カメラの話を徒然に(16)
通称 デッケルマウント(5) (コダック)広角レンズ編
広角レンズ
今回から3回は一眼レフ用レンズの紹介だ。
レチナIIIS(IIS)やレチナレフレックスにはシュナイダー社、ローデンシュトック社からレンズが供給されていたが、前回書いた通り、ローデンシュトック社のレンズは1本しか持っていないので前回のレチナIIISの稿で終わりとして、ここからはシュナイダー社のレンズのみになる。
シュナイダー社の、コダック系デッケルマウントのレンズ一覧をまとめておく。前の稿にも書いたが、Retina-が頭についているものと、それが消えたものがあり、広角、望遠レンズではその名前の付け方がおそらく前期・後期に相当して後期が一眼レフ専用になっている(一方で標準レンズにおいては後期もRetina-がついている)のかと推定しているのだけれど、データや証拠があるわけではないので、自分の店頭で見てきた感想、程度ということにしておく。
一覧のうち、私が持っているレンズは28mmから135mmまであってこれで一通りの撮影はできる。200mmは持っていないが、何しろフォクトレンダーの200mmF4の最短撮影距離8.5mで懲りた(しかもテレクセナーでは初期が8.5m、後期が10mらしい)のと、筒の先が大きいこの時代の望遠レンズは保管時の場所を取る上にめったに使わないことから、たぶんこの先も手を出さないと思われる。
レチナ クルタゴン Retina-Cultagon 28mmF4 *
クルタゴン Cultagon 28mmF4
レチナ クルタゴン Retina-Cultagon 35mmF2.8
クルタゴン Cultagon 35mmF2.8
クセナー Xenar 45mmF2.8 *
レチナ クセノン Retina-Xenon 50mmF1.9
レチナ クセナー Retina-Xenar 50mmF2.8
レチナ テレアートン Retina-Tele-Arton 85mmF4
テレアートン Tele-Arton 90mmF4
レチナ テレクセナー Retina-Tele-Xenar 135mmF4 *
テレクセナー Tele-Xenar 135mmF4
レチナ テレクセナー Retina-Tele-Xenar 200mmF4.8 *
テレクセナー Tele-Xenar 200mmF4.8 *
(*印:持っていないもの)
広角レンズの撮影例
以下、一眼レフ用レンズの写真を上げる。距離計連動用は前の稿に上げたのでここでは省略する。
●クルタゴン Cultagon 28mmF4
最短撮影距離が0.6mになったバージョンで、連動距離計用のカムがなくなり、鏡胴先端の形も変わっている。鏡胴の形は、前期の0.9m近接版ではフードのように広がった部分があり、外側がクセノン50mmと似た光沢仕上げになっている。後期ではこの部分がピントリングと同じ面くらいに縮小され、外側の仕上げは光沢感が少なくなっている。
写りは、周辺画質が少し怪しいが中央部はシャープで色もきれいである。周辺画質はF8くらいに絞っても少し怪しげである。ボケはピント面からのつながりが良く、自然な感じがする。
●クルタゴン Cultagon 35mmF2.8
これも28mmと同様、0.6mバージョン、距離計カムなし、鏡胴先端変更、ということが当てはまる。鏡胴先端については、0.9m版にあったフード装着のバヨネットがなくなり、シンプルな外観になっているが、そのぶんレンズ先端近くにあるレンズへの接触が気になって仕方がない。中古市場にあまりなさそうで、純正のアクセサリーがあったのかどうかも分からず、とりあえず持ち運び時にはコシナフォクトレンダーのかぶせ式レンズキャップをつけている。(その後もう少し調べたら、鏡胴外側の枠ではなくレンズ前のところにネジが切られていて29.5mm径のフィルターがつくようだ)
くっきりとしたコントラストで色が濃く、シャープな描写で良いレンズである。デッケルマウントのシュナイダーレンズについての資料が見当たらないので35mmF2.8のどの世代に相当するのかは分からない。
おわりに
シュナイダー社はレンズメーカーであるから、いろんなマウントにレンズを供給している。今回紹介したレンズはわざわざデッケルマウントで探す必要はなく、M42やエキザクタの方がむしろ探しやすいだろうし、最短撮影距離ももっと短い..などと言ってしまってはおしまいなのであるが(笑)。
とはいえ、デッケルマウントのレンズは絞り環がカメラ側にあるためレンズはコンパクトに出来ているし、制約が多い共通規格の中で各社がレンズを供給し合ったおかげで現在のクラシックレンズの趣味も成立しているわけで、これには感謝している。
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