オリジナリティのつくり方
落合陽一さんがある番組で、
というようなことを言っている。
落合さんがここで語っているのは研究についてだが、アートにも当てはまる(注意書きを入れておくと、ここから先は、アートに知性はいらない、感性だけでつくるという天才肌の方には必要ない文章だ)。
私のもとで学ぶ悩めるアーティストの多くのが、オリジナリティをどう出すかに苦心している。とりわけ、先生から出された課題をこなす類いの学習を続けてきたタイプ、特定の誰かに憧れてそのマネをしてきたタイプの人は、そうだ。
実はこの2つのタイプ、落合さんの言葉を借りれば、「普通の人」だ。
その普通の人にとっては、はじめにお手本ないしは正解があって、それにできるだけ近づくこと、多く正解をすることが、「上達」であり「成功」。それをずっと小さい頃から繰り返してきたはずだ。
だが、「まだ誰もやっていないこと」には、手本も正解もない。不安になるのは当然だ。
ところで、私が写真の最初の仕事をいただいたのは、写真を始めてからまだ1年半とか2年の頃。なぜお声をかけていただけたかといえば、ほとんど人がやっていないことをやっていたからだと思う。当時ウェブサイトをつくって写真を上げてる人はほとんどいなかったし、初心者ゆえの発想で、それまでの写真の常識に縛られず、カメラのポテンシャルを引き出すように作画していたというのもあったと思う。
だが、いまでは日本のほぼ全人口が写真をとるような時代になり、ただ感性だけで写真を撮るようなことは、少なくとも私にはもうできない。
では、オリジナリティを出すには、どうしたらいいか。上記の落合さんの言葉を参考に考えてみよう。
まずは、ぼんやりと「こういうことをやってみようかな」と思っている分野を徹底的にリサーチする。さいわい、現代は図書館などに行かなくても、手元で全世界のあらゆる情報が手に入る。
次に、まだ誰もやっていないことで、自分にできることは何か、徹底的に考える。
繰り返すが、以上は、アートは感性だ、考えるな、写真はハートで撮れ、音楽はフィーリングだ、でやれている人には不要な話。
だがあなたも(私のように)、なんとかしてオリジナルなものをつくりたいと思っているのであれば、情報と知性をフル動員して、まだ誰も見たことのない、聞いたことのないを探し出し、おもしろいもの、ワクワクするものを共につくっていこうではないか。
徹底的に調べ、考えに考えた末、ふとした瞬間に閃くのが、インスピレーションというやつだと思っている。漫然と暮らしているときに、インスピレーションはやって来ない。