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詩のようなもの・詩または物語

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#ミルコの詩

新しい朝 或は夜明け前

新しい朝 或は夜明け前

瞼の向こうに眩しさを感じて
目が覚めた

照明は消えているし
太陽もまだ昇ってはいない

寝室にあるのは
エアコンの音だけ

あの眩しさはなんだろう
不思議に思って
気がついた

寝室のスリット窓の向こうで
金色の満月が
静かに私をみてた

満月に起こされた

こんなことは
初めてだ

「お月さまおはよう」

私は嬉しくなって
ベッドを抜け出し

朝の静寂を今愉しんでいる

[詩]木をみて人をおもう

[詩]木をみて人をおもう

山の雑木をみておもう

真っ直ぐな木はひとつもない

高い木低い木あるけれど

ひっつきあって絡まって

太陽めがけて伸びている

真っ直ぐに近い木があると

必ずまわりは遠慮して

バランスとって立っている

みんなが真っ直ぐ育ってる

そんな光景ありえない

植木ばたけじゃないもんな

太陽めがけて木よのびろ

陰に立つ木はじっと待て

雑木林はいいもんだ

なんのはなしですか

[詩のようなもの]三日月湖🌙

[詩のようなもの]三日月湖🌙

川は流れる
海を目指して

石にぶつかり飛沫をあげる
渦を作って一回りしてみる

滝になって無重力感覚を楽しむことだってある

真っ直ぐ流れる川もある
うねうね進む川もある

遠回りした川の軌跡
そこには
豊穣の三日月湖が
生まれていたりする

川は流れる

全ての川は
海を目指して
今日も流れる

[蛇足]自分の詩を読んで出てきた疑問

[蛇足]自分の詩を読んで出てきた疑問

さっき失踪しそうな女が
豆腐を買いに行く詩を書いた。

だいたいあんなもんだと思う。

豆腐買いに行くって
台詞もそうだけど

エプロン姿で
つっかけで桶持って
出てくんだから
なるべく帰ってこようとは
してる。

帰ってくる時は
帰ってくるし

帰って来ない時は
帰って来ないよな。

家で待ってるほうは
「やばいな。」
と察知して追いかけるより
「そっか豆腐買いに行くのか。」
って思ってると

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【詩のようなもの】豆腐を買いにゆく心理

【詩のようなもの】豆腐を買いにゆく心理

女は

疲れたのだ

言い争いにも

話し合いにも

繰り返しても

また同じこと

消えてしまいたい

もはやその心情を

説明する気力もない

けれども

ほんのわずかだが

また戻って来れそうな

感覚もある

家路ににつながるその細い

感覚の糸の感触を

たしかめるため外に出る

黄昏時の哀しげな

ラッパの音に誘われて

桶を片手に外に出る

ちょっと豆腐を買ってくる

「信じる」ということについての発見

「信じる」ということについての発見

ものを知らなければ知らないほど
簡単に信じることができる。

博識であればあるほど
信じる過程が複雑となる。

これが
良いことか
悪いことかは
時と場合によるが

自己暗示をしたい場合は
ものを知らないほうが
簡単そうだ。

花が咲くのをみるだけで
希望が持てる。

【詩】裏切前夜

【詩】裏切前夜

私は知っている
お前が勝負を賭けてくるのは
明日だ

明日でなくてはならぬ

手塩にかけて
それをお前に教えこんだのは
私である

お前は今
絶頂の最中にいる

自分の力を試したくて
こらえきれないでいる

驕りは若さを引き立てる
眩しくもある

正直私はまだ勝てる
しかし明日私はお前に王座を譲ろう

お前の他に譲れるものがおらぬのだ

ギリギリの勝負をしてやる
私からの花向けだ

私を倒し
この

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クリスマスのお芝居

おかあさんは2人で
クリスマスのお芝居を
みにいこうと
おうちゃんを誘いました

おうちゃんは
クリスマスのお芝居を
みるのははじめてです
ウキウキしました

おかあさんも
いつもよりお洒落して
ウキウキしています

おかあさんと2人で
バスに乗って
電車に乗って
それからずいぶん歩いて
劇場に到着しました

おうちゃんは
たいへん元気の良い子でしたので
おかあさんは
幕が開けるまえに
お芝居の間

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田んぼみち

田んぼみち

ちいちゃんと
おとうさんは
田んぼみちを
あるいていました。

おとうさんのせなかには
つかれてねむってしまった
いもうとがいました。

田んぼみちは
どこまでもまっすぐ
つづいています。

いえをでるとき
おとうさんは
えきまでいこうと
いっていました。

ちいちゃんは
えきにいったことが
まだありません。

ずいぶん
あるいたきがします。

えきまでいったあと
いえにかえるには
いまきたみちを

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花散ラシノ雨ヲ讃ヘル

花散ラシノ雨ヲ讃ヘル

花ヲ散ラス雨ハ
ヨキモノナリ

宴ノ余韻ヲ
掃キ清メヨ

空中ノ塵ヲ
花ビラニ包ミ
海マデ届ケヨ

海ノ神ハ
ソヲ眠ラセ
浄化シタモウ

花ヲ散ラス雨ハ
ヨキモノナリ

ソノ祝福ヲウケテ
桜ヨ
夢カラ醒メテ
葉ヲ出シタマエ

モウジキ届ク
初夏ノ光ヲ
一身ニ受ケル
準備ヲ始メヨ

万物ハミナ
オ前トトモニアル

花散ラシノ雨ヨ
桜ヲ優シク
起コシタマへ

[自由詩]蝶をみかけた

[自由詩]蝶をみかけた

桜が咲いてきた
今朝庭で
この春はじめての
蝶をみかけた

モンキチョウ
ありふれた蝶だ

イモムシは
蝶になるまえ
サナギの時期に

いったん溶けて
ドロドロの液体になると
聴いたことがある

私はもうすぐ蝶になるかもしれない

ならないかもしれないけど
少なくとも脱皮はしそうだ

何回かの脱皮を繰り返して
イモムシは蝶になる

嬉しくて
なんだか
体がむずむずしてきたぞ

桜が咲いてきた
今朝

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【詩】応援

【詩】応援

いつも応援するお前
応援ばかりするお前

目は見開いて
身を削いで
髪振り乱し
声枯らす

お前についたその眼(まなこ)
自分に向けたらどうなんだ

なぁ

お前が応援したいのは
お前自身なんじゃないのか?

突っ立ってないで歩けよ

【詩のようなもの】影よ私についてこい

【詩のようなもの】影よ私についてこい

光あるところに影あり

よく聴く言葉だ

なるほど
影があるところには光がある

地面に映る
自分の影をじっとみてみよう

すると面白いではないか

影は真っ黒ではない
地面がみえる

つまりどんな時も影には
まわりこんだ光が到達している

影よ
おまえは面白いな

おまえは必ずついてくる
どんな時も私とともにある

ジャンプして離れても
地面に降りれば元通り

振り払おうと思った時も
たしかにあ

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[詩のようなもの]不思議の庭

[詩のようなもの]不思議の庭

いったいどうして
毎年違う
雑草が繁茂するのだろう

今年のトレンドは
カラスノエンドウ
今年の土は
窒素が足りないのか

いったいどうして
タイムの間から
コニシキソウが
生えてくるのだろう

そっくりな葉っぱ
コニシキソウは
どうしてここに
タイムがあるのを知ったのか

土って実は
全部種なんじゃないかとさえ
思えてくる

何かのきっかけで
ロック解除されるのではないか

卵を産みにくるアゲハ

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