー
10. 空電
11. インストール
12. Rebooter
13. 羅針盤
14. 若葉の秋
15. Root


☆購入予約ページはこちら
https://linkco.re/aQNaBUGV



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