タイとトライX
旅に行けない今書く旅の話。タイの話、つづき。
デジタルカメラでの取材仕事のときでも、たいていフィルムカメラも持っていく。
空港のセキュリティを通るときは毎回、フィルムなんて持ってくるんじゃなかったと思う。X線を通したくないので、ハンドチェックをお願いするからだ。たいがいは安全だから通しなさいとぶっきらぼうに言われるので、そこから交渉が始まる。シャルルドゴールではもめたこともあるし、フランクフルトでは別室に呼ばれたこともある。
成田や羽田では、近年は「お手数をおかけしてすいません、ハンドチェックお願いできますか」とスタッフ視点でお願いすることで、快くハンドチェックをしてもらうことに成功している。
↑バンコクで泊まった部屋。
そんなめんどくさいフィルムだが、現地に行って撮影するときと、帰ってきてプリントするときに、やっぱり持ってきて/持っていってよかったと思う。
フィルムカメラでの撮影は、単純に言えば、楽しい。デジタルとなにがちがうのかと考えるが、正直よくわからない。ただ、きわめて主観的で身体的ななにかが決定的にちがう。
現代にわざわざフィルムを使うことに否定的な考え方もあって、それもそれで理解できるが、私にとっては「デジタルカメラ=フィルムカメラの進化形」と単純化できないところが多々あるから、100%の置き換えはいまのところできない。
フィルムは、プリントにしてようやくそのポテンシャルが発揮されると経験上感じている。が、今回はプリントする前のフィルムからのスキャン。
以下、アユタヤにて。今回の写真はすべて、カメラはMinolta TC-1、フィルムはTri-X。
(つづく)