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アントニオ・タブッキの「レクイエム」で巡るリスボン

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古いブログに細々と書いていたものを、コミケの薄い本「ポルトガルよろず本」に寄稿したのが数年前。もう少し整理して、さらに文章や写真を加えて、noteに掲載しました。旅が好きな方、文…
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2021年9月の記事一覧

「第6章 一番美味しかったのは、漁師のまかない料理だった」アントニオ・タブッキの…

主人公が乗り込んだのは電車、カスカイス行のコンボイオ。私が国立古美術館に行くときに乗った…

月の石
3年前
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主人公が次に向かうのが、「国立古美術館」(Museu Nacional de Arte Antiga)。翻訳本では「…

月の石
3年前
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「第4章失われた人々、そして食事の時間」アントニオ・タブッキの「レクイエム」で巡…

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月の石
3年前
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「第3章 プラゼーレシュ霊園 - アマリアはもうここにいません。」アントニオ・タブッ…

あまりの暑さに、主人公は偽物のラコステのシャツをプラゼーレシュ霊園前の路上で買う。普通の…

月の石
3年前
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「第2章 名前も知らない公園で」 アントニオ・タブッキの「レクイエム」で巡るリスボ…

アルカンタラ桟橋で、詩人との約束の時間を間違えたことに気付いた主人公は、近くの公園へ向う…

月の石
3年前
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「第1章 まだ海じゃない。アルカンタラ桟橋」 アントニオ・タブッキの「レクイエム」…

「今世紀(20 世紀)最高の旅行作家」とも呼ばれているタブッキ。「レクイエム」の解釈とかは…

月の石
3年前
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アントニオ・タブッキの「レクイエム」で巡るリスボン #0

はじめに 私の生涯の愛読書のひとつになるであろう一冊が、イタリアの作家アントニオ·タブッキの「レクイエム」。イタリア人である作家が、唯一ポルトガル語で書いた作品である。 1999 年、初めてポルトガルに行く前にこの小説を購入した。その時は当然ポルトガルのことを全く知らない訳なので、幻想の中の架空の町にいる心地で、その世界に入り込んだものだ。 それから少しずつ、ポルトガルに行くたびに、作品の中に登場する場所に足を運んだりした。最近、また読み直す機会を得て、やっと実際の絵がお