県内総生産を生産年齢人口で割ってみたらおもしろい結果が出た

先日三重大学の西村訓弘教授の講演の中で,県内総生産を生産年齢人口で割ると違う姿が見えてくる,というお話があり少し調べてみました.
(都道府)県内総生産は内閣府,生産年齢人口は国立社会保障・人口問題研究所からのデータを使用しています.
本来は都道府県ですが,便宜上「県」で統一します.
まず県内総生産です.


県内総生産1位は不動の東京都

2010年から2020年までの県内総生産トップ5

これは妥当だと思います.不動の1位の東京(109兆円)に対して,大阪,愛知が40兆円,神奈川が34兆円,埼玉が22兆円です.おおむね人口にも比例しています.
これを各県の人口で割るのではなく,生産年齢人口(15歳から65歳)で割ってみましょう.すると,

生産年齢生産結果トップ5

県内総生産を生産年齢人口で割ると3位に山口県が入り,大阪府は中位,埼玉県は下位に

ここで仮に県内総生産を生産年齢人口で割った値を生産年齢生産(ネーミングセンス悪いですが)と呼ぶことにしましょう.
1位東京,2位愛知はほとんどかわりませんが,大阪はトップ15にも入ってきません.その代わりに山口県や静岡県,2020年になると徳島県や茨城県が入ってきます.また2020年だと最下位から,沖縄,奈良,埼玉,千葉の順で,何と埼玉は県内総生産は5位なのに,生産年齢一人当たりの生産は下から3位になってしまいます.
埼玉県はおそらく生産年齢人口が多いのにもかかわらず,多くが東京へ勤務しているからでしょう.千葉県,奈良県も大阪府への勤務が多いためかと思われます.一方でこれらの件は総生産もそれなりに大きいので,生産年齢以外の方々が貢献しているということでしょうか?

県間のばらつきが小さくなる

またもう一つ特徴的なのは,ばらつきが小さくなることです.県内総生産は東京が圧倒的で最下位沖縄との差は26倍なのですが,

県内総生産

一人当たりにすると,

生産年齢生産

となりその差は2.5倍に縮小します.
これはどういうことでしょうか?うまくまだ解釈できていないのですが,東京を除けば,生産年齢人口は平均して各県へ平均的に各県への総生産に貢献している,ただし東京のパワーは圧倒的で,周辺の千葉埼玉神奈川は生産年齢人口は東京への労働力として供給されているので,県内総生産に比べて生産年齢生産は落ち込んでいると考えればいいのでしょうか?
もう少し検討してみたいと思います.


県民総生産データ

生産年齢人口データ
https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/Popular2022.asp?chap=12


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