フリーランスに必要な三つの視点
11月10日に放送された「しくじり先生」の内容が印象的でした。
要約すると上記のような内容だと思います。詳しくはアベマで見てください。
この放送を見て、ゾフィーの上田さんとサイトウさんの関係が、フリーランスを運営する視点と似ていると感じたので、今日はそのことについて書きたいと思います。
ブレーンとプレイヤー
お笑いコンビによく言われることですが、メンバーの役割はブレーンとプレイヤーに分かれると。
ブレーンとは言うまでもなく、ネタを書く担当。プレイヤーはそのネタ=台本を演じることに徹する役割で、だからこそネタを「作ることには」なるべく関わらない方がいい。
お笑いに限らず、音楽の制作でも同じことが言えると思います。曲を書く人間と演奏する人間に求められる役割はそれぞれ異なる。お笑いと違うのは、曲によってブレーンとプレイヤーが入れ替わることでしょうか。
いずれにしても、複数の人間が集まってなにかを催すというときに、ブレーンとプレイヤーで分業するというのは効率的なアイデアだと思います。
コンビは生き物
逆に言うと、ブレーンとプレイヤーによって「コンビ」や「ユニット」という一つの生き物が生み出されるということだと思っていて、ここで言うコンビとかユニットは別の組織体系にも当てはめて考えることが出来ると思います。
たとえば会社とか。
社長や役員が会社の方針を決めるブレーンだとしたら、社員はそれを実行するプレイヤーです。どちらが欠けても会社は生きていくことが出来なくて、その両輪のバランスが重要です。
フリーランスにおけるブレーンとプレイヤー
同じように考えると、フリーランスも社員が一人の会社みたいなものなので、その一人の中にブレーンとプレイヤーがバランスよく共存している必要があります。
僕が思うに、このバランスをとるのがフリーランスで最も難しいところだと思います。
ちなみに僕はそのバランスをとるのがめちゃくちゃヘタクソで、失敗ばかりしてきたし、ここまで続けてこられたのがもはや奇跡としか思えないくらいです。
音楽フリーランスのブレーンは主に以下のようなことを担当します。
いっぽうプレイヤーは以下を担当します
ブレーンが稼働していないとプレイヤーが野放しになってしまいます。たとえば年間の計画を考えることだけに何か月も時間をかけてしまうと、暇になったプレイヤーが幅を利かせるようになってきます。
そしてこの問題は複数人が参加している組織なら対処可能なのですが、フリーの場合は自分ひとりなのでなかなか厄介です。
プレイヤーが幅を利かせるということは、自分の中でサボりたいとか遊びたいという欲求が占める割合のほうが強くなっているということですから、それを制御するのはほぼ不可能に近いです。
クリエイターの場合
クリエイターの場合はさらに厄介です。プレイヤーが野放しになるということは、好き放題に創作を始めるということだからです。
これは一見すると好ましい現象のように思えますね。クリエイターが創作しまくって何が悪いのか?と。
たしかに、制作のストックがあれば後々助かることもあります。しかしそれは結果論であってたまたまマッチする案件があればハマるけど、それがなかったら単に在庫が増えて終わりです。
創作の腕を磨くという意味では無意味ではないかもしれないけれど、事業を進める上においては無駄なコストであると言わざるを得ません。
このことになかなか気が付けないんです。
なぜなら自分はクリエイターだから、創作モードに入っている時に作ったものはすべて「良く思える」。
そもそも創作物そのものには良いも悪いもなく、良し悪しを決める基準は創作の目的にあるのだけど、ブレーンが引っ込んでプレイヤーモードになってしまうとその「目的」の部分が決まっていないままただ単に作品を創り続けることになるので、後で出したときに全然売れないとか評価されないということになって自信を無くしてしまいます。
この負のスパイラルから抜け出すためには、ブレーンとプレイヤーのバランスが自分の中でどうなっているのか俯瞰して理解する必要があります。
これがフリーランスに必要な三つ目の視点。
マネージャー視点です。
マネージャーの役割
世の中には業界によって意味合いが変わる言葉というものがいくつかありますが、「マネージャー」はその代表例なのではないでしょうか。
芸能界のマネージャーという言葉は「付き人」とか「お手伝いさん」のような印象を帯びていますが、一般企業でマネージャーって言ったら管理職の意味なので、めちゃめちゃ偉い人を指します。
「付き人」とか「お手伝いさん」というイメージが付いたのはテレビでの扱われ方(マネージャーの失敗談を面白おかしく話す、など)もあると思いますが、芸能界だろうとその役割は同じです。
マネージャーの仕事はタレントを売り出すことなので、タレント以上にタレントのことを深く理解している必要があります。
たとえばお笑いコンビのブレーンとプレイヤーのバランスがおかしくなっている時、本人たちは自分の役割に必死だからそのことに気が付かないけど、外から見てそのバランスの歪さを指摘できる存在が必要です。それがここで言うマネージャーの仕事。
フリーランスにも、というかフリーランスにこそマネージャー視点が必要で、その担当する内容は主に次のようなものです。
ここが欠けてしまうと、ブレーンとプレイヤーの鍔迫り合いになってしまい、その時々のパワーバランスであっちに行ったりこっちに行ったりふらふら流されてしまうことになります。
マネージャーの実務
上記の通り、マネージャーの役割は自らを客観視することです。そのうえで課題を発見し解決策を考えることも含まれますがそれはどちらかというとブレーンの仕事です。
自らを客観視するためにマネージャーが行う仕事は次のようなものです。
※企業のマネージャーが担当する仕事ではなく、フリーランスに必要なマネージャー視点の実務という意味で考えてください。企業のマネージャーの仕事はもっと複雑で大変だと思います。
したがって、フリーランスの活動がうまくいかない場合は、デスクワークをしてみると改善され・・・・るわけがありません!
出発点に問題あり
身も蓋もないことを言うようですが、フリーランス活動が上手くいかない原因の最も大きなものは、出発点がプレイヤーだったということにあります。
きびしい言い方をすると、ただ作ってるだけで売り上げを立てることには一切コミットしてないことが失敗する原因です。
僕の例で恐縮ですが、Audiostockというサービスがあります。
ザックリ言うと、クリエイターは曲をつくって登録。お客さんが自分の曲を買ってくれたらチャリンチャリンと小銭が入るサービスです。
※詳しい説明はリンクを読んでください
フリーの仕事を始めたばかりの頃、作ってアップしまくっていましたが、Audiostockには楽曲の審査があります。そりゃそうです。なんでもかんでもそろえていたらデータの管理も大変だし、お客さんの信頼にも関わるので、一定以上のクオリティを担保しないと載せてもらえません。
僕の曲は審査にまったく通らなかったので、当時の僕は量で勝負して正面突破作戦に出ました。1,000曲作れば1曲くらい拾ってもらえるだろうという体育会系的発想で、なおかつプレイヤー的発想の極致と言えます。
作りまくっているうちに、次々に積みあがっていく曲の山を見て、これほかのところでも使えるんじゃね?となり別な方向にシフトしていったのですが、、、
皆さんお気付きでしょうか。この方法は、まったくもって順番が間違っています。
本来あるべきは
本来あるべき、というよりは、上記の手順であればステップを進むごとに受け皿が大きくなるから失敗する可能性が低くなります。
なので売上を立てることにこだわるのなら、上記のような手順を踏んだほうが賢いです。そして、それが可能なのは、もともと企業などで管理職を経験していたなどのバックボーンをもってマネージャー視点の出発点でフリーランスを始めた人たちである、ということが言えます。
僕みたいにプレイヤー気質から始めてもここまで気づいて結論を出せるので、出発点を間違えたからと言って絶対にやっていけないとは思いません。
ただそれって時間がかかるし回り道だし無駄なことのほうが多いので、軽い気持ちで「好きなことを仕事にしよう!」と思い立つのはいいけど、本当にそれは「仕事」にしたいのか?他人に長時間拘束される生活を否定したいだけなんじゃないのか?その辺は一度立ち止まって考えてみた方がいいと思います。
まとめ
ということで、以上をまとめると、
というのが、僕の言いたいことでした!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
みなさまの支えのおかげで今日を生きております。いつもありがとうございます。