盗まれた交換日記
親戚のおじさんたちが20人ばかり家に集まっていた。僕は根ほり葉ほりと聞きまくってそれぞれの科学的知識を吸収しようと躍起になっていた。その時、2人組の飲んだくれが外から帰ってきてしまう。
「さあ、飲みに行くぞ」
親戚のおじさんたちはみんな揃って出ていくことになってしまう。危うく僕も一緒に連れ出される勢いだったが、睡魔を盾にしてなんとか抗った。
「もう眠る!」
「あんたの交換日記あったよ」
姉がわざわざ届けてくれた。
「これをネタにして興味本位で発表していた勢力があったってことね」
あー、いらないな。
そんな余計な感想! 僕は更に深手を負った気がした。
(黙って返してくれないかな)
店の前で猫と子供が深夜まで騒いでいた。
これはちょっと懲らしめてやらねば。
「人をなめるなよ!」
黒豆を持って猫たちを威嚇した。子供は素直に帰って行ったが、猫は反抗的な態度を示した。
「こわくないね」
猫は俺の方が強いという顔をしていた。豆の入った篭をひっくり返し、そばにあったカートを押し倒した。反対側にあった自転車が触れてもいないのに倒れた。
(あいつだ)
半年前にこっ酷くやられたあの猫だった。とてもかなわないのだ。
「わるかった、わるかったよ。君が強いよ」
立ち去るのはこちらの方だった。
この敗北が翌朝には僕の面白(屈辱)出来事として町内新聞に発表されることになる。
(みんなばれてるよ)