「2.5時間で分かる!ROS対応ロボットの応用」セミナーレポート
こんにちは。大阪工業大学情報科学部の宮脇です。大学でロボット関係の研究・開発を行っています。特にROS(Robot Operating System)を使ったロボット製作に取り組んでおり、研究で得た様々なノウハウを皆様にお届けしています。
2023年3月26日、ものづくりもできるコワーキングスペース「TheDECK」様にて自作ロボットとシミュレータを用いたROSセミナーを実施しました。
おかげ様で満席となり5名の方にご参加いただきました。本当にありがとうございました。今回はその様子をレポートします。
セミナーの内容
今回は、ROSの機能のうちロボットを自律的に目的地まで移動させる部分について説明しました。これをロボットのナビゲーションといいます。
ある一定の条件を満たしたロボットであれば、ROS対応させることで比較的簡単にナビゲーションを行うことができます。この機能を持ったロボットは幅広いタスクで利用でき、一気にロボットの価値を高めることが可能となります。
ナビゲーションの概要
セミナーではまず、ロボットナビゲーションの概要について説明しました。大きく分けて以下の技術についての解説を行いました。
SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)による環境の地図作成。
ロボットが地図上での自分の居場所を認識する自己位置推定。
地図上の任意の位置をゴールとして指定した際にロボットにそこまでの経路を計画させる。
目的地まで移動する間に障害物があったとき、それを回避する。
これらの技術を利用して、セミナ会場の地図を作成し、指定したゴールを順番にロボットに巡回させることを最終目標としました。
シミュレータによる地図作成
まずは、基礎編同様シミュレータを利用し、地図作成や自己位置推定の練習を行いました。SLAMは基本的にはLiDAR(レーザ距離センサ)を搭載したロボットに、周囲の壁の形状等を計測させつつ走行させることで、徐々に環境全体の地図を作成する技術になります。
WindowsPC上にDockerを使って構築した環境は、LiDARのデータもシミュレートできますので、SLAMがどういったものかを簡単に体験することができます。
シミュレータでの地図作成の様子は以下の動画のようになります。
実機での地図作成
シミュレータでの練習が終わった後、いよいよ実機を使って会場の地図を作成しました。使用するロボットは基礎編同様に私(宮脇)が設計・製作したロボットです。このロボットは無線キーボードで操作でき、液晶ディスプレイを搭載しているため、作成中の地図の様子も確認しやすくなっています。
ロボット前方に付いている、青い部品がLiDARになります。
作成した地図によるナビゲーション
一旦地図を作成したら、その地図を利用しナビゲーションのプログラムを試すことになりますが、プログラムを逐一実機で実行するのはあまり効率的ではありません。そのため、セミナーでは作成した地図からシミュレーション環境を構築し、シミュレータ上でナビゲーションのプログラムを試行錯誤して、最後に実機で実行していただきました。
セミナーを終えて
参加者の皆様からいただいた感想・コメントでは
「内容はとても面白く多くの勉強をさせてもらった」「大変参考になった」「経路計画を行い移動ロボットが移動するときは、LiDARによるセンシングで衝突回避されていて、凄いと感じた」というように、前回同様とてもありがたいコメントをいただきましたが、一方で「進行速度が少し早い」「前日までに行える(環境アップデートやソフトインストール)作業は事前連絡があるとスムーズ」「SLAMで地図を作成するところは大変だった」という、貴重なご指摘・ご意見をいただきました。
2.5時間シリーズで基礎・応用とやってきましたが、もう少し時間を延ばす等の検討も必要かもしれません。
次回についてはまだ計画中ではありますが「今後も継続してROSに関するセミナーを実施してもらえると嬉しい」「モーター制御など、ロボットを動かす所をメインに勉強したい」「次回、セミナーが開催されるようなら地図作成の原理についての講義もお願いしたい」等々、とても嬉しいお言葉もいただいております。是非とも実現を目指して頑張っていきたいと思いますので、これからもどうかよろしくお願いいたします。進展があり次第、Twitterにて告知させていただきます。
なお、ご参加された方の生のお声も私のTwitterからご参照いただけます。よろしければご覧ください。
https://twitter.com/atan2sin
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