旅に行けない今書く写真と旅の話〜チャオプラヤ川、ライカ、GR
旅に行けない今書く写真と旅の話、タイについてのつづき。
しばらく前に、チャオプラヤ川について書いたが、今回もチャオプラヤ川とその周辺をモチーフに、スナップ写真について。
突然だが、これをもしカメラメーカー関係の方々が読んでいたら、覚えておくと将来役立つかもと思うのが、今の若い世代(十代とそれ以下)にとっては、静止画よりも動画でスナップを撮るのがある意味自然のようだということ。たとえば、小学生の息子やその友だちにタブレットを持たせると、静止画でなく動画を撮りまくる。テレビはあったものの、情報を本や雑誌などから得て育った我々の世代の感覚とは、映像やスナップについてちがう感覚を持っているようだ。私の印象であるが。
さて、チャオプラヤ川。
いまでも人々が川を行き来するボートをリアルな交通手段として使っている。
ボートに乗ると、その揺れのせいなのか、川から感じる湿った風のせいなのか、目的地に向かって進みながら、外を眺め、何かを考え、人はいつもより無口になるように感じる。
おそらく病院勤務の帰りのこの女性も、ずっと窓の外を見ていた。
風の音、波の音、エンジン音、時々聞こえるスマートフォンの音、そして、船員たちの掛け声や笛の音。
私にとってのスナップ写真は、そういった聴覚の体験までをも写すような写真なのだろう。
また私にとってのいいカメラ、いいレンズとは、そういうものを写しとってくれるものなのかもしれないと、今書きながら初めてそう思った。
写真は Leica M10-P + Apo-Summicron 50mm(担当したデジカメWatchの記事はこちら)と RICOH GR III で撮影。
(つづく)