TRUMPシリーズ 『黑世界』 観劇録
ミュージカル刀剣乱舞の脚本・演出でも有名な末満健一さんのライフワーク作品といわれる TRUMPシリーズ『黑世界 〜リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について〜〈雨下の章〉』を観劇した。
(手元にパンフがなく役名などうろ覚えなので表記していません。よって、あまりネタバレはないと思われます)
■場所:池袋サンシャイン劇場
■万全な新型コロナ対策
新型コロナ対策として、入り口から靴裏の消毒・検温・アルコール消毒・チケット半券は自分でもぎるなどがなされていた。
席は、一列目の席は開放されておらず、さらに座席は一つ空けとなっており、場内ではマスク着用を促すパネルを持ったスタッフの方が数名立っていた。
しっかりとHPをチェックしていなかったので、パンフレットをはじめグッズ販売がすべてオンライン購入となっていたのは少し戸惑ってしまった。
(Twitterなどで喚起されていたのかな?)
しかし、混雑の恐れや対話によるリスクを考えれば、納得。
同様のことで、休憩なしの2時間10分という構成もコロナ対策によるものだろう。
■音楽朗読劇
「朗読劇」と銘打たれていたこともあり、勝手に椅子に座った静かな演出を想像していたが、全く違っていた!
違和感のないソーシャルディスタンスを保ちつつもセリフは交わされ、出演者は踊る・歌う。
向かい合うことはなく、向かい合ったとして十分に距離は保たれており、違和感なく集中して物語に入り込むことができた。
連作短編のように次々と場面が変わり、リリーと不思議な登場人物たちとの奇妙な物語が繰り広げられる。このスタイルに既視感が浮かぶが、SoundHorizonのライブだと気がつく。サンホラも音楽と物語で紡ぐ音楽劇といえる。
また出演者全員、アンティークチックな本を片手にセリフを話しているのだが、本に視線を落としているばかりではなく、しっかりと相手の顔や客席に顔を向けセリフを放っていたので、はじめ片手の本は雰囲気を出すための小道具かと思っていたが、物語が進むにつれ朗読用の本だと気がついた。笑(…そう、ですよね?)
■鞘師里保のリリー
今回は『LILIUM 少女純潔歌劇』後、一人ぼっちとなったリリーが様々な人物に出会う構成となっている。
音楽を担当されている和田俊輔さんがTwitterのツイートで発言されていたようにあの時の「リリーすぎて」本当に時間の旅をしたかのような錯覚に陥った。休憩をはさんで再び幕が上がったような、自然さ。
しかし、彼女の声、しなやかな動き、凍てつくような愛惜に満ちた瞳をうかがうと確実に成長し年月が経ったことが伝わる。
■ 個性的な面々
宝塚好きでもあるので、樹里咲穂さんにはゾクゾクした。時に力強く、時に狂気に満ちたお芝居にずるずると引き込まれ肌が粟立った。
池岡亮介さんの伸びのある甘い声と強烈なキャラクターのアンバランスさが最高でほんと〜〜〜〜に楽しませてもらいました!ちらりらとジム・キャリーのあのミドリの『マスク』がちらついてしまうほどのコミカルさ…!笑
こういうシーンを入れてくださる末満さんがすきです…!
■観劇さいこう!!!
久々に、さらに安心して観劇することができ、本当にしあわせな時間だった。最高なお芝居・歌・セット・演出、舞台を構成するすべてに感動して思い切り拍手を送る幸福と言ったら……‼‼‼‼‼
やっぱり舞台はナマが一番だな、とじんわり再確認。