カメラの話を徒然に(18)
通称 デッケルマウント(7・終) (コダック)望遠レンズ編
望遠レンズ
コダック系デッケルマウント、シュナイダー社のレンズ一覧を再掲。
レチナ クルタゴン Retina-Cultagon 28mmF4 *
クルタゴン Cultagon 28mmF4
レチナ クルタゴン Retina-Cultagon 35mmF2.8
クルタゴン Cultagon 35mmF2.8
クセナー Xenar 45mmF2.8 *
レチナ クセノン Retina-Xenon 50mmF1.9
レチナ クセナー Retina-Xenar 50mmF2.8
レチナ テレアートン Retina-Tele-Arton 85mmF4
テレアートン Tele-Arton 90mmF4
レチナ テレクセナー Retina-Tele-Xenar 135mmF4 *
テレクセナー Tele-Xenar 135mmF4
レチナ テレクセナー Retina-Tele-Xenar 200mmF4.8 *
テレクセナー Tele-Xenar 200mmF4.8 *
(*印:持っていないもの)
今回の紹介は望遠レンズである。
85mmF4はレチナIIISのところでも紹介したのだが、ちょっとおもしろい写真があるのでここでも画像を上げておく。
望遠レンズとなると、後期のレンズで最短撮影距離が短縮されるということはなかったようだ。テレアートンでは85mmで1.8mなのが90mmに変わった時に1.9mに伸びていて、おそらく同じ鏡胴パーツで90mmレンズを入れたため、繰り出し量が同じで結果的に最短撮影距離が遠くなってしまったのかと推定している。また、この90mmでは距離計連動カムがなくなっているので、レチナIIISでは距離計が使えない。
テレクセナー135mmでは最短撮影距離は新旧で変わらず4mであり、これはフォクトレンダー社のレンズでも共通だ。このレンズでも、後期型では距離計連動カムがなくなっている。
テレクセナー200mmは持っていないが、画像検索をして見ると、前期が8.5mなのに対して後期は10mに変わっていて、これは全く理由が分からない。いずれにしても、200mmの最短撮影距離にはフォクトレンダー社のレンズで既に懲りているので、おそらくシュナイダー社のレンズを追加で揃えることはないと思う。
●レチナ テレアートン Retina-Tele-Arton 85mmF4
距離計連動型を兼用しているレンズである。小柄で全長も短く標準レンズと差が少ないので、カメラバッグの中では区別がつきにくい。
夜景を絞り開放で撮ると、強い光源の周囲にたくさんの線が現れる。これは私のレンズの絞りにそういう線を発生させる形があるのか、通常そうなのかは分からない。まあ、遠景の夜景を絞り開放で撮ることはほぼないので、気になるなら絞ってしまえば良いのだが。
●テレアートン Tele-Arton 90mmF4
クルタゴン35mmでもあった通り、これも85mmからこの新レンズになってバヨネットのフード取り付け部がなくなった。レンズが鏡胴先端ギリギリまであるので、カメラバッグ内やレンズにつけて持ち運ぶ時に周囲に接触しそうで怖い。そこで保護のため35mm同様コシナフォクトレンダーのレンズキャップを装着して使っている。その後もう少し調べたところ、鏡胴ではなく、レンズ部分にネジが切られていて29.5mm径のフィルターがつくようだ。昔、純正でないフィルターを1枚持っていたのを思い出しつけてみたら装着できた。ただ、テレアートンは凸レンズが突き出ていてフィルターに接触しそうなので、1枚目レンズの曲率が小さいクルタゴンの方にフィルターを付けてみた。問題なさそうだ。
90mmレンズの話に戻ろう。
画角は85mmに対して少し狭くなっており、確かにレンズ設計は変わっている。コントラストがはっきりしていてきれいに写るレンズで、最短撮影距離が遠いことを除いて、使い勝手は良い。ボケは状況を選ぶ感じで、なかなか難しい。でも、85mmをレチナIIISで使うとボケ像は分からないが、このレンズは一眼レフ専用でありボケ像はその場で分かるから、なるべく避けるような距離や構図を考えることはできる。下に上げた2枚目の写真はあえてボケが荒々しくなる状況を選んでいる。
●テレクセナー Tele-Xenar 135mmF4
このレンズは新旧とも135mmF4であるが、新レンズになって形が大きく変わっている。旧レンズでは前玉に向かって鏡胴が広がっていく形であるが、新レンズではずん胴になっていて、さらに鏡胴が銀色から黒色になった。色の仕上げは、カメラボディにある露出計に反射光が入って測定のノイズになることを防ぐためだ。この時代のレンズやフードの仕上げではよく見られるやり方だ。そんなことをしなくても、レンズを通った光を直接測れば良いのに、と今の常識で言ってはいけない。TTL測光が初めて実用化されたのは63年のトプコンREスーパーで、レチナレフレックスシリーズのレンズ交換式のSは59年、最終型のIVは64年の発売であり、TTL測光の普及はまだ先の話であるし、結局レチナの一眼レフはTTL測光に対応せず終息している。
レンズのモデルチェンジに伴って、レンズ内が狭くなったので逆光に弱くなった、という説があるが、私の使っている感じではあまり逆光で困ったことはない。純正のフード(初期中望遠以下のバヨネット式ではなくねじ込み)はあまり深くはないが効果はある。描写はシャープで、ボケ味も素直で良いレンズである。これも、最短撮影距離が遠いことを除いて、使いやすいレンズである。
おわりに
7回にわたり、デッケルマウントの紹介をしたが、私が紹介できるのはフォクトレンダー社とシュナイダー社(+オイリゴン35mm)だけである。まだ他にも供給元はあるので、皆様探して面白そうなレンズがあったら使ってみて欲しい。シュナイダー社やローデンシュトック社、イロカやブラウンに供給されたシュタインハイル社はデッケルマウントに限らずM42やエキザクタマウントにも同種のレンズを多く供給しているので、デッケルに限らなくても良いと思う。
一方でフォクトレンダー社は、自社がカメラを製造していることもあってか他マウントへの供給は限られていて、デッケルマウントでしか味わえないレンズがある。そういう系統はこのマウントで揃えて行くしかないので、アダプターなどを手に入れて汎用的なボディに装着して使うのが良いだろう。スコパゴン40mmF2、ゼプトン50mmF2がこのマウントでしか出ていないもので、次いでディナレクス90mmF3.4が後継のイカレックス用BMマウントで出てはいるが極めてレアなのでこれもデッケルで揃えるのが得策だと思う。他のレンズはイカレックス用のBMマウントやTM(M42)でもリバイバルされていてそれなりに市場にレンズがあるので探しやすいかと思われる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?