妻は壊れたのか
息子は発達障害の疑いがある、と認定されている。療育手帳も持っている。
とは言え、普通の保育園に通い(もちろん他の子よりも多くの助けを頂いてだが)、僕から見れば、普通に過ごしている。
友達を傷つけることもなく、優しい男の子だ。
もちろん、他の子が出来ることが出来ない、という事もある。だけど、逆に、他の子が出来ないことが出来る。
気持ちの切り替えが出来ない、なんて事がある。けれど、皆んなが忘れているような事を、覚えていてくれたりする。
モノを目で追えない、という事があったらしい。でも、今は療育に通って、十分に出来るようになった。
苦手な事があり、得意な事がある。
そして、苦手な事は、出来るようになっている。
僕にとってそれらは、個性と言い、成長と言う。
でも、妻は不安に駆られている。
息子に貼られたレッテル、手にした療育手帳が、不安の根っこにある。
子供の成長は、将来どんな形で結実するのか、わからないモノだ。
当たり前。
でも、妻の不安の根っこにあるものが、その当たり前を許せないモノに変えてしまう。
息子は筆圧が弱い。
療育手帳があるせいで、明日にでも筆圧が強くならなければならないと思ってしまう。
他の子がで来ることは、今すぐにでも出来てほしいと焦燥が走る。息子が4歳にして漢字を読めるようになりつつある変化では、その焦燥は消えない。
僕は、何も出来ないでいる。
何を言っても、妻を癒すことは出来ない。
妻は悔いている。悲観している。
どうしたらいいのだろう。
ただただ自分が情け無い。