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QTと準備預金、そしてリバースレポ残高
流動性を決定する大きな要素の中では、
QT(Quantitative Tightening):これは中央銀行が保有する資産を縮小し、市場の流動性を減らす金融引き締めのことだよね。
準備預金:これは民間の金融機関が予期せぬ資金需要に備えるために、中央銀行に預けておく必要がある最低限の資金。
リバースレポ残高(RRP balance):中央銀行が一時的に金融機関からお金を吸収するために、担保(債券)を使って借り入れる総額のことだね。市場流動性を調整するために使われるよ。このコロナ後、特にバイデン政権になってからかなり重要な役割を果たしてるんだ。
この3つの要素が連動して動くメカニズムを一緒に見てみよう。
結局、この流動性の行方はアメリカ株式市場に大きく影響を与えるからね。
[量的引き締め (QT)]
アメリカでは金利を下げると同時に、QT(量的引き締め)も進めているんだ。もちろん、その規模は縮小されているけどね。
最初は月950億ドルだったのが、現在では月600億ドルになってる。さらに、この金額がもっと減る可能性があるみたいだよ。
[適正な準備預金量]
市場の流動性を計るのって難しいよね。
なんせ情報が豊富で、実際に行動する力を持つFRB(連邦準備制度)ですら、2019年の秋のような失敗をしちゃうんだから。
QTを進めるにあたって、FRBは銀行の準備預金に特に注目してるみたい。銀行の準備預金が適正な水準を超えているのであればQTを続けられるけど、もしこれが適正な水準を下回ることがあれば、2019年秋のような短期資金市場の衝撃が起きる可能性もあるから、QTを縮小したり停止したりしようとするんだって。
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そこで問題になるのが、「適正な準備預金の規模がどれくらいなのか」だね。
一般的にはGDP比何%で見ることが多いんだけど、正直、それに大きな根拠はないみたい。
ただ、FRB内外の人たちはこれをよく使うみたいで、だいたい8〜10%くらいが基準になってるらしい。アメリカのGDPが約30兆ドルだから、2.4〜3.0兆ドルが適正な準備預金規模だとすると分かりやすいよね。
FRBがこの基準を示してくれるおかげで、市場の参加者たちも大体このレベルが適正なんだと思う傾向があるみたい。
[準備預金の推移]
毎週木曜日にアメリカのマーケットが閉じた後に発表される準備預金の状況を見ると、今回は一気に下がったみたいだね。
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3.2兆ドル以上を維持していたのが、今回の発表で2.89兆ドルになったんだ。これで推定される適正準備預金の規模内に下がり込んだことになるね。
[ワラーの適正準備預金]
FRBのクリストファー・ワラー理事が2023年1月に適正準備預金について話をしていたみたいだよ。
彼はGDP比10〜11%が適正だと見ていた。そして、新しい考えを追加したんだ。
それはリバースレポ残高も適正準備預金に含めるべきだ、というもの。つまり、銀行準備金が100ドルあって、リバースレポ残高が50ドルあれば、合計150ドルが『修正された適正準備金』になるという考え。その上でそれをGDPとの比率で見るべきなんだって。
ワラーがこの話をしていた当時、リバースレポ残高は2兆ドルを超えていたんだけど、今ではほぼ底をついた状態。
年末効果で一時的に増えたりもしたけど、例年通り、年が明けると再び減少しているね。
[QT追加縮小の発表可能性]
こんな感じで、適正な準備金レベルに達すると、FRBは『もしかしたら2019年のようなことが起こるかもしれないから』QTをさらに縮小する可能性が高まる。特に毎年4月が税金納付のシーズンだから、早ければ1月か、遅くても3月にはQT追加縮小を発表するんじゃないかと思うよ。
現在、FRBは米国債250億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)350億ドル、合計600億ドルのQTを毎月行っているよね。
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MBS(住宅ローン担保証券)に関しては、FRBとしてはできるだけ長期間QTを続けたいと思っているみたい。
FRBのバランスシートに国債が残っているのはまあいいとしても、MBSが残っている場合、不動産セクターをFRBが長期間支援しているんじゃないかという批判を受ける可能性があるからなんだ。
だからFRBの最終的な目標としては、理想的にはMBSを完全にバランスシートからなくしてしまいたいみたい。
ただ、それが計画通りに進むかどうかはわからないけどね。
そういう訳で、1四半期の間に国債部分のQT(250億ドル分)を完全終了するんじゃないかな。
そこまでに大きな問題が起きなければ、MBS部分のQT(350億ドル分)はそのまま継続すると思う。
こうすることで、過度に緩和的だという批判をかわしながらも、適正だと考えられる準備金レベルに到達できるし、何か問題が発生した時にも対応できるっていう訳だ。
もしFRBが追加でQTを縮小した場合、最近市場で懸念されている米国債の発行増加に伴う負担を軽減する効果もあると見られているよ。
月250億ドルということは、年間で見ると3000億ドルになるよね。
これが国債の需給や市場金利にポジティブな影響をもたらすんだ。
ちなみに最近FRBに対する市場の評価がタカ派的になっているせいで、QT終了や追加縮小の予想がどんどん先送りになっている状況だったんだけど、もしFRBが第1四半期に行動を起こすとしたら、それは市場の予想より早い判断になるね。
そしてこの点はトランプも喜ぶかもしれないよ
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