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ベルクハイル

ハンドカメラ

前の稿にハンドカメラについて言及していたら、偶然、フォクトレンダー社のハンドカメラ、ベルクハイルの撮影ネガが見つかった。早速スキャンした。
既にカメラが手元にないから、ボディの各部の写真などは上げられないので、短い記事だ。

ベルクハイルは山での挨拶とのことだ。登山に持って行くのに適した大きさという売りだったのだろう。
ボディはタイトルの上の写真が唯一残っていて、折りたたむと弁当箱のような形になる。箱なので、撮影時にホールディングが良いかと言うと、そうでもないし、蛇腹部分が大きく展開するから取り扱いには気を遣う。ピントグラスでフォーカスを追い込んだりするにはカメラが固定されている方が断然やり易いし、基本的には三脚に載せて撮るカメラだと思う。所有していたのは2000年初めの頃で、カメラの製造時期は1933年近辺、自分が所有したカメラ・レンズの中では最も古い。

レンズ

ベルクハイルはレンズ部分が交換出来る。レンズシャッターのところに簡単なマウントのようなものを付けて、それがカメラにはまるようになっている。ヘリア(105mmF3.5/4.5や120mmF4.5)と、テレディナー255mmF6.3などは市場で見たことはある。他のレンズもマウント部分の板を自作できれば装着できる。ただ、カメラの蓋部分が開いてそこのレールにレンズ部が乗る形になっていて、広角レンズだと、開いた蓋が画角にかぶる可能性があり、その点は制約がある。私は、広角レンズを付けている事例は見たことがない。
以下の撮影例はヘリア120mmF4.5によるものだ。当時住んでいた岩手県北上市の雪景色で、00年3月ごろのものだ。北上市はあの地域の中では降雪が多いところであるが、さすがに3月ともなると降らなくなってくる時期で、珍しく積もったのを撮ったのだろう。雪が積もって足元が悪い中、いろんな手順が必要なカメラを使って細かい手元作業をしているのだから、我ながら当時の熱意に感動する。今ではとてもできない。

自宅アパート前/ Bergheil,Heliar 120mmF4.5/ F12,1/100,Kodak 400CN
材木置き場/ Bergheil,Heliar 120mmF4.5/ F18,1/200,Kodak 400CN
材木置き場/ Bergheil,Heliar 120mmF4.5/ F18,1/200,Ilford XP2 super
つらら/ Bergheil,Heliar 120mmF4.5/ F6.3 1/2,1/200,Ilford XP2 super

いずれの写真も、ISO400のカラーネガ現像モノクロフィルムで、特に3枚目までは反則的な絞り値なので全体にキリっとして隅々までよく写っている。カラーでの撮影も当時していたが、色合いは若干地味で、逆光では特にゴーストフレアが発生し画面全体が濁るので難しかった。レンズの反射防止コーティングがない時代なので、そこらへんは仕方ない。

おわりに

このカメラは金属製の箱に皮を貼って、ゴージャスな外観と手触りであるし、70年近く経っても開閉やレンズボードはスムーズに動き、随所に手がかかった精密なカメラである。ただ、4x5などの大判カメラと同様、ピントを確認したりするにはフィルムバック(ホルダー)を外してピントグラスを入れ、シャッターを開放にして構図を確認して、シャッターを閉じて...と手順が多く撮影には習熟が必要である。それゆえ私の場合は手放してしまい、距離計連動機へとシフトしてしまった。実際、フォクトレンダー社の中判カメラ全般がそういう流れになり、その後50年代まではフィルムホルダーが一体となった距離計連動機が売られていたが、60年代にはそれも淘汰されていく。諸行無常である。いまあるカメラを大切に使って行きたい。

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