機械工学の学び方と入門書の紹介
機械工学の学問体系は、機械力学、材料力学、流体力学、熱力学のいわゆる4力学が基本となります。大学の機械工学科では、古くからまずこれらを学んでいます。なお、機械力学には高校物理の力学から、機械の動く仕組みの基礎となる機構学、機械に発生する振動に関する機械振動学が含まれることや別に扱われることもあります。しかし、これらの力学を学んだだけでは実際に機械を作ることはできません。機械を作ることができるようになるためには、機械製図、機械設計、機械工作(または機械加工)などを学ぶ必要があります。これらを学ぶなかでは、もちろん4力学も必要になりますが、さらに歯車やねじ、軸、軸受、軸継手、ばねなどの機械要素、そして鉄鋼やアルミニウム、銅などの機械材料などに関する知識も必要になります。さらには機械を適切にコントロールするための機械制御などについても学んでおく必要があります。さらには材料力学に続いて材料の破壊に関する破壊力学、流体力学を水車や風車、油空圧機械などに適用するための流体機械、熱力学に続いて伝熱工学、そして実際のエンジンなどに適用するための熱機関などに関する知識や技術も必要となります。
このように機械工学はとても幅広い分野があるため、一朝一夕に身に付けることはできません。しかし、その基本を身に付けて、実際の設計や研究で活用していくことで、その力は確実なものになりますし、そこで身に付けた知識や技術は進歩が激しい情報技術のようにすぐに古くなることはありません。もちろん、近年、機械工学の研究にはコンピュータを活用するなど、情報技術を欠かすことはできませんが、機械工学の基礎を身に付けたうえで、それらを道具として活用することで、機械エンジニアとしてさらにステップアップできることでしょう。
もの創りのためのやさしい機械工学・技術評論社
2001年に初版が出版されたこちらの書籍は、20年間売れ続けて、2021年4月に改訂第3版を出版することができました。大学や高専の教科書としても、長年多く使用されています。今回の改訂では、記述がより適切になるように全面見直し、時代に合わせ3Dプリンタの記事を追加したり、付録に機械工学と機械学習を追加したりしました。
1.材料の強さと種類
2.流体力学と流体機械
3.熱力学と熱機関
4.機構と制御
5.創造工作室
付録.機械工学と機械学習
新しい機械の教科書・オーム社
2004年に初版が出版されたこちらの書籍も、20年近く売れ続けて、2021年5月に改訂第3版を出版することができました。大学や高専の教科書としても、長年多く使用されています。こちらはやさしい機械工学よりも4力学に関する記述を減らして、より機械設計や機械加工を学ぶことができるような構成です。今回の改訂では、第6章の機械制御学において、マイコン制御とプログラミングについて追加するとともに、第8章と第9章を全面的に見直して、第8章をデジタル工作機械学、第9章を機械製図学としました。
第1章 機械設計学
第2章 機械運動学
第3章 機械強度学
第4章 機械材料学
第5章 機械要素学
第6章 機械制御学
第7章 機械工作学
第8章 デジタル工作機械学
第9章 機械製図学
第10章 機械創造学
基礎から学ぶ機械工学
キカイを学んでものづくり力を鍛える! SBサイエンスアイ新書
2008年、新書にまとめた機械工学の入門書も売れ行きが好調で版を重ねています。最近では電子書籍でも多くの購入があります。
「ものづくり」の基礎となる機械工学を学ぶことにより、ヒは初めて「何らかのエネルギーの供給を受けて動く形のあるモノ」を作れるようになります。本書では「材料」「流体」「熱」「機構」「制御」「工作」などの視点から、機械工学をわかりやすく解説します。
第1章 丈夫な機械をつくるには:材料力学
第2章 機械を上手に動かすメカニズム:機械力学、機械要素
第3章 上手に機械をつくるには:機械工作
第4章 機械をつくる材料のいろいろ:機械材料
第5章 水や空気に囲まれた機械:流体力学と流体機械
第6章 熱の力で動かす機械:熱力学と熱機関
第7章 センサとアクチュエータで動く機械:センサとアクチュエータ
第8章 機械を上手にコントロール:制御工学
実はこちらもお勧めなのですが、紙での増刷が見送られていて、電子書籍のみになる予定です。台湾では増刷を続けているので、ぜひ日本語版も増刷してほしいと思います。
以上、これらから新しく機械工学の世界へ入ろうとする皆さんのお役に立てると嬉しいです。
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講談社ブルーバックスから、3Dプリンタに関する入門書も出版しています。
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