Goto読書で想像旅行を④ー他県混合部門ー

こんばんは、robin1101と申します。

今回はGoto読書第4回目で、他県混合部門を紹介します。

他県混合では、主に全国を旅している作品を紹介するのですが、なかなか全国を行脚している模様を一つの作品に収まっている作品が、自分の読んだ作品の中では、とても少ないです。

なので、小説だけでなく、別のジャンルも加えて、3作品を紹介させていただきます。

始まりの木/夏川草介

「少しばかり不思議な話を書きました。
木と森と、空と大地と、ヒトの心の物語です」
--夏川草介
第一話 寄り道【主な舞台 青森県弘前市、嶽温泉、岩木山】
第二話 七色【主な舞台 京都府京都市(岩倉、鞍馬)、叡山電車】
第三話 始まりの木【主な舞台 長野県松本市、伊那谷】
第四話 同行二人【主な舞台 高知県宿毛市】
第五話 灯火【主な舞台 東京都文京区】
藤崎千佳は、東京にある国立東々大学の学生である。所属は文学部で、専攻は民俗学。指導教官である古屋神寺郎は、足が悪いことをものともせず日本国中にフィールドワークへ出かける、偏屈で優秀な民俗学者だ。古屋は北から南へ練り歩くフィールドワークを通して、“現代日本人の失ったもの”を藤崎に問いかけてゆく。学問と旅をめぐる、不思議な冒険が、始まる。

原点に帰ったような気持ちにさせてくれる作品でした。

大学の准教授で民俗学者でもある古屋とその助手的存在の大学院生の藤崎が、行く先々で色んなことを学んでいく紀行のような内容になっています。
全5話の連作短編集で、一つの話だけでも楽しめました。各話ごとに旅先が異なっていて、読み進めるごとに古屋の過去や民族学者としての信念が明らかになります。

個人的には第2話の京都を舞台にした話が好きでした。ちょっとファンタジーを含んだ不思議な作品になっていて、面白かったです。
この二人のコンビが良い味を出しています。
古屋はムカつく存在だけれども愛らしく、それを支える藤崎の柔らかい雰囲気が、全体を包み込んでいる印象がありました。二人と一緒に旅をして、講義を受けているようで、読んでいてちょっとした擬似体験を味わえたように感じました。

作者の夏川さんは医療に携わっているということで、そういった関連のことが所々に描かれています。
「神様のカルテ」と雰囲気が似ていて、トゲトゲしくなく、丸く包みこむようなオーラが漂っていて、心が洗われた気持ちにさせてくれました。

知識を得るとき、今はインターネットや図書館など現地に行かなくても学ぶことができます。でも、現場でしか味わえないことも多くあります。旅をすることで、肌で感じる空気、ちょっとしたアクシデントなどで記憶に残りやすくなります。ちょっと旅してみようかなという気持ちにさせてくれました。


ニッポンの嵐

2010年秋に全国小中学校に寄贈された学校図書を内容そのままに縮小。嵐のメンバーが自らの興味を主題に日本各地を訪ねた旅を収録。

元々は学校図書として寄贈されたものでしたが、一般発売を望む声が多くいたり、転売をする人もいたりと反響は凄かったのを覚えています。また、この当時、東日本大震災が発生していた時期でしたので、被災地復興支援に役立てることはできないかということもあり、ポケット版として一般発売することになりました。

内容は、ニッポンについてテーマを掲げ、それぞれ全国を旅し、現地の人たちと触れ合いながら、「今」の日本を伝えています。旅している写真が多く添えられていたり、日本にまつわる暦や食などを紹介したりと学ぶだけでなく、行った気分になったり、行ってみたい気持ちにもさせてくれます。

嵐の人達が聞き役に徹していますが、皆さん純粋に楽しんでいる様子が伺えましたし、それぞれの個性も引き立っていて、「嵐」の魅力も詰まっているのではと思いました。

ただし、この本はポケット版ということで、字が普通の本よりも小さいのでご注意を。


ゆかいな珍名踏切/今尾恵介

踏切には名前がある。それは実に適当に名づけられている。
「畑道踏切」と安易なヤツもあれば「勝負踏切」「天皇様踏切」「パーマ踏切」「爆発踏切」などの謎めいたモノも。
踏切の名前は、つけられた瞬間から時間が止まっているかのように、
昔の風景をひっそりと今に伝えている。
踏切の名称にひかれて何十年の、「踏切名称マニア」が現地を訪れ、その謎を解き明かす。

この作品を知ったきっかけは、ラジオで作者が登場されていて、興味をもったので購入してみました。

踏切には名前が存在していて、普通だったら駅名と第○号がセットで表示されています。ただ、中にはコレってどういう由来で名前がついたの?というものが存在しています。
「爆発踏切」「パーマ踏切」「異人館踏切」など「何でその名前がついたの?」と思う場所が多くあり、作者は実際に現地に行き、周辺の住民の証言や書物を頼りに由来を探っていきます。

なかなか振り返ってみて、これはこうなんだと詳細には語れませんが、「ふーん、そうなんだ」と雰囲気で味わえました。「踏切にも歴史あり」で、知ることで、その背景としてどんなことが起きていたのか、ちょっとしたミステリーとしても楽しめました。


テレビ東京系列の深夜帯に放送されてもいいぐらい、様々な所に珍しい名前の踏切が多く紹介されていました。名付けた人って安直なの?と思うくらい、シンプルな理由ばかりでした。でもシンプルな分だけ、その事実の奥行き感がとてもありました。その土地では、こんなことがあったんだと歴史としても楽しめますし、もしかしたら自分の近くでも…と思わず確認したくなりました。


最後まで、読んでいただきありがとうございました。

次回は、施設部門を投稿します。

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