キンキーブーツ前夜
昨夏、キンキーブーツ円盤化に向けた活動がありました。署名活動の発起人の方には、本当に感謝しています。
恐らく、その頃の私はキンキーブーツという作品の存在すら知らなかったと思います。キンキーブーツって?ドラッグクイーンって薬女王??っていうぐらい何もわかっていませんでした。そして今もよくわかっていません。そもそもミュージカルに興味がなく、自発的に観に行ったこともありません。しかし、春馬くんが自分から役を取りに行って、楽しそうに役作りのための挑戦やキンキーブーツについて語る様子を動画で見て、どういうものか観てみたくなりました。
そのような活動を知った時には、確か2万人以上の賛同者がいて、私も春馬くんの話をすることのあった友達や、舞台が好きな人に声を掛け、わずかばかり活動宣伝費用を寄付しました。6万人を超える署名が集まって、結果として映像の一部に留まらず仲間の言葉も集めてまとめて下さり、今日も観ることができています。本当に感謝です。話のストーリーはよくわからないけれど、特別映像を観ては「ローラはエネルギーの塊みたいな人、ほんとにキレイだなぁ」と思いながら眺めています。
いつだったか、少しでもキンキーブーツの雰囲気を知りたいと思って、映画のDVDを中古で手に入れました。もちろん映画と舞台は別物と思いますが、いつか観ようと思っていました。
どういうわけか、英国版のキンキーブーツが映画館で上映されるとのことになりました。春馬くんのローラ、日本版のキンキーブーツじゃなくとも、キンキーブーツの世界観がわかる絶好の機会が棚ぼたのように降ってきました。
上映館は県内1箇所で、度々観に行くことはできません。つい最近まで、森の学校や天外者、僕のいた時間で、頭が忙しく同時進行の苦手は私は、「そのうち行こう」と思っていました。
ふと映画館のサイトを確認してみると、なんと上映は1週間!連日の予約状況は前列に空きがちらほらあるくらいでほぼ満席。前列は首が痛くなるから、一昨日慌ててまだ空きのあった最終日の予約をしました。
一度で内容を理解できないかも…と思い、これを機に映画版を観ることにしました。
とても心温まる内容で、ローラの粋で懐の広いところに惹かれました。チャーリーやローラだけでなく、保守的だった従業員の人々も皆チャーミングでした。実話だったことも今日初めて知り、よくわからなかったストーリーも、練習風景や特別映像で見ていた場面場面の経緯を大体つかむことができました。
映画では6つのステップについて言葉として明示されておらず、舞台ならではのものと思われます。私にはいまいちイメージしにくい項目もありますが、寝る前に特別映像を観てみようと思います。
1.真実を追いかけること
2.新しいことを学ぶこと
3.自分を受け入れ、他人も受け入れること
4.愛を輝かせること
5.プライドを掲げること
6.自分が変われば世界が変わる
以下映画の特典映像から、一部抜粋した自分用のメモです。字幕にあるように引用しました。
服装倒錯者という訳し方が適当なのか、ひっかかります。
映画の撮影のため、実際の工場を3週間閉鎖したり、俳優に靴の制作を教えるため、従業員の方々が熱心に協力してくれたお陰で、工場の様子を映像化できたそうです。
製作:ニコラス・バートン
この映画の製作はドキュメンタリーを見たのがきっかけだ。ノーサンプトンシャーの老舗の靴工場。従業員たちは他の工場と同様に製品の路線変更を強いられていた。そこで工場主のペイトマンは服装倒錯者向けに、膝上まであるエナメル革の赤いブーツを作ろうと決める。歴史ある工場とエロティックなブーツ。最高に面白い取り合わせだと我々は思った。
製作:スザンヌ・マッキー
キンキー・ブーツの工場の物語を映画化したかったの。それでスティーヴを訪ねた。従業員にも会い、何日もそこで過ごしたわ。それから数年間、脚本家も含め、定期的に工場を訪れてもっと深く知ろうとしたの。
工場の騒音や革のにおいや官能的な雰囲気を今も覚えてる。中に入ると男性の後ろ姿が見えたの。穴の開いたカーディガンにツイードのズボンにブローグ靴。前に回って見てみたら半分だけ縁のついた眼鏡でいかにも古株って感じ。すざまじい集中力で仕事をしてたわ。彼が作ってたのは大きな赤い革のブーツ。私は「これだ」と思った。彼はこの赤いブーツに自分の技の全てを注ぎ、丹精込めて作っていたの。その光景を見て私たちは「いい作品になる」と思ったわ。
工場主:スティーヴ・ペイトマン(チャーリーのモデルの人)
うちの工場ができて115年になる。1889年に創設されて5〜6年ほど前僕が親父から受け継いだ。うちは代々多種多様な靴を作り続けてきた。2度の世界大戦中もね。戦後もビートルズのようなファッションの時代などあらゆる局面を経てきた。
「婦人靴を作ってるか」とある日客が問い合わせてきてね。「紳士用だけ」と答えると「紳士用でいい」と言うんだ。「男性サイズの婦人靴が欲しいんだ」とね。
この会話がきっかけで膝上まであるブーツを作ることになった。波乱の日々の始まりだよ。
チャーリー・プライス役:ジョエル・エドガートン
撮影現場でずっとスティーヴと話してた。
話す度に新しい発見があったよ。撮影を見ながら彼は当時の裏話を聞かせてくれた。
服装倒錯者たちと会って話をしたり、話をぶつけたりした。だが事前に考えていた質問は変更したよ。「性転換したのか」とか、「なぜ女装するのか」といった露骨な質問はやめて「どこに住んでる」などの質問にしたんだ。
ローラ役:キウェテル・イジョフォー
クラブはローラとして解き放たれる場所だ。観客も映画のもう一つの面を楽しめる、チャーリーの世界とは全く違う世界をね。
実際に女装を好む人たちを交えて撮影した。演技に説得力を持たせることが重要だから。彼らが「NO」と言えば演じ方を変えた。その場で意見が聞けて幸運だったよ。
オッケーが出ればその時は自信を持って堂々とやればいいんだ。