【創作note】「B級エイリアン」感想文
サイトーさんの名を語る者が店にやってきた。マスターは動じない。既に偽者であることを見破っている。
目耳口鼻、まず顔の基本的な構成からして、サイトーさんとは大きく異なってるようだ。それを一つずつ言葉で説明していくところに、マスターの律儀な性格が現れている。
サイトーさんではないとしても、お客様の一人ではある。そこに思わずおもてなしの心が顔を出してしまう。
理屈で攻めるマスターに徐々に動揺の色を隠せなくなる偽サイトー。そして、ついに最後の切り札としてのカンサイ人が放たれる。
ここに来て偽サイトーは言い逃れができなくなった。同時にそれは偽サイトーがエイリアンとなって牙を剥く瞬間でもある。
こんなことになるのなら……。
マスターはサイトーさんを知るが故に、偽サイトーを許容することができなかった。皮肉にもそれがエイリアンを覚醒させてしまうことになろうとは。
その人をその人だと証明する手がかりは何だろうか。
声、顔、瞳、指……。それは完全に信用できるものだろうか。
一つ一つを疑い始めた時、すべてが疑わしく思え始める。