「style」全曲解説 M8. Rain
この曲は、アルバム制作の終盤に出来ました。最後から2番目くらいに出来上がったかな?
実は、本来収録を予定していたけれど大人の事情でキャンセルになった曲がひとつあり。
Rainはその埋め合わせとしてとにかく曲を書かなければ、という状況で出来た一曲です。
そのためレコーディングの時間を確保できないので、歌ではなくインストになりました。キャンセルになった曲が歌モノだったのでインストのRainが入ったことでアルバム全体のバランスが変わり、印象も変わりました。
「empty」や「Crow Field」の時のように潤沢に時間があったわけではないのでネタ探しやフィールドワークに行くわけにもいかず、本当に、締め切りまでにとにかく一曲書く、というなかでの制作でした。
そのためか、音もどこかピりついているように感じます。
インストを書く時の僕のスタイルは、メインテーマとなるメロディを決め、それに沿って構成を練っていくというものです。Rainについてもそれは例外ではなく、冒頭のメインメロディから作曲しました。
作曲した段階では頭サビでパンチの強いテイストに仕上がる予定でしたが、出来上がったメロディが侘しく物悲しい顔をしていたので、8分の6拍子に書き換えてマイナーブルース調へアレンジしました。
このあたりで全体的なサウンド感が決まり、曲に持たせる裏テーマも決まりました。
「レスポールをフィーチャーする」というテーマです。
ぶっちゃけた話、リスナーにとってはレスポールで弾こうが何で弾こうが大した問題ではありません。
もてたい軽音楽部の学生はガリガリに痩せこけてダボダボの服を着、キノコみたいな髪型にしてテレキャスをジャカジャカ弾いていると揶揄されるネットミームがありました。
真偽のほどはさておき、それだけテレキャスが(良くも悪くも)大衆的な存在になっているということでしょう。テレキャスを弾いているアーティストは多いです。
しかしだからといって、テレキャスを弾く人が多い=テレキャスで曲をつくったら売れる、というわけではないです。当たり前のことですが!
なので、ギタリストがギターに対して抱くこだわりみたいなものは、お客さんとは基本的に全く無関係であると思ってください(これはこの記事を読んでるギタリストに向けた言葉)。
そういった意味ではRainという曲で僕がレスポールにこだわるのはエゴだし自己満足なのですが、それは表現者として必要なエゴだと思っています。
というのも、他者に提供することを主たる活動軸にしていると、創作のコアに他人がいるというあべこべな状態になってしまいます。少なくとも僕にはその経験があります。
自分の表現の軸が他者になってしまうと、おれなんでギター弾いてんだっけ?てなもんで、表現に対するモチベーションを失いかねません。
これからもギターを弾き続けるためにエゴイスティックな作品を創ることは、表現者にとって重要なことです。
ということでこの曲ではレスポールに徹底的にこだわるということを大切にしました。
Rainは12/1にYouTubeで先行公開していますので、既にフルで聴いていただけます。
上記の背景も踏まえて改めて楽しんでもらえたら嬉しいです。
レスポールのふくよかなサウンドに酔いしれてください。
「Rain」はアルバムの8曲目。下記リンクから試聴できるのでチェックしてください!
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