尖りと人気
よく行くスパイス屋さんがあります。いつもタイ米を主食にしているから、無くなったら自転車で買いに行きました。15分位。引っ込み思案っぽいバングラデシュ人がいる時と、社長がいる時があって、大体3対7くらいの割合。今回買ったタイ米はパッケージが違う。いつもと同じだと社長が言っているから、買ってみたら全く違う日本米の混ざったようなもので「ふざけんなよ社長」と。
マスタードオイルの説明している時の社長は心底嬉しそうで、「外国人は体に塗る」と言ってニコニコしながら僕の手にも付けてくれました。明るいなぁ。きっと人気者なんだろうな、この人は。
脳内の「人気者」の言葉に反応して、永遠の課題「人気と尖り」が頭をかすめます。バターチキンとミールス、ニューヨークとランジャタイ、例を挙げればキリがありませんが、人気をとりにいく大衆迎合と、やりたいことをそのままやる偏屈さ。いつだって対立していそうです。僕は食べることが好きで、原宿にあるエリックサウスに時々行きます。恐らくですが、あの店を仕切っているイナダシュンスケさんは、いわゆる現地の味を知って居ながらにして、日本人にも食べやすくしてくれているのだと思います。実際に美味しいです。ただ、どこかで尖りとか拘りを丸くして、サンバルを甘くしようとか、パプリカパウダーを入れることで日本人の違和感のないものに変換させた瞬間があったんだと感じます。
youtubeの筋肉あるあるさんが好きでよく見ます。彼の動画は海外の論文や情報などから筋トレの新しい情報を提供してくれています。内容は実にキレキレですが、動画全体の雰囲気はポップで難しいことを難しく感じさせない雰囲気がある気がします。彼がどのような経緯で情報を集め始めたのか知りませんが、どこかで難しい内容を難しいままじゃ届かない、という気づきがあったのではないでしょうか。
日本のチェーンの飲食店は総じて海外向けの味を作り直すと聞きます。いたかどうかは分かりませんが、丸亀製麺の社員の丸亀製麺信者は「これをそのまま出すのがいいだろ!」と憤慨した瞬間がゼロではなかったのではないでしょうか。
人気がある方が良いに決まっていて、その方がお金になります。ただ、格好良さでいうとどうでしょうか。今の流行りに乗って、軟派に色々とこねくり回してまで自分の貫きたい姿をどんどん変えて、残ったものは何になるのか、という思想です。そうじゃない方が格好いいに決まっています。100年前からの作り方を貫く杜氏、生涯現役を貫く三浦カズ。
この記事の趣旨は愚直な格好良さを貫け、ではありません。ただ、流行にかぶれて思考を失くすことも違います。多分そのどちらも上手くいきません。
僕から見た三浦カズは愚直ですが、恐らく彼自身の中は葛藤もルート変更も微調整も沢山あるはずです。見えていないだけです。
僕が言いたいのは、自分の解像度を上げることです。僕の中に「youtubeで犯罪ギリのことやればバズるんじゃない」と軟派に動く心も、「自分の信じたことがいつか結果になる」という揺るぎない信念のようなものもあります。ただ、軟派も頑固もそれそのものだけでは通用しないから、変えられるものを変えて、試してみて、どうだろうって見てみる。そしたらその心自体が変わっていくような感じがします。そうすると行動が変わっていく、というのが今のところの結論です。
一年後はTiktokでダンスをしているかもしれません。
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