達人への道
私は飽き性だ。
ひとつのことをずっと夢中で続けたことはない。
あっちこっち覗いてはふらふらするタイプ。
ひとつの物事を極めるという過程で必ず飽きがくる。
その飽きを乗り越えてさらにずっと続けていけばおそらく達人ってやつになるのだろう。
私は飽き性だけど、この達人気分をどうにか味わってみたい。
そこで昨晩
ごはんをめっちゃ噛んでみた。
「味の向こう側」という言葉を思い出したからだ。
「ごはんを噛み続けると味がなくなるが、そのまま噛み続けると一瞬ふわりとした甘さを感じる」現象を麒麟の田村さんが表現された言葉だ。
下調べしてみたところ、唾液に含まれる消化酵素がよく噛むことでデンプンを分解してより甘さを感じる麦芽糖が口の中で誕生するらしい。
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モグモグ噛んでみた。
私はせっかちなので、普段あまりよく噛まない。
情報もよく考えない。ほとんど捨てる。
食べてる量のわりに栄養もあまり取れてないのかもしれない。
モグモグ モグモグ モグモグ
家族全員よく噛むことで少食になれたら、エンゲル係数を抑えられるかもしれない。
モグモグ モグモグ モグモグ
よく噛むと美味しいなあ!
でもこれはたぶんまだ普通の甘さだ。まだ無味になってない。
モグモグ モグモグ モグモグ
モグモグ モグモグ モグモグ
モグモグ モグモグ モグモグ
口の中が液体だらけになってきた。
これのみこんでいいの?
モグモグ モグモグ モグモグ
モグモグ モグモグ モグモグ
モグモグ モグモグ モグモグ
だめだ。
のみこまないと噛めない。
そこで液体だけ飲み込んで固体を
噛み続けた
モグモグ モグモグ モグモグ
モグモグ モグモグ モグモグ
モグモグ モグモグ モグモグ
あれ?
いつのまにか
全部なくなっちゃった!!
何回かやってみたけど
どうしても飲み込んでしまう。
しょぼ〜ん。
私はごはんの🍚味の向こう側にすら辿り着けないのか…
「なぁ。さっきから何やってんの?」
しょげてる私に長男が声をかけてきた。
私はわけを話した。
どうしても飲み込んでしまうことも。
「は?バカじゃねぇの?!」
長男は相変わらず冷たい。
「そんなのたくさん噛まなくてもいいじゃねえか!ちょっと噛んで皿に戻して、唾かけとけよ。しばらくしたら甘くなんだろ。」
ちょ、長男天才か?!
と私は一瞬思った。
けどね試したくないの何故だろう?🤣
私は探究心もそれほど強くないことがわかった。
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