「style」全曲解説 M9. ドッペルゲンガー
この曲は、歌詞を推したい!
もともとサビのメロディから思いついて書いた曲なのですが、最初の歌詞がもう笑っちゃうくらいひどくて、仮歌詞にしたってこれはないぜというレベルの、自分史上ワースト3に入る出来でした。
ただメロディの出来はとてもよかったのでそのままゴミ箱にポイするにはもったいなく、なんとかして成立させられないかと頭を悩ませて出てきたアイデアが、「ドベタなラブソングを書く」でした。
僕はこう見えて(?)理屈っぽくひねくれた性質なので、まっすぐな恋愛の歌とかには人並みに感動しつつも自分でそれを表現しようとは思わないみたいなところがあります。
恋愛を題材にするにしても、それを通して全体で何かの比喩にしたいとか、そんなことをよく考えて取り組みます。
恋愛の歌詞なんて誰でも書けると言ったら言い過ぎなのですが、テーマとしては多くのひとが手軽に採用するものなので、そこをわざわざ拾わなくてもいいんじゃないかと長年思っていました。
そのことによって逆に、自分にとって恋愛の歌詞が手つかずの青い海のまま残っていたというわけです。
SSWの方などは、こんなこと悩まないんでしょうか。
僕は曲と歌詞を別の作業としてキッチリわけて書くので、それぞれが出来が良くても上手くなじむかどうかわからないということがよく起こります。
この曲もその一例で、詞も曲もそれなりによくできているけれども、いまいちハマってない感じがする。
その理由が「自分で歌ったから」なのかもしれないと思うと、全曲を自分で演奏するルールを課した自分のことを少しだけ大嫌いになれました。
・・・ということで、正直なところ自分としては課題がまだまだ残っている曲ですが、今の自分のすべてを出し切ることが今回のアルバムのコンセプトなので、収録することにしました。
サウンド面では一昔前のJPOP風と言ったら失礼なのですが、懐かしい感じの雰囲気にまとまっていると思います。この辺の懐かしさについては、最初から意識して狙っていました。
「徒花」などと比べると世界観がかなり具体的に定まっている楽曲です。
「ドッペルゲンガー」はアルバムの9曲目。下記リンクから試聴できるのでチェックしてください!
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