【日記】ハイスピード・チャーハン


 今日はチャーハンを食べに行きました。一人で歩いて行きました。カウンターに着くと早速チャーハンを注文しました。以上ですかと言うので以上ですと答えました。立てかけてあったメニューを開いて眺めながら待っているとカンカンカンカン!とチャーハンを作る音が聞こえてきました。今まさにチャーハンを作っているのだと思うとわくわくしてきました。八宝菜もある、酢豚もある、麻婆豆腐もある、チャンポンもある、手羽先もある、餃子もある、他にも色々あるよう……

「はいチャーハンお待ち!」油断しているとチャーハンができあがりました。並の牛丼よりも速いかもしれませんでした。これほど速いチャーハンは記憶にありませんでした。「チャ」と発声するや否や火がついていたようでした。八角形のコンパクトな器に入った美しいチャーハン全体から立ち上がる湯気が、カウンターから店の入り口の方に流れていくのが見えました。レンゲで一口すくってほくほくと口に運びました。旨い! これは間違いない旨いチャーハンだ! とうれしさがこみ上げてきました。「はいスープ!」コンパクトなお皿なのにボリュームがあるのは、チャーハンがお皿の中に美しく盛り上がっているからでした。一口含めばそれがなくならない内にもう一口が欲しくなるようなチャーハンでした。

 一口食べ、一口食べ、一口食べ。何度繰り返しても損なわれることのない感動が続きました。どこまでいっても失われることのない熱量。これはいったいどうしたことか……。(そうだ。これはチャーハンなんだ)一口目の感動を維持したまま、むしろそれは高まっていくように、レンゲを運ぶ手が際限なくおかわりをするのでした。(もっともっともっともっと)チャーハンが熱くある時間のために、他のものは何もいらないと思いました。極上のチャーハンと出会い、至福の時間を過ごすことができました。

#日記 #中華 #チャーハン #エッセイ #八角形

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